表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヲタサーの姫は魔王さま  作者: オシボリ
10/37

10話

「おぉ! ここが聖地か!」

「アキバ行った時もそんなこと行ってたな」

 そう、来たのだ。夏といえば夏コミ! 聖地はビッグサイト!

「日本には聖地がたくさんあるのだな」

「まぁそうだな。神様もたくさんいるしな」

「なんと! たくさん神がいるのか。神々の国か。やはりこちらの世界はすごいな。魔王もたくさんいるかな?」

「魔王は聞いたことないかな。昔、魔王を名乗る殿様はいたそうだけどな」

「昔かぁ。会ってみたかったなぁ」

 そんな話しをしながら、駅からの道を二人で歩く。

 葵先輩がまたテンション上がって「夏コミ行くぞ」って騒いでいたので、マオも感化されて行くことになった。

 だが、葵先輩が「欲しい同人誌がある」と早朝から来ているところ、俺やマオはそこまで欲しい同人誌がないため、遅れて到着した。

 混雑した人ごみの中、マオを連れてきたら何をしだすかわからない。

 ちなみにダイちゃん先輩は今日は来ていない。「興味がない。部屋でゲームしてる方がいい」とのことだ。

「葵先輩どこだろうな」

『到着しました』と葵先輩にメールを送ってみる。

「葵殿はなんと言っている?」

「なんか、欲しい本はあらかた買って、今休憩してるらしい。二人で楽しんでおいでってことだが、特に行くところもないから、とりあえず葵先輩のところに行ってみるか」

「そうだな」

 そしてビッグサイトの下までたどり着く。

「見ろ晴人! マースフィードの住人のような姿をした者たちがおるぞ」

「いやマースフィードの住人とか知らないから。ってか、あれはコスプレな」

「コスプレとはなんだ?」

「アニメやゲームのキャラクターの服と同じ物を作って着るんだよ。マホ研で見てたアニメのキャラと同じ格好した人もいるだろ?」

「なるほどな。キャラクターに対する愛の表現というやつか」

 どこでそんな言い回し覚えてきたんだ。おそらく葵先輩だろうが。

 マオは興味深そうにそれらを見ている。

「ここならマースフィードの服でもいいかもな」

 そう言ったとたん、マオの身体から魔力が放出される。その力が彼女の身体を包み始めると強く光りだす。

「ちょちょちょっ、待って、何事!?」

 周りがザワつき始めるのに気づき、慌ててマオの身体を隠す。あんまし隠せてないが。

 光が収まり、現れたマオの姿は、先ほどとは違ったものとなっていた。

 頭からは二本の角が生え、服は禍々しい鎧と黒いローブを合わせたような物を身に纏っている。

「おいおい、何なんだいったい」

「我の姿を見て恐れぬとは、晴人はやはりなかなかの強者よな。これが、マースフィードでの我が姿よ」

「へっ、へぇー、、、」

 正直、なんとも言えない。特に怖くはないが。それは、俺の中の勇者の血なのか。

 もしかしたら、周りの人はそうでもないのか。そう思い、周りを見渡す。

「おー、すげー」

「なになに? 手品?」

「すごい、カワイイ!」

 驚いてはいるようだが、恐れは感じていないようだ。

「おぉ、皆恐れぬのか。やはり、勇者を排出した世界なだけはあるな。それとも聖地の地形効果によるものなのか」

 そう言われると、実は俺の祖父はただの凡人だったんじゃないかと、そう思えてしまう。

「ちょっと、あなた達。そこで何してるの!」

 見ると、スタッフらしき人がこちらに近づいてきた。

「指定された場所以外でのコスプレは禁止されています!」

「はっ、はい、すみません!」

 そう言うと、俺は慌ててマオを連れてその場を離れた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ