第九話 拡大
米国の様子をお送りします。
世界各地で同時に発生した新たな疫病は瞬く間にその感染範囲を拡げていた。
陸続きの欧州各国は街道や鉄道が整備されている事が仇になり急速に感染が拡がっていた。逃げ場のない英国はアイルランドに難民が押し寄せ戦闘も発生している。王室の国外脱出も真剣に検討されていた。
唯一ソ連は国境を完全閉鎖しドイツ占領軍の帰国を許さない事で感染を限定する事に成功していた。誠にスターリンらしい苛烈な判断である。ただし強大な戦力を持つ占領軍に欧州各国からの避難軍も加わり、国境付近で激しい戦闘が勃発している。
そして当然ながら米国の感染状況も深刻だった。
疫病の発生からわずか2週間で人口密集地である西海岸の政治経済は完全に麻痺状態に陥っていた。ハワイとは連絡すら取れない状態となっている。
疫病は既に中西部や東海岸でも発生していた。早く手を打たなければ米国全土が西海岸と同じ状況になるのは火を見るより明らかだった。
もちろん政府も手をこまねいていた訳では無い。西海岸各州に戒厳令を布告し、公衆衛生局とその傘下の戦域マラリア対策室(MCWA:Office of Malaria Control in War Areas)に対して調査を指示していた。
だが人権意識の高さからついに明文化される事のなかった戒厳令では、人の流れとそれに伴う感染の拡大を有効に防ぐことが出来なかった。
そして、あまりに速い感染拡大に米国政府の対応は後手に回らざるを得なかった。
それでも米国は「国家」として生き残る方法を必死に模索していた。
――1945年(昭和20年)7月 米国 ホワイトハウス地下防空壕
「では調査結果の報告を」
コの字型に並べられたテーブルの中央に座るハリー・S・トルーマン大統領が言った。声がコンクリート剥き出しの壁面に反響する。
飾り一つ無い殺風景な部屋である。テーブル下に敷かれた絨毯と豪華なテーブルがチグハグな印象を強めていた。その部屋に20人以上の男達が集まっている。空調が貧弱なのか部屋の中はとても蒸し暑かった。
この部屋は先代大統領のルーズベルトがホワイトハウスのイーストウィング地下に作らせた防空壕である。出入口が限定され水や空気も濾過されているこの地下室で今日から大統領は執務と寝食を行っていた。
入室する人間も全員が必ず地上で血液検査を受ける事が義務付けられている。このため少なくとも現時点では米国内で最も安全な場所であると言えた。
トルーマンの声に応えて眼鏡をかけた学者然とした男が立ち上がった。そして壁面に貼られた大きな米国地図の前へと移動する。
その男はMCWA室長のジャスティン・M・アンドリュースである。彼はアフリカや東南アジアで軍の衛生対策を仕切るマラリアや疫病対策の専門家であった。
元々、温厚な老紳士然としていた彼の風貌はここ数日で変わり果てていた。頬はこけ目も落ちくぼんでいる。その顔色から彼がもう何日も満足に寝ていないであろう事が見て取れた。
「疫病の状況について報告させて頂きます。こちらが今朝の時点で確認された感染状況です」
そう言って彼は地図を指し示した。
「赤い印が発症の確認された場所を示しています」
西海岸のカリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州、それとハワイは州全体が真っ赤に塗りつぶされていた。中西部や五大湖周辺の主要都市には大きな赤い印が付けられている。赤い印は東海岸にも散見された。
「最初に疫病が確認された西海岸地区は既に州政府や公的機関との連絡が途絶えております」
「つまりどういう事かね?」
「この地域の住人、少なくとも公的機関の人間は既に全て死亡していると考えられます」
疫病に最初に対応したのが公的機関であるため、そこの人員がまず最初に被害を受ける事が多かった。
室内がどよめきで満ちる。それを無視してアンドリュースは説明を続けた。
「隣接するアリゾナ州、ネバダ州にも感染が拡がっていますが、元々人口が希薄なため拡大は限定されています。問題はシカゴ、アトランタ、ニューオリンズ等の鉄道結節点です」
彼の挙げた都市には西海岸からの鉄道が集中している。つまり感染者が流入している事を意味していた。
「そこが東部への感染ルートとなっていると言う訳か」
「はい、大統領。既にこれらの都市には多数の発症者が確認されています。唯一幸いなのは、鉄道運行が実質的に停止したため一旦は感染拡大が停まっている事です。ただし助けを求める市民は車や徒歩で東へ移動している様です」
部屋の中に沈黙が訪れた。その沈黙を破ってトルーマンが尋ねる。
「現時点での犠牲者数はどのくらいかね?」
「発症後の死亡率は100%な上に、治療法もまだ見つかっておりません。感染者も含めれば犠牲者の数は少なく見積もっても3千万人は超えていると思われます。更に今後も急激に増加する事が予想されます」
アンドリュースの言葉に部屋のあちこちで息をのむ声が聞こえた。
1945年現在の米国の人口はおよそ1億4千万人程である。彼の言葉が正しければ国民の四分の一が既に失われた事を意味していた。それも少なく見積もってである。しかもまだ増えると言うのだ。
彼の言葉を信じるならば、このままでは米国は滅びてしまうとしか思えなかった。
「疫病の原因は判明したのかね?」
事前説明を受けていたトルーマンはその絶望的な報告にも動じる様子は無かった。彼の中では既に方針は決定している。今行っている問答はこれから成される決定を全員に理解させるための準備にしか過ぎない。
「はい。そちらはすぐに判明しました。お手元の写真をご覧ください」
しばらく室内にページを繰る音が続いた。出席者に配られた資料には病原菌の顕微鏡写真が添えられていた。それは綺麗な六角形をした雪の結晶を思わせる細菌だった。
「未知の細菌です。外見はバクテリオファージに似た部分もありますが新種と思われます。我々はこれにNM菌(Niveous Messor)と名付けました」
「それはどのような細菌なのだね?」
「このNM菌は主に感染者との接触や体液により感染しますが、咳などにより空気感染する事も確認されております」
トルーマンや出席者らは黙って説明を聞いている。アンドリュースは話があまり専門的にならない様に注意しながら説明を続けた。
「感染初期にわずかに風邪の様な症状が出ますが、すぐに見た目は健康体に戻ります。しかし発症するまでの間、感染者の周辺に居た者、感染者に直接触れた者にNM菌は感染します。消毒薬や抗生物質も効果がありません」
全員に理解が浸透するのを確認してアンドリュースは言葉を続けた。
「感染後の潜伏期間はおよそ1ヵ月前後と見ています。発症後は体組織が急激に液状化して感染者を死に至らしめます。発症から死亡までわずか二時間程しかありません。更に死亡後には死体が破裂して周囲に感染を拡げます」
「うっ……」
資料に添えられた遺体の写真を見た者の中には顔色を悪くしたり口元をハンカチで押さえる者がいた。
「しかしNM菌の恐ろしい点はそこではありません。一見して健常者にしか見えない感染者が1ヵ月以上もの間、自由に動き回って感染を拡げるのです。つまり発症者が出た時点では、その地域には感染者が溢れ返っていると言う事なのです」
「ではシカゴやアトランタはもう……」
誰かが呟いた。壁の地図の両都市には既に大量の発症者を示す大きな赤い印が付けられていた。
「……はい。州政府はまだかろうじて機能していますが、残念ながらもう絶望的と思われます」
「感染者はすぐに分かるのかね?」
「はい。血液の顕微鏡検査ですぐに判別できます。ここに居る皆さんも先程受けた検査です」
室内には顔を顰める者もいた。身の潔白を証明するためとはいえ、隔離部屋に入れられ防護服を被った人間に血を抜かれて目の前で顕微鏡で調べられるのは、あまり気分の良いものでは無い。
「感染した者は必ず死亡するのか?」
「発症すれば100%死亡しますが、一部の人間は感染しても発症しない事が判っています。黄色人種です。チャイナタウンや日系人収容所における発症はほとんど確認されていません。インディアン居留地も同様です」
「やはり奴らが!」「下等なイエローモンキーどもめ!」「神をも恐れぬ所業を!」
部屋の各所で怨嗟の声が上がった。
米国は今回の疫病の原因が日本だと確信していた。日本が先月行った爆撃で細菌を世界中へばら撒いたと考えていたのである。
事実、疫病の発生後に米国はスイス、ソ連を通して日本に停戦を打診したが反応は全く無かった。これも日本が主犯であるという推測を補強していた。
停戦の目的は日本が恐らく持っているであろうワクチンの入手であったが、NM菌が黄色人種に対して無害であるという事実はワクチンが存在しない可能性を示していた。
「今は日本がやったかどうかの話は後回しでいい。優先すべきは現状をどう打開するかだ」
トルーマンは騒がしくなった部屋を鎮めると、説明を続けさせた。
「それで対策は可能なのか?」
「……それについては極めて困難であるとしかお答えできません」
アンドリュースは言い淀んだ。彼の顔色が悪いのは疲労と寝不足だけが理由では無かった。疫病の専門家である彼にはこれから米国に何が起こるかが見えてしまっていたのである。
「おい、どういう意味だ?原因が分かったのなら対策も出来るだろうが!MCWAは無能者の集まりなのか!」
海軍作戦部長のアーネスト・キングが吠えた。
彼は今回の疫病で真珠湾と西海岸の艦隊のほとんどを失っていた。ニミッツを初め優秀な将官も多数亡くなっている。
辛うじて東海岸へ退避した艦艇も入港を許されず洋上で足止めを喰らっていた。既に艦内にも疫病が発生しており洋上を彷徨い始めた艦もあった。
早く対策をしなければ、このままでは合衆国海軍は壊滅してしまう。そんな焦りがキングに勝手な発言をさせていた。
「キング君、自重したまえ。大変なのは君の所だけではない。それでアンドリュース君、困難と言うからには不可能では無いのだね?」
トルーマンはキングを制すると報告を続けさせた。
「はい、大統領。ただしそれには極めて辛い判断が必要とされます……大統領は……国民の9割を見捨てる覚悟がお有りですか?」
「「9割を見捨てるだと!?」」
会議室が大きなどよめきに包まれた。
「説明してください」
騒がしくなった会議室の中で一人トルーマンは冷静さを失っていなかった。
「先程説明した様にシカゴやアトランタはもう絶望的です。そして東海岸にはその地域から感染者が今も流れ込んでいます。発症者も出ています。つまり既に東海岸にも感染は拡がっていると見るべきです」
東部13州からフロリダにかけての東海岸には米国の人口の三分の二が集中している。五大湖やアトランタ方面はその膨大な人口と産業を支える大動脈の様な存在だった。
「全て検査すれば良いじゃないか」
誰かが無責任に発言した。
「人口が多すぎます。全てを検査する事は不可能です。このままでは感染の拡大は止められません……この先に待つものは……我が国の滅亡です」
会議室は静まり返った。アンドリュースは黙って自分の席に戻っていった。
「ここからは私が説明しましょう」
そう言ってジェームズ・F・バーンズ国務長官が立ち上がった。彼はトルーマンをちらと見たが大統領は視線を合わさない。二人には何がしかの意見の衝突が有った様子だった。
トルーマンの様子を気にも留めずバーンズは説明を始めた。
「ここは発想を逆転すれば良いのです。感染者を隔離するのではなく、健常者を隔離する事を進言します」
「それは同じ事ではないのかね?」
誰かが不思議そうな声で尋ねる。
「いえ、全く違います。先程MCWA室長が説明した通り、もう感染拡大は阻止できません。だから感染者を探すのではなく、健常者を探すのです。そして安全な土地へ移して隔離します。つまり選ばれた人間だけを生き残らせ新たな合衆国を再建するのです」
「それでは選民思想ではないか!」「ファシスト共と何が違うのだ!」
会議室の各所で罵声があがる。
「では我が国を滅亡から救う別の方法を教えてください」
バーンズは言い放った。その言葉に反対者達は黙り込む。それを確認してバーンズは話を続けた。
「しかし隔離するのも簡単な事ではありません。感染拡大の速度が速すぎます。そこで一時的な安全地帯を確保する事で隔離作業をスムーズに進ませる事も併せて提案します」
「安全地帯?」
「はい。まだ感染していない地域の周りを消毒して感染の拡大を一時的に止めます」
「さっきの説明では消毒薬は効かないという話だったが?」
「確かに消毒薬は効果が有りません。しかしNM菌は熱には弱い事が判っています」
「それはつまり……もしかして君は自国の国土と国民を焼くと言っているのか?」
ヘンリー・スティムソン陸軍長官が呆れた声で言った。バーンズは黙って頷く。
「そこにはまだ生存者が、もしかしたらまだ感染していない国民が居るかもしれないのだぞ!」
スティムソンが怒りで声を荒げて立ち上がる。
「時間を稼ぐためには必要な犠牲です。他に手が有ると言うなら、どうか私にこの場で教えて頂きたいものですな」
バーンズは涼しい顔で両手を広げて言った。そしてスティムソンと睨み合う。
「二人とも落ち着いて、座り給え」
二人の睨み合いを止めたのはトルーマンだった。
トルーマンはしばし黙考した後、再び口を開いた。
「私はバーンズ君の案を採用する」
「「大統領!!」」
数人が席を立ちトルーマンに詰め寄ろうといした。しかし即座にSPに制止される。
「このまま座視すれば国民は全滅するだけだ。だから少しでも国民を救うために大統領として決断する。よく考えた結果だ。責任は全て私が持つ」
トルーマンは断固とした口調で言った。
「例の爆弾を使えばより効果的だろう……安全地域の選定と準備を始めてくれたまえ」
米国のほとんどの国民が見捨てられた瞬間だった。
――1945年(昭和20年)8月6日 アトランタ市 ピーチツリー・ストリート
アトランタの中心街にあるピーチツリー・ストリートは普段ならば多数の人と車が行き交う繁華街である。しかし今は走る車の姿は無く、代わりに、そこかしこに天幕が拡げられている。その下には疲れ果てた顔をした人々が休んでいた。
風船の様に身体が膨らんだ人が担架に乗せられ運ばれていく。どこからか時々何かが弾ける音がする。通りのあちこちには赤黒い染みが広がっている。
この地獄の様な臨時避難所で州立病院の女性医師は横に立つ警官と空を見上げていた。その顔からは感情といえるものが削ぎ墜ちていた。この1ヵ月の過酷な経験が彼らからそういったものを奪い去っていた。
「そろそろ時間ね」
腕時計で時刻を確認して女性医師が言った。医師と言ってもまだ若いインターンに過ぎない。既に彼女の上司や同僚はその辺りの赤黒い染みに成り果てている。彼女はこの避難所に居る最後の医師であった。
「陸軍の爆撃機が物資を投下してくれるそうです。色々と足りていないので助かります」
答えた警官もまた若かった。彼も同僚や家族のほとんどが疫病の犠牲となっていた。
二人とも自分達が既に感染している事を知っていた。それでも彼らは最後まで義務を果たそうと努力を続けていた。
しばらくすると東の方から爆音が聞こえてきた。音の方向を見ると3機の銀色の大きな爆撃機が見えた。V字編単を組んで真っ直ぐこちらに向かって来る。
「来てくれたわ!」
自分達はまだ見捨てられていなかった、そう実感できたのだろう。女性医師が微笑んだ。それは彼女が久しぶりに見せた笑顔だった。
しばらくして左右の2機から何かが投下された。すぐにパラシュートが開きゆっくりと地上に向かって降りてくる。
「思っていたより小さいですね……とにかく信頼できる人間を回収に向かわせましょう」
そう言って警官が誰かを呼ぼうとした時、中央の機体から何か丸い物体が投下された。それはパラシュートも開かずまっすぐ落ちてくる。
「パラシュート事故か!?」
「まずいわ!下の人達を避難させなきゃ!」
女性医師はあわてて人々に避難を呼びかけようとした。しかしそれは出来なかった。
次の瞬間、強烈な白い光で二人の身体は蒸発した。そして影だけがピーチツリー・ストリートの路面に焼き付けられた。
この日から七日間の間にクリーブランド、ピッツバーグ、アトランタ、ニューオリンズの4都市が地上から消滅した。
投下されたのはロスアラモス研究所から科学者と共に東部へ退避していた爆縮型3発、ガンバレル型1発の合計4発の原子爆弾である。そして他の主要なターミナル都市や街道に対しても焼夷弾による爆撃が行われた。
健常者の隔離先としてはフロリダ半島とキューバが選定され、選別と移送が実行された。
だがそれも結局は無駄な努力であった。
1ヵ月後、英国を脱出しバハマへと向かう脱出船団がカリブ海へ押し寄せたのである。その中には戦艦や空母も含まれていた。その1隻にはライオンとハープをあしらった旗が掲げられていた。
既に操る者が死に絶えた船は次々とフロリダ半島各所やキューバの海岸に乗り上げた。そしてその地を細菌で汚染していった。
――1945年(昭和20年)8月 皆神山 基地
「敵対勢力の支配地域内でレベル2a兵器の使用を観測したでス」
「情報どおりでス」
彼らは上位個体の情報から敵対勢力がレベル2a兵装、つまり核分裂兵器を開発しているらしい事を知っていた。このレベルの兵器を手にした辺りで内戦により文明レベルが後退するのがシグマ因子の弱い惑星でよくある成長縮退パターンであった。
「この惑星から敵対勢力を完全排除する必要がありまス」
つまり放って置けば、いずれこの惑星でも再び文明縮退が発生する。そう彼らは経験から推測した。
核分裂兵器の直撃を受ければ流石に彼らでも無視できない損害を被る。例え兵装レベルの差があっても個体数差を生かした飽和攻撃を行われた場合は防ぎきれない可能性がある。
長年に渡るSIMUとの戦いから彼らはその危険性を熟知していた。最悪の事態を防ぐためには敵対勢力の根絶が必要である。そう彼らは結論付けた。
「敵対勢力には遺伝子差異の無い個体も多数含まれていまス」
「遺伝子差異の無い敵対勢力の排除も必要でス」
「散布物のアップデートを行いまス」
彼らは既に散布した人工細菌のプログラムに新たな機能を追加した。
追加されたのは細菌をクラスタ接続する事で処理能力を確保し、感染個体の言動を監視する機能である。そしてもし一定以上の敵対意思を観測した場合に発症動作が行われる様になっていた。
シグマ因子を用いる事ができないため判定は言語情報にのみ頼る事になる。言動の監視に加え、場合によっては言語の習得から行う必要が有るため判定に時間がかかるのが難点であるが、敵対勢力の確実な排除が期待できた。
こうして人工細菌は全ての敵対勢力に対して牙を剥く力を手に入れた。
戦域マラリア対策室(MCWA)は疾病予防管理センター(CDC)の前身となった組織です。ホワイトハウスの大統領危機管理センター (PEOC)はこの頃は只の地下壕でした。
州間高速道路 (インターステート・ハイウェイ)が整備されるのは1956年からなので当時は自動車で北米を横断するのに2ヵ月もかかっていました。国内航空線は戦後にパイロットの余剰が出て機体も進歩するまで非常に低調なものでした。
つまり1945年当時の北米大陸上の移動はほぼ完全に鉄道に頼っていました。このため北米大陸の感染は鉄道ターミナル都市を中心に拡散していきます。