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紅頭巾Ⅲ・Ⅳ ~呪詛石の戦慄~  作者: サッソウ
紅頭巾Ⅲ
10/39

第十篇 You may know the lion by its claw.

訳:一斑を見て全豹を卜す

「誰?」

 フロールに真顔でそう言われ、シェイは、悲しい顔をほんの僅かな瞬間だけ見せました。

「俺は魔法が使える。アレを止めようと考えてるだけど、協力してもらえないかな?」

「うん。えっと……」

 シェイは迷い、結局、

「俺は、メネア」

 偽名を言いました。大広間の暖炉、chimenea(チメニア)を見て即座にそう言ったのです。

「メネア君、私はフロール。ヨロシクね」

 その純粋な笑顔が痛く、シェイ、……メネアは小声で熊沢に

「話を合わせてくれ」

「どういうことですか!?」

「フロールには、幼い時の記憶がない。そう言えば、分かるだろ?」


 執事のクェーヴァーが見送り、フロール一行は外へ。

 メネアの魔法で雪を止めた。熊沢はメネアの魔力の強さを(ほめ)めようと思ったが、声が出ない。熊沢には、今のメネアに声をかけられるほどの勇気も何も持っていなかったのだ……


 重い空気のなか、唯一軽やかだったフロールの足音が止まったのは

「っで、どうするの?」

 という(ばく)(ぜん)とした質問のためでした。メネア君は

「少なくとも2体のディアモス、龍のナンバー・16と複合キメラのナンバー・13が()ち合う前に活動を停止させる。No.13は、隣国のアパラザルト共和国でフリーズ状態。No.16は、このロートン国上空で潜伏中。まず、No.16の核となる部分を破壊する」

「ちょちょ、ちょっと待って下さい! 私には何がなんだか……」

 熊沢は、フロールに同意を求めようとしたが、フロールは頷いていた……。いつも通りのフロールです。

「熊沢、魔法でバイクの修理は済んでるから、フロールと共に行動してくれ。No.16は、隣国のいずれかに向かう……。だから……」

 そんなメネアに、熊沢はただ

「了解」

 とだけ、言いました。たった一言ですが、それまでとは違う意味を持っている返事のように聞こえました。まるで、熊沢はシェイの心境が分かっているかのような……

「お嬢ちゃん、行きましょうか」

 熊沢は、バイクの乗って、エンジン音を(とどろ)かせます。無駄に。

()()()()、…………? メネア君も頑張ってね」

 フロールは自分で何て言ったのか分からなかったようですが、シェイは驚きました。それと同時に、一粒の涙が流れたのです。フロールが、無意識でその名を言ったのだとしても、シェイにとっては……


 熊沢とフロールと別れたシェイは、魔法でNo.16の位置を探る。

(ちく)(しょう)……、呪詛石への願いがこんな形で叶うなんてな……」



 バイクの音を轟かせ、爽快に走る熊沢さん。だけど、行きに壊した……、いや、壊れた橋を渡るには、どうすればよいのか、答えが九割出ていても、意味もなく他の方法を模索していました。熊沢さんは、バイクの速度を下げ

「お嬢ちゃん、橋が壊れてますが、クレナイマジックでどうにかなりますか?」

 と、結局、九割の方へ。フロールは少し考えて、

「今の魔力だと、橋なんて直せないし、架けることもできないんだけど……」

「じゃあ、浮かせることはできますか!?」

「う~ん。多分、無理かな。くまたん、重そうだし」

「まさかの体重制限ですか?」

 笑うが笑えない熊沢。笑顔のフロール。

「じゃあ、どうすれば対岸に行けるのですか!?」

「ジャンプ」

「それは試して、ドボーンでしたよ。覚えてますよね?」

「確か、まだ受験シーズンだよ」

 またかと思う熊沢だが、フロールには反論でき、「そうでしたね」とだけ言った。


To be continued…


英語タイトルで思い出したんですが、ブログ掲載前は友人複数人に対して、『紅頭巾3』までメールで送信していたんですね。本編をガラケーのメール本文で書いていたんですよ。ブログを開設してからは、『紅頭巾4』を開始。そういった経緯もあって、メールでやりとりしていた『3』とブログ掲載に移行して再開した『4』で、ナンバリングが別れているんですね。で、本題として、メールでやりとりしていたときは、後書きでキャラが次回予告をしていたな、と。熊沢さんが英語タイトルを言うと、それが次のタイトルになるという。8年とか9年前の話ですが。

……あと、受験シーズンネタが度々出てくるな。ホントに受験シーズンに突入するぞ。何かしらの受験生のみなさん、頑張ってください。


追記。

国名をブログ版から変更するの忘れていたので、修正。

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