21話
「晴人様、ハロウィンというものをご存知ですか?」
「どうしたんだリナ、急に」
今日は土曜日。大学も休み。テレビを見ながら遅めの朝食をとっていたら、カステリーナが唐突に話しかけてきた。
ちょうどテレビでは、ハロウィンの話題をやっている。
「なんでも、異界より街にモンスターがやってきて、お菓子を与えないと悪さをするそうで」
「うん、いやちょっと違う気がする。概ね合ってるけど」
リナは、昼間この定食屋で働き、夜はそのまま寝るだけ。ほとんどこの家の中で過ごしていて、外に出ることはない。俺やマオは、葵先輩やダイちゃん先輩など、この世界の住人との交流はあるが、彼女はそれが全くない。情報源はテレビだけだ。
ただ、そのテレビを見て、その解釈になったのは謎だが。
「そのハロウィンがどうしたんだよ」
「今夜、そのハロウィンの日らしく、街にモンスターが集まるそうなのです。なので討伐に出かけようかと」
「いやいや討伐て。あれ倒しちゃダメなやつだから」
「そうなのですか?」
「それに店はどうすんだよ。土曜の夜とか忙しいだろ」
「エルダさんも「行っておいで」って仰って頂きまして。「たまには外に出て、楽しんでおいで」と」
「いや、楽しむの意味よ」
それでリナが人殺しになって、捕まったら大事だ。
「いや待て。あれは、そういうお祭りで、、、」
「いやぁ、この世界にもモンスターはいるんですね。今から腕がなります」
そう言いながら、空手で剣を振るような素振りを見せるリナ。まったく聞いていない。
彼女は、モンスターから街を守りたいのか、ただ暴れたいだけなのか。
そもそも、年一の日時指定で襲ってくるモンスター集団てなによって話だが。その日だけ異界とのゲートか何かが開くとか思っているのか。
「わかったよ。俺もついていくよ」
「本当ですか! 勇者様が側にいらしてくれれば百人力です」
目を輝かせて言うリナ。
リナの実力にかかれば、俺なんでただの足でまといだと思うが。
そうして、リナとのハロウィンデートが決まった。