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Silent Code.

作者: ハヤ斗
掲載日:2018/03/12

儚(くら)い世界に小さな人影。

イメージは魚。時流に逆らって進んでいる。

色んな挫折を味わった。

色んな異論に阻まれた。

遊園地のように目まぐるしく回る世界に手を伸ばしている。


ふと目を移すと1人の少年。

観覧車から自由を撒き散らして、その一回転を『自分』と誇った。

眩しいその笑顔に思うところはあったのだろうか。

苦い唾液を嚥下する。

音のない世界は広い。

その静寂の中、ゆっくりと進む。


すれ違う女は口ずさむ。

「今日は少しだけ悪い夢を見ただけ。」

そんな自己暗示にも等しい言葉を耳にした。

今日に辿り着くため、何度悪夢を越えただろう。

何気なくこれまでの道程を振り返る。

来た道は消えていた。

目を閉じて、これまでのハイライトを思い浮かべた。

曇った視界に、星は見えなかった。


声の無い迷子が叫んでいる。

その逝く道が怖いのか。

何を求め、何に焦がれたのか分からない。

きっと聞こえていても意味は無い。

何処へも聞こえない大声で叫ぶ名も無き迷子に、道を教えるのは困難だ。

後ろ髪を引かれるままに、その景色を後にした。


見上げた穹に鳥影ひとつ。

向かい風を抱いて飛んでいる。

昨日は何処で何をしたんだろう。

忘れることに悔いはない。

悔いはない、けれど。

そういった忘れた何かが自分を形作るのだろう。

そう考えると、どうにもならない靄が思考をジャックするのを感じた。

ただ平凡に。せめて安寧を。

それは逃げではなかったのか。

何かがあったのだ。

灰色の、虫食いだらけの記憶の海の底に。

動機と言う名の挫折が。

もうどうやっても思い出せないけれど。

今はただ、向かい風の中を。


少年が観覧車で遊んだように。

女が傍観を決めたように。

迷子が思いを叫んだように。

鳥が飛ぶことを選んだように。

自分と言う誰かも、きっと歩んで行く事を選んだのだろう。

脚は棒のよう。背中は曲がり、腕に力は入らない。

誰もが出来損ないのゼンマイ人形。

道端のヒーローショー。

負けかけたヒーローが濁った瞳で呟いた。

「孤独を知ってしまった」

そう。

誰もが孤独なのだ。

自分だけじゃない。

孤独を持ち寄って、僕らは世界を旅している。

遊園地の出口はもうすぐ。

そんな中、キレイな瞳のヒーローの

「生命を知ってしまった」

そんな声が後頭部にぶつかった。


地面の溜息、木々の苛立ち。

風の足跡、空の涙、星の寂しさ。

色んな奇跡に包まれながら、僕と言う誰かは歩いて行く。

時々転び、時々休み、時々道を変えるだろう。

戻らない日々を探しながら、決して見つからない未来へ歩を進める。


頼りない自我を誇ろう。

忙しない世界を往こう。


僕らは永遠の旅をするんだろう。

いつか呆気なく死ぬとしても。


やがて荒野に花は咲く。

あらゆる国境線を越えて。

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