人類縮小
どうも片桐ハルマです。
初めての短編読み切りでまとめ方が全く分からなくてかなり苦労しました。(笑)
五千字くらいのsf小説となっております。一応、完全オリジナルなのですが、どこかしらの小説なり映画なりの影響を受けてる可能性は高いと思いますのでその際は、ごめんなさい。
では、
『人工は増え続け、食料の供給は滞り、機械化されることによって働くことのできる人間も減ってきてしまった現代。そんな、暗い世の中に差し込む一縷の望み。』
そんなキャッチコピーを銘打ってとある企業が最近になって名前を上げ始めた。
Re;Word
仰々しい名前を使い世界を作り替えるなどおこがましいと始めは誰もがそう思っていたのにもかかわらず、彼らは圧倒的なまでの科学力でその地位を盤石なものにまで押し上げるのに一年という歳月は必要なかった。
彼らの特異な分野は主に産業ではなく研究機関のような会社である。様々な画期的かつ利便性の高い発明品を多く世に送り出している。
その会社に就職が決まった男性と結婚が決まった私は、今日かの会社の社宅に住むための説明に夫と両方の両親を連れて来ていた。
旦那方家に入るので、そちらの両親が来るのは分かるのだが、なんで私―綾野 朱莉の両親まで同伴するのだろうかと思っていたが、その理由はすぐに分かった。
「・・・へ? 今、何とおっしゃいました・・・?」
「はい。奥野様は旦那様も奥様のご両親とも持ち家を持っているという事ですので、そちらの権利を我々の方へ提供していただければ、資産はおよそ百倍以上になると思われます。」
「でも、会社を解雇になった場合とか、息子たちに家を残せないってことですよね?」
「いえ。当社では、こちらの用意させてもらった社宅に住んでいただければ終身雇用形態をとらさせていただいております。ご子息の方もですが、わが社で経営している修学機関にご入学していただければ、我が社の方で責任を持たさせていただきますよ。」
と、笑顔で語るのは8:2分けでしっかり髪を固めた外国人の男性である。
終身雇用。今や死後になってしまった雇用形態のことであろう。入社から死ぬまで会社が面倒見てくれる社会なんてうん十年前に消え去ってしまったはずなのに、この会社はその雇用形態を採用している。それに加え、学校も経営し、そこに子供を入れれば、子供の将来も安泰とのことだ。
こんな会社があるのだろうか? 絶対に裏があるはずだ。
すべての話にまず躊躇から入る性格の私からすればこんな話を信じることは出来ない。目の前にいる万人受けしそうな顔立ちの男性の完璧なまでの笑顔すら作り物に見えてくる。そして、この性格は当然両親(主に母親)から引き継いだものであり、
「三家族同じ家に住むという事ですか?」
「いえ。その限りではございません。いくつかプランがございまして、綾野様の資産でしたらこのような形式も可のですが?」
と、初めからこの話が出てくる事を予想していたのか、これがマニアル通りの対応なのかは不明だが、ファイルになった資料のいくつかを私の両親に渡している。
その間、終始笑顔な旦那の両親は初めからこの話には乗り気だったようで、土地の権利書等は既に売ってしまっているらしい。
「本当に百倍になるんですか?」
「はい。このサイズの土地をお持ちなのでしたら、奥野様は70坪、綾野様は80坪当たりの土地をご用意させていただきます。ですが、いくつか条件のようなモノがございまして・・・・。」
ほら見たことか。やっぱり、条件が付くに決まっている。終身雇用に子供の養育、百倍の資産なんてうますぎる話が、無条件でもらえるはずがない。旦那を含む家族は、その条件を破格と判断したのかもしれないが、私はそう簡単に騙されるわけにはいかない。
「身長を百分の一にさせていただきます。その後、当社で開発したコロニーにて暮らしていただくことになります。」
「・・・・・・すみません。もう一回いいですか?」
いや、聞こえてはいた。しかし、私の常識からは荒唐無稽すぎる話の飛躍に理解が追い付かなかった。
「ええ。もちろんです。我が社の秘匿技術の一つに人間を小さくすることが出来るモノがございまして、大体、身長が百分の一になるものです。ですので、通常の百分の一の面積に住むことが出来るので、このような社宅のご提案をすることが出来るのです。」
なるほど、理に適っている。身長が百分の一になれば土地も家も百分の一。さらに言えば、通常の大きさの食材を使えば一日分の食糧で百日間生きることが出来る。で、あるのなら先程の異常なまでの経営形態を維持できるかもしれない。しかし、
「そんな話一度も聞いたことが無いのですが?」
「はい。何分身長が百分の一になってしまいますので、コロニー外で生活することは出来ません。また、外部との連絡等もこちらで制限を設けさせていただきます。最後に元の大きさに戻ることも出来ないのでその辺の注意が必要になります。」
「この話を一度持ち帰ることってできますか?」
「ええ、もちろんです。」
再び完璧な笑顔が帰って来た。
その夜。田舎に住んでいる私の両親を旦那方の両親の家に招待して家族会議が行われた。
「絶対小さくなるべきよ。不便なのは最初だけ。田舎に住むのとそう変わらないわ。」
「でもなぁ。信用できるのか?」
「もう何人もなっているわ。私達はコロニーも見せてもらったわ。」
意見は完全に三勢力に分断された。
体を小さくするという事は、なにをされるか分からない不安が勝ってしまう綾野家。
持ち家と土地を売ってしまっているため、排水の陣の奥野家。(社宅に住まないのであれば帰ってくるらしいが)
双方の合意の方向でいいよ。と、当人の問題なのに我関せずな旦那。とどちらかといえば綾野家よりの思想を持った旦那陣営の朱莉である。
やはり、体を小さくされるのは抵抗がある。それに関する資料も貰ってはいるのだが、ほとんどが秘匿技術なのか、外観からの説明だけが長々と書いてあるだけだった。
白熱のしない討論は、沈黙と共に時間だけが過ぎていく。煮えを切らした私は、少し不機嫌を装って旦那に小声で話しかける。
「あなたの問題なのに。何か意見とかないの?」
「僕は別にないよ。ただ、孫が生まれたときのことを考えればみんな同じ大きさがいいかなって。それに、子供の教育も仕事も面倒見てくれるってのは魅力的かな。ただまあ、子供に地球の絶景ってのを見せてあげられないのは残念かな。コロニー内にも綺麗な場所はあるらしいけど、全部作り物だからね。」
と、意外にしっかりした意見が帰った来たことにわたし以上に、旦那の両親も驚いたときには正直吹き出しそうになった。
「・・・そうよね。孫が百分の一じゃ、抱くどころか会えもしないのよね。」
「・・・・みんなの問題だもの、ゆっくり考えましょう?」
やはり、女は同調が早いもので、同い年の私の母親と奥野家の義母さまは早々に意見のすり合わせに入っているようであった。
かくいう私も少しづつ小さくなることに賛成したい気持ちが生まれてきているのは確かだ。やはり、子供のことを考えれば現状の人口増加、ロボット工学の発展による就職困難、環境汚染の侵攻により、貧困層の人間を宇宙に放り出す計画すらある都市伝説すら流れてきているくらいだ。いつ、食べ物がなくなるか分からない。そう言ったことを考えれば、小さくなって暮らすことも悪い点が少ないとも思う。
「コロニー。見に行きません?」
その私の提案が決定打になったようで後日、コロニーの様子を見に行った私達三家族は、小さくなることを決断した。
簡単にコロニーの様子を説明すると素晴らしいの一言だった。
約20000平方キロメートルのコロニーはおよそ百区画用意されておりその面積の早計は地球の陸地の面積の百分の一になるらしい。区画ごとにテーマや環境が設けられており、その様子はまるで地球そのものを小さくしたようであった。海の部分はかなり縮小されているのだが、それでもRe;Wordという会社の名前に相応しい、第二の地球とも呼べるものだった。旦那がいっていた通り作られたものだが、世界遺産もいくつか見ることが出来たし、何より中の人々に不安を見ることは出来なかった。管理された世界に災害など無く、疫病も無い。食料の方も住んでいる世界以上の畑がるのと同じことなので全く問題はない。
何より、現在人類が抱えている問題に直面することはありえない。何せ、地球を百個手に入れているのだから。
「賢明な決断だと思いますよ。私もこちらの仕事が済めば過ぎにでも小さくなりたいと思ってるくらいですから。」
「はい。お願いします。」
最初にあった時と同じ8:2分けの外国人が対応してもらった。いくつかの渡された同意書には、以前貰っていた資料に書かれた注意点が記載されていたが、私達の決断が変わることは無い。
三家族土地を含めたすべての財産を譲渡し、あらたな世界で生活を始めることに同意をする。最終的には、私たち家族と旦那家族、その隣の土地に綾野家両親が住むことで決定し、二つの土地を合わせ、なんと150坪の大豪邸を入手することが出来た。(現実世界からすればたった畳二枚分ぐらいしかないんだけどね。笑)。ただ、身長一センチの私達からすれば広すぎるほどの土地である。
手術というよりかは、某国民的アニメーションのような光線を浴びると少し体を小さくすることが出来る。それを十日間に分けて身長を百分の一することで体への影響を極力防ぐそうだ。
しかし、生まれたままの姿で十日間過ごさなくてはならないのは、やはり結婚していても気恥ずかしいものだったが、十日たった後は天国のような世界が広がっていた。
それからの私達の生活は見違えるように変化していった。と、言っても飛び切りの贅沢をしているわけでは無い。今までの様につつましく普通と呼べる生活を営みつつ、普通以上の幸せをつかんだといっても過言ではないだろう。
「進捗状況はいかがなものかね?」
少し照明の足りない部屋に円状に広がる机。その周りにさまざな国の人間が座っている。恐らく偉い人物なのだろうが、TVに彼らが映ることは絶対にないのだろう。
そして彼らが取り囲む中央、そこにはスーツ姿の男性が一人腰かけている。
「今日でおよそ12億人の収容が終わりました。この調子で事業を拡大できるのであれば、五年もしないうちに目標の人口30億人の収容が完了すると思います。さらに、追加のコロニーの方も既に完成済みですので、すぐにでも第二段階の準備は出来てますよ。」
「それはよかった。今後も鋭意努力してくれたまえ。」
何語を話しているのかは分からないが、それぞれがそれぞれの母国語に翻訳するイヤフォンを装着しているので意思を疎通するうえでの障害は全くない。
「地球に住むことのできる人間の許容人数はおよそ三十億だ。そこまで減らす必要がある。」
Re;Word
世界は作り替える必要がある。地球は、人間が蝕み過ぎた影響で限界を迎えてしまった。だから、人口を減らす必要があったのだが、貧困層を宇宙に放り出すことは反感を買い過ぎる。かといって、有名になってしまった人類の進化する計画は、間に合わない可能性が高すぎる。
なら期間を延ばせばいいのでは?
幸いというべきか、人類は何でもモノを小さくすることには長けていたようで、人間すらも小さくすることに成功した。百分の一になった人類であれば現状の陸地の大きさでも十分賄う事が可能だ。
もっと言ってしまえば、我々のような管理者以外すべて小さくしてしまえば、反感を持ったところで何をする事も出来ない。その後に宇宙にでも飛ばすか、滅ぼせばいいのだ。
いつの間にか中央にいたスーツの人物はいなくなっている。ホログラフィック映像だったのだろう。管理者だと思っている彼も我々からすれば傀儡に過ぎない。
「いや、滅ぼすのではなく、このまま観察してもいいのではないか? せっかくいい玩具が80億個もあるのだから。」
「人間がおもちゃか? 奢ったな。神にでもなったつもりか?」
「同義じゃないか。ミニ・マンどもからすればな。」
「確かにそうかもしれないな。」
八十億人の人間を支配し、地球を管理した人間は、円卓だけの薄暗い部屋で笑う。両手で数えることが出来るほどしいない人数で。
そんな、部屋を眺める瞳が一対。その瞳を持つ者の声は決して、円卓を囲む支配者には届かない。しかし、彼らにも理解できるであろう言語でこう語る。
「こ の コ ロ ニ - も し っ ぱ い だ 。 」
いかがだったでしょうか?
本当はもっと支配階級の描写を入れたいと思っていたのですが、なんだか長くなりそうだったので強制的に終わらせました(笑)
なので、その辺りはつまらないかもしれませんが、設定はいいですよね?笑
実は、自分はこういった陰謀論てえ黄なものが好きなので、今後も自分なりの陰謀論等を短編の小説に出来たらいいなって考えています。
では、中身の話になりますが、前書きでもいいましたが、完全オリジナルのつもりで書いてますが、きっと何かのパクリですよね(笑)人間を小さくして一か所に集めれば、管理も始末も楽になる。そう言った支配階級の人たちも実は、縮小化されたコロニーの中の住人で、一人の人間の実験サンプルに過ぎない。と、いうお話です。
ご要望が一つでもあればもうちょっとしっかりした書き物にする気はありますので、その際はぜひ。
では、こんな感じで月に一回くらいのペースで短編もかけたらいいなと思っていますので、長編の方も含め読んでくださったことに感謝を
そして、今後ともあなたに出会えることを切に願いつつ締めにさせていただきます。
では。