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不登校

今朝、娘の美穂が不登校になった。


美穂は、千葉県の高岩小学校に通う小学2年生の私の娘である。

娘はランドセルを背負わず椅子に座ってポロポロ泣いている。

妻の恵子も椅子に項垂れてシクシク泣いている。

私は会社に行かなければならない。


前から不登校の臭いをぷんぷん出していたが、遂に親子で疲れ果ててしまった模様だ。


さあ、転生だ!


何て訳にいかないのが現実である。


正直社会人20年目の私からしたら、娘が不登校になるのは時間の問題だと思っていた。

妻もそれは気にしていたようで、幼稚園から毎朝一生懸命あの手この手で通わせていた。

私的には、正直小学2年生まで学校に通ってくれただけでも、良く頑張ってくれた方だと思っている。


何故私が娘の不登校を予期していたかと言うと、先ずは、妻の恵子が幼稚園から不登校だったからである。


娘の美穂は、顔も性格も妻にとても良く似ていた。

美穂は母親の遺伝を引き継いでいるのだ。


だから私は『蛙の子は蛙』と言う諺の通り、美穂は絶対不登校になると踏んでいた。


次に、これも遺伝と言えば遺伝だが、妻の恵子も娘の美穂も、社会で生きていくには、とても大人しい性格であったし、お人好しでもあった。


今の時代は一人っ子が多く、家の子が特別だと言わんばかりに親戚中で怒濤を組んで子育てをしている。


そのため同じ教室に素行の悪い生徒が居たのなら、家の子の席を、あの子の席から離してちょうだいと直ぐにクレームが入り、必然的に文句の言わない家の子の四方八方を、素行の悪い生徒が取り囲むことになった。


参観日に教室で見ていると、親たちの仁義なき戦いが行われているのが手に取るように分かる。


副担任は、全部の生徒を見回って授業の補佐をしている訳ではなく、何故か数人の決まった生徒に付きっきりであり、家の美穂には、ヤクザ顔負けの子が常にちょっかいをかけているが、担任も副担任もまるで注意をしない。


社会に出たことのない妻の恵子は、ここで起こっている親たちの仁義なき戦いが分かっていない様子であった。


美穂は後ろの席の子に、ちょくちょく頭を叩かれ、席も幅をグイっと寄せられている。

前の席の子も、後ろを向いてはもっと下がれと机を後ろに下げてくる。


そのため美穂は起立をする度に、するっと抜けるように真横に出ては起立をしていた。


まあ親族で子供が一人なら、そうなるのは当たり前かと、私は特に怒ることも無かった。


むしろ、一族に詰め寄られる姿を想像すると、担任の先生がかわいそうだなと思っていた。


つまり、我が子、我が孫が全てである大人たちと、その大人たちの我が儘に、上手く応えていかなくてはならない教員たちの、エゴが取り巻くこの教室で、文句一つ言わず何でもハイハイ言っている恵子と、いつも大人しくしている美穂が、その大人たちのエゴの犠牲になっていくことは、至極当然の理だったのである。


(遂に始まったか)


私は心の中でそう思い、椅子の上に項垂れてシクシク泣いている恵子に、

『まあ、そうあまり思い込むな。無理して学校に行くことはないよ。落ち着いたら、今後について家族でゆっくり話し合おう。』

と言って会社に出掛けた。


前にも言ったが、娘の不登校は、必然的なものであり、更に言わせてもらえば、娘の不登校を、私はまるで気にしていなかった。


解りやすく説明する。


【不登校が必然的な理由】

①妻の遺伝。

②エゴの取り巻くこの厳しい社会に出るには、性格が大人しく、人が良すぎる。

③妻が強めの腋臭であり、腋臭は2分の1の割合で遺伝する。どのみち生理がくれば、美穂の腋臭が教室中を臭いで埋め尽くす可能性が高い。

上手く社会に出ても、腋臭で一生いじめられる可能性が高い。

④学校では一人っ子が多い。酷いときは親族で一人の時もある。父方の祖父母も、母方の祖父母も、その子に命がけである。

その点、私の親族にも妻の恵子の親族にも、子供が沢山いる。

今の少子化の時代、とても恵まれており、申し訳なく思うときもある。

周りの大人たちに、どうぞ好きにしてくださいと言いたいくらいである。


【不登校を気にしない理由】

①私が一生養う。

②私には、第二次ベビーブームと、学歴社会と、就職難と、いじめ社会、リストラ社会、結婚氷河期、低金利時代を生き抜いてきたスキルと経験がある。

私が中学生、高校生のときには、1学年450人程の生徒がおり、学歴社会のど真ん中であった。

就職の時には、バブルが弾けた後の超氷河期であり、過酷な労働、いじめ、リストラが蔓延していた。

そんな中、私は国公立大の合格通知を6つも持っており、仕事も勤続20年を迎え、結婚して妻と子供2人にも恵まれ、住宅ローンの無い持ち家も市内に2軒持っている。


自分に絶対の自信を持っているのである。


③女は子供さえ産めれば、直ぐに結婚でき、結婚相手を間違えない限りは、社会に出ずとも専業主婦として生きていける。

④妻の遺伝は悪いことばかりではない。娘の美穂は、妻と同じく、かなりの美人であり、頭も良く、運動神経もかなり良い。

妻も娘も、この学歴社会、第二次ベビーブームを生き抜いてきた私が見てきた女の中でも、ベスト3に入るくらいの素材を持っている。

因みに妻は、私と結婚する30近くまで、ずっと引き込もって、パズルなどの色んな種類の雑誌を、何百冊も解いていたらしい。

しかも、妻も娘もギャグのセンスがとても高く、こんな素材が世に出ず引きこもっていたのかと思うと、とても勿体無いと思うくらいである。


以上を踏まえて、私は【不登校】をまるで苦に思っていないのである。


しかし、何もせず引きこもらせるつもりは毛頭ない。


他の子が頑張って生きているのだ、娘の美穂にもそれ相応に努力はさせるつもりである。


そのことを踏まえて、私の仕事が休みのときに家族で話し合いをした。


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