Silent Code.
儚い世界に小さな人影。
イメージは魚。時流に逆らって進んでいる。
色んな挫折を味わった。
色んな異論に阻まれた。
遊園地のように目まぐるしく回る世界に手を伸ばしている。
ふと目を移すと1人の少年。
観覧車から自由を撒き散らして、その一回転を『自分』と誇った。
眩しいその笑顔に思うところはあったのだろうか。
苦い唾液を嚥下する。
音のない世界は広い。
その静寂の中、ゆっくりと進む。
すれ違う女は口ずさむ。
「今日は少しだけ悪い夢を見ただけ。」
そんな自己暗示にも等しい言葉を耳にした。
今日に辿り着くため、何度悪夢を越えただろう。
何気なくこれまでの道程を振り返る。
来た道は消えていた。
目を閉じて、これまでのハイライトを思い浮かべた。
曇った視界に、星は見えなかった。
声の無い迷子が叫んでいる。
その逝く道が怖いのか。
何を求め、何に焦がれたのか分からない。
きっと聞こえていても意味は無い。
何処へも聞こえない大声で叫ぶ名も無き迷子に、道を教えるのは困難だ。
後ろ髪を引かれるままに、その景色を後にした。
見上げた穹に鳥影ひとつ。
向かい風を抱いて飛んでいる。
昨日は何処で何をしたんだろう。
忘れることに悔いはない。
悔いはない、けれど。
そういった忘れた何かが自分を形作るのだろう。
そう考えると、どうにもならない靄が思考をジャックするのを感じた。
ただ平凡に。せめて安寧を。
それは逃げではなかったのか。
何かがあったのだ。
灰色の、虫食いだらけの記憶の海の底に。
動機と言う名の挫折が。
もうどうやっても思い出せないけれど。
今はただ、向かい風の中を。
少年が観覧車で遊んだように。
女が傍観を決めたように。
迷子が思いを叫んだように。
鳥が飛ぶことを選んだように。
自分と言う誰かも、きっと歩んで行く事を選んだのだろう。
脚は棒のよう。背中は曲がり、腕に力は入らない。
誰もが出来損ないのゼンマイ人形。
道端のヒーローショー。
負けかけたヒーローが濁った瞳で呟いた。
「孤独を知ってしまった」
そう。
誰もが孤独なのだ。
自分だけじゃない。
孤独を持ち寄って、僕らは世界を旅している。
遊園地の出口はもうすぐ。
そんな中、キレイな瞳のヒーローの
「生命を知ってしまった」
そんな声が後頭部にぶつかった。
地面の溜息、木々の苛立ち。
風の足跡、空の涙、星の寂しさ。
色んな奇跡に包まれながら、僕と言う誰かは歩いて行く。
時々転び、時々休み、時々道を変えるだろう。
戻らない日々を探しながら、決して見つからない未来へ歩を進める。
頼りない自我を誇ろう。
忙しない世界を往こう。
僕らは永遠の旅をするんだろう。
いつか呆気なく死ぬとしても。
やがて荒野に花は咲く。
あらゆる国境線を越えて。




