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巫女のみこみこパワーでミッコミコ2

いつものように学校へ通い、授業を受ける。



キギョウも滅斗達の教室にいて、魔法妖精として滅斗達を見守るがキギョウの姿がが見えているのは滅斗と、前回から登場した(はかま) 小夜子(さよこ)だけである。



そして授業を一通り終え、家へ帰ろうとする小夜子に一人の男子生徒が話しかけてきた。


亜流出(あるて) 滅斗(めつと)である。



「ねえ、今日、一緒に帰って良い…かな?」



もどもどとした口調で話す滅斗。



緊張しているのか、顔は赤い。


何も語らず、無表情で滅斗を睨む小夜子。


「い、嫌なら良いんだ…」


滅斗は困惑して苦笑いを入れる。



滅斗は、一人心強い魔法少女を仲間にしたかった。



まほやキギョウでは魔獣との戦闘は苦戦続きで見てて危なっかしい。


そして、小夜子とは以前から仲良くなりたいとも思っていた。


ーーー帰り道ーーー



サラサラした長い髪を靡かせて歩く袴 小夜子。



その後方には滅斗。



滅斗は小夜子についていく形で歩いていた。



「私、小夜子ちゃんに憧れてるんだ」


滅斗は緊張しながら小夜子に話しかける。


実際、滅斗は袴 小夜子を憧れの対象とみていた。


その冷静な佇まい歩き方や口調に気品を感じ取っていたのだ。



「美人だし、頭も良いし、凛としていて…」




滅斗の、小夜子への憧れの言葉を聞く度、小夜子は何故か歯を軋ませていた。



滅斗には背を向けているのでその表情は滅斗には知る由も無く、尊敬の言葉を小夜子にかける。



「私、小夜子ちゃんみたいになれるかな?」



滅斗がそう言った途端小夜子は後ろを振り向く。



「!!?」



驚き、立ち止まる滅斗。



何かいけないこと言ったのだろうか?

小夜子は何故か怒気の含んだ目でこちらを睨んでいる。



「えと…その…」



もどもどしながら言葉を探す滅斗。

目は泳いでいて落ちつかない。


小夜子はいつもの淡々とした口調で滅斗を諭す。



「世の中には、見習うべき人間と見習ってはいけない人間がいるの…」



小夜子の話し方は感情が読めない為何を考えて言葉を放っているのかよくわからない。



ただ、言葉のひとつひとつに怒りと哀しみが込められているように、滅斗は思えた。



「貴女は私のようにはなってはいけない、常に自分を持ちなさい」


そう言うと再び小夜子は滅斗から背を向け、歩き出す。



滅斗は彼女の言葉の意味は知る由も無かったが、ひょっとして気を悪くしてしまったのかなと心配に思い、困った表情で顔を下にむける。




滅斗の横でついてきていたキギョウ。



(こいつ…何か悪い商売でもやってるんじゃないか?)



少しオーバーな表現だが、キギョウはまだ出会って間もない小夜子には、完全に心は開けていなかった。



もっとも、以前の事もあり、良い印象を彼女には持っていなかった。


「……」



キギョウをチラッと睨む小夜子。



「!!」



視線が合い、思わず背筋が凍ってしまうキギョウ。



「わかったわ、特別に私の家に招待してあげる、そこのクロネコの誤解も解きたい訳だしね…」



いつもと変わらない口調でそう言って再び前を歩く小夜子。



「あ、待って!」



滅斗は慌てて追いかけていく。



「相変わらず何考えてるかわからない女だぜ…」


複雑な表情をしながら滅斗に続くキギョウ。



都会でも田舎でも無い住宅街から閑静な山の中へと入っていく小夜子。


しばらくすると鳥居が見えてきた。


その鳥居を小夜子が潜り抜けた途端、あり得ない光景が滅斗とキギョウの目に焼き付けて来た。


(あれ?この子…さっきまで制服だったはず…?)



小夜子はどういうわけか巫女の衣装を羽織っていた。



道を立ち並ぶ厳かな地蔵の群が、こちらを睨むように佇んでいる。



そう言った厳荘な山道を潜り抜けると、神社が見えてきた。



「あそこが私の住まいよ」



言葉を放つ小夜子。



「き、綺麗な所だね」


苦笑いを浮かべる滅斗。



確かに歴史が感じられ、厳かな佇まいを感じられる神社だった。



滅斗はその神社に入って良いのだろうかと言う圧迫感に押されていた。

そして、地蔵の群に睨まれているようにも思え、それが何とも言えない威圧感を覚える。



下手な事をしたら祟りが起こるだろう。

好奇心の強い若者すらもおののかせる程の圧迫感が、その神社にはあった。


小夜子は薄暗い部屋の中を、ろうそくで灯す。


その部屋は和室であり、畳が敷かれ、石像がこちらを睨むように佇んでいる。


厳かで、そして歴史を感じさせる部屋だ。


そして小夜子の灯したろうそくは電気の代わりとして使われているようだ。



そしてテレビ、冷蔵庫すらも無い。



ただあるのは厳かな佇まいを見せる石像や掛け軸のみ。



「さ…小夜子さんのお家って電化製品とかは置いてないんですか?」


おそるおそる口を開く滅斗。



「無いわ、必要ないもの」


相変わらずの淡々とした物言い。


言葉が詰まってしまう滅斗。



「ふあぁ、よく寝た!」


そんな時、滅斗のベルトにかけてあるステッキが目を覚ました。


今まで寝ていたようだ。


「あれ、何だここは、夢の続き?」


ステッキは辺りを見渡す。


「今まで寝てたのか、寝てた方が静かで良いのに」


キギョウはイヤミをステッキにぶつける。


「あ、クロネコ、それよりここはどこなんだ?」


「神社の中だ」


「え?何だってまた…」


ステッキは引き続き辺りを見渡すが、

そんな時に巫女の衣装を羽織った小夜子に目が入った。


「可愛い巫女さんがいるぞ!誰だよその子!」


小夜子を見てテンションを上げるステッキ。


「聞こえてるよ滅斗君!」


「袴 小夜子だ」


滅斗(まほ)はステッキ(滅斗)に注意するがキギョウは言わせるのも面白いと思い、素知らぬ素振りをしてみせた。


小夜子の反応を試していたのもある。



「うへぇ巫女服の小夜子さんも可愛いなぁ、妖怪にアレコレさせてみたいぜでへへ」



呑気に下ネタを漏らすステッキ。

小夜子には聞こえていないとステッキは思っていた。


ところが、小夜子の耳にはその言葉はしっかり入っていた。



しかし、小夜子はあくまでポーカーフェイスを貫いており、まるで聞こえていないかのような佇まいを見せていた。



「あ、気にしないでね小夜子ちゃん…」


苦笑いしながらフォローする滅斗。



「気にしていないわ、男性の感性はそう言うものよ」


表情を変えず、淡々と話す小夜子。


「!!!」


小夜子のその言葉に慌てて口を塞ぐステッキ。


「聞こえていないと思ってたのか」


「うぐぐ…」



自分が恥ずかしくなり穴があれば入りたいと言う気持ちに駆られるステッキ。



ステッキ(滅斗)の性格から、恥ずかしい表情をしたり、怒ってくれていたら恥ずかしげもなくもっとからかってたに違い無い。



しかし無表情のままあっさり言ってのけたのが余計にステッキには(こた)えたのだった。



なお本体の滅斗は「アルテム」の副作用により、薄椅子 まほと言う少女の魂が入っている。



その為考え方は薄椅子 まほで、おっとりして少し気弱な人物となっている。


ふとその時、奥から小夜子の飼っていると思しき犬がキギョウ達の前に姿を現した。


犬、いやその姿は狐のようだった。


数本の大きな尻尾を備えており、白銀の毛皮は見るものを圧倒させる。


「小夜子さんがお友達を連れて来るなんて珍しいわねぇ」


そして、なんと女性の声がその犬から発せられた。



魔法妖精は普通の人間には見えないのだが、魔法妖精や魔法少女の資質を持つ者には見えている。


そして今の滅斗、ステッキにも魔法妖精の姿、声はわかり、そして翼を生やした黒猫の姿であるキギョウの姿を見てきているので、違和感も驚きもしなかった。



ただ、そう言う魔法妖精もいるんだ…。



と言った珍しい動物を見るかのような反応だ。


「あ、はじめまして、薄椅子

まほです、小夜子さんがお世話になってます」


滅斗は行儀よくその魔法妖精に挨拶をした。


「ふふっ、私はアヤネです。可愛らしいお嬢さんね♪」


アヤネは冗談ぽく返事をした。


滅斗は滅斗の体で魂はまほのものだが、それはアヤネと言う魔法妖精にはわかっていたようだ。


普通なら男性でお嬢さんと言われれば違和感は普通にあるだろう。



しかし今の滅斗はまほと言う少女の魂と記憶となっており、照れて赤面はするもののそれ以上のリアクションはなかった。


倭女(おんなおんな)してて気持ち悪いんだがな…」


滅斗のベルトにかけられているステッキは横から滅斗を罵る。


そしてその滅斗をじっとアヤネは見つめる。



「あの、何か?」


滅斗は目をパチクリさせて凝視してくるアヤネに問う。


しばらく滅斗を睨んでいたアヤネだがそのあと、キギョウに視線を向ける。


「いえ、なんでもありません、そこの妖精さん、少しだけお顔をかしてもらえますか?」


滅斗にそう言った後アヤネはキギョウに話を持ちかけてきた。


キギョウは訝しげに思うも、アヤネについて行く。


部屋を後にするキギョウ達。



そして彼らに聞こえないように、裏の庭に連れて来られるキギョウ。


人里離れた山であるだけに辺りは静かで、木で囲まれている。


野菜を植えられた畑、井戸もその場にあった。



そしてアヤネはキギョウと対峙しているが、表情はどこか険しい。


そしてアヤネは語る。


「先程何事も無かったように小夜子さん達と語っておられましたが自分のしてきた事はわかっているんですよね?」



アヤネはキギョウを責めるように言ってきた。


「何の事か見当が付きませんが?」



一方、薄々自覚はしているものの見ず知らずの人物(ようせい)に言われても内心苛立ちしか覚えずあっけらかんとキギョウは答える。


なおキギョウは先程の小夜子と言う少女といい何故そこまで睨まれないといけないんだ?と言った感じでモヤモヤしながらもアヤネの佇まいに萎縮している。



「さっきあの子の過去の記憶を覗かせていただきました。貴方は何故あの子を魔法少女にしたのですか?」


アヤネの言葉の理由を知り、キギョウは更に萎縮する。


「それは出来心で…」


キギョウの口調は内心同様オドオドしている。


過去を覗くのはベテランの魔法少女や魔法妖精が扱える能力の一つ。


キギョウ達はその域までは達してはいなく、心を読み、過去を覗く事は出来ない。


「それはどう言う出来心なのですか?」


静かに放つも重みがある。

キギョウはアヤネにまほを魔法少女にしたいきさつを威圧感に声を詰まらせながらもアヤネに話す。


魔法少女、それは環境に問題を抱え、不自由な暮らしを強いられている少女に救いの手を差し伸べる為にさせると言う規約があるのだが、家庭もありごく普通の、幸せな環境にある少女を魔法少女にする事は基本は法度(はっと)となっている。



「貴方は魔法結社から説明を受けなかったのですか?不自由の無い子を魔法少女にする事は法度となっているのよ?」



キギョウは苅田企業から魔法妖精として説明を受けたのだが、そう言った事はその会社からは一切説明を受けていなかった。



「いや、そんな事は、一つも聞いていない…」


「嘘をおっしゃい!!」


キギョウの言葉にアヤネは口を荒げる。

返答に困り、ウズウズと縮こまるキギョウ。


ふう、とため息をつき、アヤネは再びキギョウに聞いてきた。


「では改めて聞きます、その魔法結社はなんという会社なのですか?」



アヤネは聞いてきた。


「ああ…苅田企業だ」



キギョウは戸惑いながらも答えた。



キギョウはそう答えた後、アヤネの表情は苦虫を噛んだような、何とも言えない表情になる。



「ど、どうしたんだよ?」


キギョウは慌てふためき、アヤネに問う。

キギョウ自身、魔法結社の存在は人間の時は知らなかったし苅田企業と言う会社も初耳だった。



ちなみに魔法結社とは、少女を魔法少女にさせ、警察などでは解決出来ない魔獣討伐や治安維持などをさせる会社であり、魔法妖精となった人物が少女を契約させて魔法少女にさせる事でシステムが成り立っている。


そして魔法少女も所詮は少女、一人で魔獣や魔女と戦う事は無理があるので魔法妖精がパートナー兼教育者として付き添う事が必要とされている。


なお何故人物から妖精なのかと言うと動物の姿となる事で少女の警戒心などが和らぐ意味がなされている。


「ふう…、貴方、とんでもない会社に捕まってしまったわね…」



アヤネは悲観した表情で言う。



「どう言う事だよ?」


キギョウは慌てふためく。



「その会社は[ブラック]よ!」



重い声質で放たれたアヤネの言葉。



「ブラック!!?」


キギョウは固まった表情で復唱する。


「ええ…平和な日常にいる少女までも見境い無く魔法少女にさせて魔獣と戦わせる悪質極まりない魔法結社よ!」


それを大人の従業員を少女や魔法妖精と照らし合わせればわかるだろう。


ブラック企業で人権や自由を奪っていく企業があるように、魔法界にもブラックと言う存在があり、不自由の無い少女の暮らしを魔獣討伐と言う死と隣り合わせにある戦いに身を投じさせ、自由と命を奪ってしまうものである。



キギョウは顔を青ざめ、戦慄に襲われる。


俺は何て事をしてしまったんだと…。


キギョウの狼狽ぶりにさすがに言い過ぎと感じたのか、アヤネは詫びてせめてものアドバイスをキギョウに与える。



「先程は言い過ぎました。クロネコ…いや黒井 キギョウさん、貴方は契約した魔法少女を命がけで守り抜きなさい、そして戦いで傷ついた心を癒してあげなさい、それが貴方があの子に出来る償いです」



アヤネの瞳からは一筋の涙が。



「少なくとも今の小夜子さんのようにはさせないよう…」



「小夜子…?」


「いいえ、何でもありません、あの子の元へ戻りましょう」


言いたくない過去があるのか、アヤネは話をその場で閉じた。




キギョウもアヤネを気遣い、敢えてそれを聞かないようにした。


俺はまほを全力で守れば良い。


踵を返し、滅斗達のいる神社の母屋へと戻っていくキギョウ達。


キギョウ達が入り口の玄関を開けようとした時、そこには外へ出ようとする滅斗と小夜子の姿が。



「クロネコさん!大変だよ、魔獣が現れたって!」


滅斗はキギョウに知らせる。



その後アヤネは小夜子に言う。



「いい機会です、小夜子さん、その方達に魔法少女の戦い方をしっかりと教えるのですよ!」



「はい、アヤネ様」


小夜子は返事をし、キギョウ達と共に戦場へと飛び立った。



ーーー魔獣のいる位置ーーー



閑静な住宅街だが、そこでも不穏な空気が漂っていた。



今の所被害は無いようだが放っておくと大きな事件になってしまうだろう。



その場へとやって来るキギョウ達。



滅斗はまほ(魔法少女)に変身し、ステッキを構えている。


「へっへ、今日こそは良いところ見せてやるぜ!」


やる気まんまんに武者ぶるいするまほ。


魔獣は白衣を着た聖者のような形をしているが姿形はよく見えない。



と言うより不定形のようで調子の悪くなったテレビの画面のように、ウェーブされてたりしていた。



「行くぜっ!」


駆け出すまほ。



「待って!」



後ろからまほを引き止める小夜子。


「あの魔獣はまだ成長していない、あの魔獣は放っておきましょう」



淡々とした口調で背を向けようとする小夜子。



「何でだ!?放って置くと事件が起こっちまうんだぞ!成長する前に倒さないと!」


まほは声を上げる。

事件が起こる前に倒さないと事件が起こってしまってからでは遅いとキギョウからも聞かされていたし、まほもそう考えていた。


「しばらく人を魔獣に食わせてそれから倒すのも魔法少女のやり方よ」


小夜子は動ずることも無く、言い放った。


「魔獣を倒して街の平和を守るのが魔法少女なんだろ!?どうしてそうなっちまうんだよ!!」


怒鳴り声に近いうろたえの声を上げるまほ。



「平和とかそんな動機の為に魔法少女になったのかしら、甘い考え方ね」


いつものように淡々として話す小夜子。



「てめえ…」


眉間にしわを寄せ、歯軋りをするまほ。

正義感の強いまほの事。


今の小夜子の言葉は確実に、まほの逆鱗に触れさせた。


「ねえ…喧嘩はやめようよ」


横からステッキは険悪になりかけている雰囲気を止めようとする。



「俺はただ、曲がった事が嫌いなだけなんだ!」


「正義感だけで戦っていたら自分の為にならないし周りの為にもならない、知っておきなさい」


小夜子はまほに冷たく言い放つ。



「クロネコの言う通りだぜ!やっぱりあんたはとてつもねえ冷血動物だ!」


怒りに震えるまほ。


「そう思ってくれて結構よ」


と小夜子。


「ちっ、俺達だけでもあいつを狩るぞ!」


まほは舌打ちを打ちながら再び魔獣へと視線を向き、魔獣の元へ駆け出そうとした。


「滅斗、今は小夜子(あいつ)の言う通りにしておこうぜ」


そこでキギョウもまた、魔獣を狩ろうとするまほを引き止めた。


鳩が豆鉄砲を食らったような表情をしてキギョウに振り向くまほ。


「はっ?事件になる前に狩らないといけないと言ってたのはあんたじゃないか!!?」



狼狽えるまほ。



「まあな、でもあの嬢ちゃんの言うことも間違っちゃいない」


キギョウは小夜子の言う事も悪くないと考え始める。


それとも他に何か思惑があるのかも知れない。



「小夜子ちゃんの言う事も聞かないと駄目だよ?あの子の方が魔獣や魔法少女の事をよく知ってると思うから…」


おそるおそるまほに語るステッキ。


「てかあんただってあいつを散々嫌ってたんじゃないのか!?」



まほはキギョウの考えに感化されかけてて、実際小夜子のあの言葉に猛烈な反発心を持ちはじめていた。



「まあな…しかし長く生きていたら嫌でも気づいてしまうのさ、ずっと正解だと思ってた事の大半は間違いだったって事にな…」



キギョウも背を向き、小夜子に続こうとする。


「それってどう言う…」


「年取ればわかるよ」


こうして今回はあの魔獣を見送り、他の魔獣を倒す形で本日の魔獣狩りを終えた。


ーーーー


アヤネは小夜子の机の上に1冊のノートがある事に気づく。


そこに小夜子のやり場の無い悲しみの波動を感じたアヤネ。


ふと気になったアヤネはそのノートをめくってみる。


めくると言っても手ではめくれない(動物の姿になっている為)ので念力を使ってめくってみたのだ。


それは小夜子の書いた物語が書かれていた。


ーーー



ある日、不思議な力を持つ少女がいました。

少女は持っている力で沢山の人々を助けました。

しかし人達は少女のその力を見て少女を魔女と批判して来ました。

その場にいられなくなった少女は他の地へと移らざるを得ませんでした。

しかし少女は善良な心を捨てず沢山の人を魔法で助けました。

しかしそんな少女を尊敬する人は誰もいなく人々はそのまま幸せを享受しながら過ごしていました。

それでも少女は幸せです。

ひとりぼっちでも幸せです。

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