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ヲタサーの姫は魔王さま  作者: オシボリ
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34話

「魔族と人間の違いはわかるか?

人間、エルフ、ドワーフの違いはわかるな。見た目が違う。得意不得意も違う。なら、魔族と人間の違いは?

見た目も似ている。違いといえば、魔法が使えるか。それも、魔法を得意とする人間もいる。寿命が違う。それは大きな違いだ。

ここは、昔、ここで暮らしていた者たちの研究室のようだな。様々な記録が残っていたよ。

私は、この上にある屋敷に幽閉され、部下たちと脱出の計画を立てていたが、そんな時、ここを見つけた。正直、脱出するよりもかなり面白いものだったよ。

この世界には、人間、エルフ、ドワーフが暮らしていた。そこへ、謎の民族がどこからともなくやってきた。

彼らは、我々や貴様らとは比べ物にならないような技術力を持っていたようだ。それが、ある日、事故を起こす。それにより、我々魔族の住む、魔界との扉が開いてしまう。そして魔界から、我々は、この世界へとやってきてしまった。

その後、すぐに次元の扉は閉まるが、我が魔族、それに配下のモンスターたちはかなり凶暴だ。恐れをなしてか、謎の民族はどこかへ去ってしまう。しかし、こちらにきた我々魔族も、魔力がなければ何もできない。そしてこの世界には、その魔力がなかった。

しかし、魔界との扉が閉まっても、隙間があったのだろう。少量の魔力がこちらに流れ込んでいた。それにより、我々の祖先は生活することができた。

しかし、その扉の技術、時に誤作動で開くことがあったようだな。それによりまた別の世界と繋がってしまう。そこからやってきた男に、私の父は倒されてしまい、私も人間たちによって捕らえられてしまった。

ここで、気づいたのだよ。我々魔界がやってきた魔界への扉を開くことが出来れば、更なる魔力を得ることができ、また魔界から仲間を呼び寄せることができると」

「魔界へ帰るのではないのか?」

「それもよい。何せ私は生まれも育ちもここなのでな。魔界がどういったところかわからん。行ってみたいという気持ちはある。しかし、それは豊富な魔力で、人間たちを根絶やしにしてからでも遅くはない」

「そんなことを!」

「私は、魔界への扉を開く研究に没頭した。

その間、あの子をほったらかしていたら、いなくなっていたよ。ただそんなことはどうでもよかった。

ただ、そうではなかった。扉を開く最終段階で膨大なエネルギーが必要であること。それは魔力でも良かったが、こちらの世界には魔力はない。魔界への扉からうっすら流れ出る力だけ。

それを溜め込んで、こちら側から放出し、一気に扉を開く。

そしてそれが出来るのは、魔族の中でも魔力の扱いに長けた者、我が一族だけ。私でも良かったが、一歩間違えれば死ぬこともある。そこであの子の出番よ」

「そんなことのために、マオを。しかも、死ぬかもしれない実験に使うなんて。あんた母親なんだろ!」

「脱出計画の一つとして、落ち延びた魔族に、別の場所で軍備を整えさせここを攻めさせるというのもあったが、それも扉を開く時間稼ぎとして利用できた。ここにある技術を使えば、遠く離れた場所の者と、連絡を取り合うことも出来たからな」

ここは、研究施設なんかじゃない。ここは宇宙船のコックピットだ。

おそらく超科学を持った謎の民族とは、星々を旅する異星人のことだ。

そしてここは、地球から遠く離れたどこかの星なんだろう。異星人たちは空間をワープする技術を持っていて、それでこの星にやってきたんだ。

魔界への扉ってのも、ワープしようとワームホールを開いたら、そこが、魔界と呼ばれる、魔族やモンスターたちが元々住んでいたどこかの星なんだ。それに危険を感じて、すぐにワープを中止し、別の星に行ったんだ。

もしかしたら、その時、地球に来たのかもしれない。そしてその時のログが残っていて、誤作動で一瞬開いた時に、俺の祖父さんはこちらの世界にやってきたんだ。

 そう考えると、それを今、やってのけているカーウェン先生、すごいな。

 謎の異星人の勝手な行動に巻き込まれた、魔族や俺の祖父さんも可哀想ではあるが、今、ここで扉を開かせるわけにはいかない。それに、、、

「マオを死なせるわけにはいかない! マオを返してもらう!」

「ならば、やってみろ。勇者よ。魔王を倒し、姫を救ってみろ」

 そしてエストリアは、大いに笑った。


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