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〈田舎者の嫁探し〉あるいは〈超越者の創世〉~種族的に嫁が見つからなかったので産んでもらいます~  作者: ナザイ
第4章〈アーク主催イベント〉あるいは〈縁結びイベント〉

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第八十一話 大戦あるいは失敗

投稿が遅くなりすみません。

いつの間にか前回投稿から夏至になっていました……。

 


 グハロマハヤ塩砂漠での激戦は目を離せない死闘であり、縁結びも上手くいきそうでそういう意味でも目を離せないが、他の場所でも物語の一ページに、場合によっては歴史書の一ページになりそうな戦いが繰り広げられていた。


 例えばアジェンリッヒ帝国でのドラゴン肉争奪戦も、大きく進展していた。

 初っ端かな舞台となった世界史上最大の大帝国、その首都を陥落させる勢いのそれ以上白熱しようも無さそうな戦いだったにも関わらず、更に過熱していたのだ。


 その理由はイベントの参加対象が拡大され、何故か冒険者ギルド等の世界勢力が総力を挙げる号令を発したからだ。

 号令は本当に効力があったようで実際に参加者が増えて、凄まじい激戦が更に激しさを増していた。


 そしてそれにより協力へと導く単純な方法、難易度を向上させるという手法が意図せず成されていた。

 ここは仲間割れするチームがあり梃入れしようと思っていたので、ちょうど良い。

 災い転じて福となすと言うやつかも知れない。


「これは再興の最後の機会! これ以上のチャンスは無い! 今こそアジェンリッヒを討ち滅ぼし、我らが栄光を築くのだ!!」

「「「おおお!!」」」

「陛下に続けぇ!!」


 一世一代の賭けに出た亡国からの御一行。


「アジェンリッヒにこれ以上好きにさせてはならぬ! 今こそ世を正すのだ!! 征くぞ!! アユーヴェンの勇士達よ!!」

「第十から第四師団は帝都の外の敵を排除せよ! 第二師団と第一師団は陛下と共に帝城を落とせぇ!!」

「アユーヴェンに負けるな! 世界の王者は我々だ!!」

「イレブフル騎士団! 今こそかつての聖地を取り戻すぞ!!」


 帝国と敵対していた国々の主戦力の皆さん。


「お前達はやり過ぎた。世界の敵はここで滅ぼす」

「龍の力は世界の均衡を崩し、世界を崩壊へと導く。何としても他勢力に先んじて龍を確保し、封印するのだ!」

「悪いがこれも娘の病気を治すため。薬の為に、滅びてくれ」


 他にも各世界勢力に派遣された者や唆された者達が次々と、各世界の用意した転移門を潜り抜けて現れる。

 帝国側も、この非常事態に各地の戦力を呼び戻し、もはや戦いは世界大戦並の規模に発展してゆく。


 災いが転じて福となっても、災い分が多い気がしないでもないが、これ程の環境であればきっと縁結びの一つや二つ、成せる筈だ。

 少なくとも、普段は協力し合わない人々も、この過酷な状況下では協力し新たな関係へと至るだろう。


「流石に、世界大戦規模とはやり過ぎなのでは?」

「転移門で繋げたり支援はしたけど、強制はしていないみたいだから、これは各々が選択した結果だよ。世界大戦になる事もそれぞれ覚悟の上だし、いつか起こる大戦が今になっただけ。イベントの為に引き起こしたと言うよりも、世界大戦の場でイベントを開催していると言う方が良いんじゃないかな」


 現に、新たに加わった人達の大部分は龍の肉を目指してはいない。

 敵国の首都に転移門を開くと言うから乗っただけで、目的は帝国の打倒。

 龍の肉を目指していないどころか、聞いてはいる筈なのに既に忘れている者が殆どだ。


「僕達は世界大戦をイベントに利用し、やって来た人達はイベントを世界大戦に利用する。ウィンウィンな関係と言っても良いと思うよ」

「確かにそう言われるとウィンウィンな関係の様にも思えますが、帝国側は大幅に損をしていますし、どちらかと言うとあらゆる作品の悪役の方がよく言う『俺がヤらなくても誰かがヤッた筈だ』と同じ理屈では?」

「……よく使われるセリフって言う事は、その部分だけだと正論なんだよ。しかも色々な場面で汎用的に使える人の価値観に合った、多くの人が共感出来る程の大雑把な正義なんじゃないかな? 天秤が完全には傾かないけど、正義寄りの理屈、その後に続くセリフで矛盾を指摘しなければ天秤は逆転しない、正義なんだと思うよ」

「確かに、必ずその後に正義側の方がセリフを言わなければ、悪役は後悔や反省をしないイメージは有りますが……」


『俺がヤらなくても誰かがヤッた筈だ』と言うセリフは出た時点で、その理屈が思い浮かぶ様な事態になった時点で、大抵はヤられた側に相当な非があるのだ。

 言い換えれば因果応報。

 頻繁に正義側が基準とする法は、結局の所、この人の根本的な価値観の一つ、願いの一つを現実のものにする為にある。


 善は善で返され、悪は悪で返される。

 努力を始めとした美徳は実を結び、七つの大罪を始めとした悪徳は破滅を招く。

 即ち善い行いは報われ、悪しき行いは罰せられる。


 因果応報こそが、人の根本的な基準、願いでありそれを叶える為に強制する力が法だ。


 つまり因果応報という概念は実際のところ、法の上に位置している。

 よって、帝国の崩壊、世界大戦を容認するのは寧ろ正義とすら言えるのだ。


「……仮に法が因果応報に基づいて構築されているとしても、法がなければ人によって因果応報の範囲や強度はバラバラです。法があって初めて秩序が、それに沿った正義が生まれるのでは?」

「…………そう言う考え方も有るよね」


 ご尤もだ。

 しかしここは反論しなければ、僕が悪役側みたいになってしまう。


 何か良い突破口は無いかと考えるのみならず色々なところを視てゆくと、思いの外近くにその答えはあった。


「法律が無ければ定量的に同じ正義は無いのかも知れない。でも、英雄と呼ばれる程の正義の体現者、正義のヒーローとかって殆どが法律を守っていないよね」

「……公的では形で活動しない事が多い様に思えますが、言い過ぎでは?」

「いや、例えば日本のヒーローの大部分は確実に銃刀法違反だと思うよ」


 他にもヒーローが乗る特殊な乗り物はどの免許が必要なのかも不明な公道で走れる訳もない無認可のものだろうし、敵を倒す為とはいえ器物損壊もしまくりだ。

 変身時に服が消えるパターンのものは一瞬でも公然わいせつだろうし、私有地にもズカズカ入り不法侵入のプロと言っても過言では無いし、秘密基地が有れば十中八九違法建築、活動に大きな資金が必要で秘密を守ろうとしていたらどこかしらで脱税している可能性も高い。


 どこの国の法律でも大体アウトだろう。


 つまり、殆どのヒーローは脱法どころか違法を省みない人達だ。


 そんなヒーローを人々は正義であると疑わない。

 仮にそのヒーローを取り締まる者がいるとして、そちらが悪に見える事すらも有るだろう。


 よって法の下に正義があるのでは無く、法の上に正義があるのだ。


「確かに、正義の味方の方々は違反行為をする方ばかりですね。もはや、法の下では正義の味方には成れないと言っても過言では無いかも知れません」

「……いや、それは過言が過ぎると思うよ」



 僕達が世界大戦にまで発展したイベントの是非を考えている間にも、アジェンリッヒ帝国での戦いは激化の一途を辿っていた。


 しかし、そんな中でもぶれずに龍の肉を求め続ける元からイベント参加者の先輩達は一際異彩を放っていた。


 まず世界大戦という規模であっても戦場にいる大部分の人達、先輩達以外はこの世界の人達だから文化が違ってもどこかは繋がった装備を身に纏っている。

 しかし別世界から、しかも元はバラバラの世界からアンミール学園に集った先輩達は魔法文明から科学文明までバラバラ。

 そう言う意味での異彩。


 加えてそんなこの世界では異質な先輩達同士が争っている。

 急にドラマ撮影やヒーローショーが始まったかのような目立ち具合だ。


 何より、強い。

 お互いに争いながらも、どの勢力よりも最前線にいた。


 その中でも更に最も前にいるのはクラスメイトとチームを組んでいるチーム三年三十二組のリキュア先輩だった。

 戦艦を格安で購入し、その費用を盛ってクラスメイト達に請求していた先輩だ。

 それがバレてクラスメイトから逃げていたが、未だに逃げ続けてその結果、誰よりも前にいた。


 逃げるついでに目的の龍の肉を確保し、そのまま逃げ切る方針らしい。


 時間属性が得意な関係上、加速や減速はお手の物でこの調子だと少なくとも逃げる事には成功しそうだ。


 しかし龍の肉の確保も目地すとなると難しい。

 何故なら、道が完全に閉ざされた帝城の地下に龍の肉は眠っているからだ。

 速さだけで突破できるものではない。


 だが、既に龍の肉を目指しながら逃げ続けたリキュア先輩の目の前は帝城だった。

 城は当然防御力が高く、城下町も防衛を考え配置されている為に目前は城壁、後ろには怒り心頭のチームメイトと、退路が存在しない。

 前からは帝国の精鋭達も襲いかかって来る。


 それでもリキュア先輩は足を止めない。


「”時間偏差“!」


 真っ直ぐ走り続けるリキュア先輩の横や上を砲弾や魔術が通り過ぎ、帝国軍とチームメイト、そしてライバルチームの元へと飛来する。

 真っ直ぐ走り続けているのにリキュア先輩は無傷。

 かなり精密な時間操作だ。自分に向けられた攻撃を加速減速させて軌道をずらしたのだ。

 しかもここまでして、時間加速と減速を同時に起こして時間のバランスをある程度維持する事で魔力の消耗も抑えている。


「くっ、こうなったら広範囲攻撃だ! それなら加速でも減速でも避けられない筈だ!」

「分かりました! ”グラビティパンチ“!」

「”ブラストカノン“!」

「”デスブラスト“!」

「“雷槌”!」


 重力属性魔術師のニレーナ先輩が放った重力中心の光線は通り過ぎた周囲のものを引き寄せ、進行方向に対して巨大な円柱状に破壊をもたらしてゆく。

 下への力、通常の重力を前提とした建造物は堅牢な造りのものも簡単に崩れ、質量兵器として引き込まれたものに対する破壊を増加させた。


 この時点でリキュア先輩の所在も分からなくなる程の破壊が繰り広げられたが、そこに灼熱の熱線が通過し大爆発を起こし、破壊の概念が込められた爆発や巨大なクレータが出来る程の太く束ねられた雷が落とされ、辺りは光と熱と砂嵐に包まれる。


 何気にライバルチームも巻き込む様に放っていたのはご愛嬌だ。


 だが、そんな被害状況の確認も難しい中、真っ先に動いたのは無傷のリキュア先輩だった。


 リキュア先輩は範囲攻撃を結界の時間を止める事で破壊という時間の進まない不壊の結界を生み出して防ぎ切っていたのだ。

 そして、攻撃されるのは計算通りだったらしく、見事に利用して帝国軍を排除していた。


「感謝します。私は大規模破壊が得意では無いので、城門を抉じ開けてくれて大変助かります」


 そう言い残して巻き込まれて大穴の空いた、と言うよりも壊滅した城門から中へ走り去った。

 あっという間に土煙の中だ。


「クソっ!」

「待ちなさい!」


 当然、逃げられるどころか利用されたクラスメイト達はより一層激怒し、追いかけようとするも、妨害する者達がいた。


「”破曲――雷鳴振砕――“」

「”光矢鏡増“!」

「”整理整頓――温冷――“!」


 ライバルチーム御一行だ。


 ビリオン先輩が糸により奏でた音は周囲を揺らし粉砕、更に共鳴する瓦礫同士の摩擦により生じた雷が三年三十二組チームに襲いかかる。

 そこにカヨ先輩の鏡魔法により増やされ、鏡による反射によりどこかに命中するまで消えない光の矢と鏡の世界が展開され、パルフェ先輩の掃除魔法により分別された熱と冷気の砲弾が降り注ぐ。


「待て、どさくさに紛れて俺達も攻撃しただろう!?」

「ここがお前達の墓場だ!」

「くっ、気付きやがったか」


 どさくさに紛れていたのは完全な故意だったらしく、反撃への対策もしていた三年三十二組チームは激しい攻撃に曝されたにも関わらず、無傷で爆炎の中から飛び出す。

 そして正面から戦ってはその間にリキュア先輩の一人勝ち、それだけは許せないと足止め程度の攻撃に留めて城へと駆け出した。


 しかし、この場にいるのはイベント参加者ばかりでは無い。


「「「”ファイアバリスタ“!!」」」


「「「”ファイアカタパルト“!!」」」


 城には当然帝国の皆さんが、それも国の中枢を守る帝国屈指の、大陸統一国家である帝国屈指、即ち大陸屈指の精鋭達がいた。


 城門付近を木っ端微塵にされるも、短時間で体勢を立て直した帝国騎士団が侵略者達に儀式魔法を放つ。

 放たれたのは”ファイアバリスタ“と”ファイアカタパルト“、それぞれ”ファイアアロー“と”ファイアボール“を大規模にした攻城魔法だ。

 儀式魔法の中では簡易的でそこまで強くはない術だが、攻城魔法は名前の通り対人ではなく対城を想定した大規模魔法、先輩達を全く侮れない相手と理解し全力で対抗するようだ。


 幾つもの炎の攻城槍や攻城球が先輩達に降り注ぐ。


「”魔法反射(マジックリフレクト)“!」


 しかし、カヨ先輩の鏡魔法で容易く儀式魔法はベクトルを反転させた。

 消耗したエネルギーを補填する効果は無いようで、放った相手にそのまま返る訳では無いようだが、幾つもの儀式魔法が跳ね返されて城中から火の手が上がった。


 そうなると次は白兵戦。


「反逆者共め! お前達を始末したらお前達の故郷も灰にしてやる!」

「栄ある帝城に傷を付けた代償、安く済むと思うなよ!」

「攻撃したら反撃される、そんな事も学校で習わないんですか? 野蛮な国ですね。お馬鹿な貴方様に良い事を教えて差し上げましょう。これは、正当防衛と言うんです」

「さっさと賠償金に龍の肉を支払って貰おうか」


 何か、とんでもない主張をする先輩達。

 あれだけ派手にヤっておいて正当防衛を主張している。

 しかも龍の肉を賠償金として要求する始末。


 確かに、先に戦艦に攻撃をしたのは帝国だが、首都近郊にいきなり激しく争う戦艦が現れたのなら攻撃してもおかしく無い気がする。

 いや、戦艦に攻撃となると即戦端を開く事になるのも確か。つまり攻撃した時点で覚悟している事になる。正当防衛も成立するのか?

 そう言えば、警告とかはしていなかったし。


 まあ、もはや勝った方が正義と判断される様な全面戦争だが。


 城のみならず帝都中から火の手が上がっているし。


 唯一気になる、心配なのは善良なる市民が無事かどうか。


「御安心を、善良なる一般市民への被害は生じない様、万全の対策をしております」

「参加者を誘導した各世界勢力が対策済みです」


 心配に思っていると僕達の筆頭眷属、サカキとナギが音もなく現れてそう報告してくれた。


 視れば、あちらこちらで、どの舞台でもイベントの邪魔にならないように善良なる人々の保護をしてくれている人達がいた。

 流石に何も考えず焚き付ける事などはしないらしい。


 後で死んだ人達を完全復活させる様な事にならなくて良かった。

 ある程度正当な理由を持って攻撃を与えた人達の成果、起こした被害を戻すかどうか考えるのも大変だし、やはり最初から悲劇は起こらない方が良い。


 尚、あくまでも保護するのは善良なる人々だけのようで、カルマ値がマイナス側の悪い人達は一切助けておらず、侵略戦争に関わるなどマイナス値までいかなくとも恨みを買っている人々の犠牲も黙認されているが、これは日頃の行いのせいだと諦めてもらおう。

 建物とかの被害も、これは帝国自体の日頃の行いのせいという事にしておく。



 それにしても、世界大戦規模の戦いにまで発展したのに、関係性は全く発展する様子が見られない。

 寧ろ、他チーム同士では仲が悪化し、同チーム内でもまだ争っている始末。

 まあ、新たに増えたのは敵の敵、つまり味方と言えない事もないし、ここは強制的に協力関係へと導く難易度が下がってしまったのかも知れない。

 規模と難易度は全く関係ないのだから、大きく変化しなくても当然と言えば当然だ。


 そう思っていると、この帝国における最難関、最精鋭達が先輩達の前に姿を現した。


「この程度で通れると思うな」


 跳ね返されて続けていた攻城魔法の雨を黒い大剣の一振りで消し去る如何にも将軍といった風貌の髭面の男。

 彼はアジェンリッヒ帝国にたった二人だけいるS級冒険者レベルの実力者、帝国最強との呼び声も高い【黒剣】のヴォルフレッド。


 その後ろには帝国最強、帝国軍上位十二名からなる【十二禁色】の内、十人。

 帝国の切り札の大部分がやって来ていた。


 これなら激戦での共闘、更にそこからの恋愛関係も望める筈。


「【十二禁色】が十人も…、だがここには貴様等に恨みを持つ各国の最高戦力が揃っている! 崩れた城をお前達の、この国の墓石にしてやる!」

「十人揃って寧ろ好都合。【紅鎌】がいないのが残念なくらいだ!」

「イレブフル騎士団が聖騎士長ウィルヘルム、いざ参る!! 道を切り開いた団員達の献身を決して無駄にはしない!!」

「【アユーヴェン三騎士】が貴様等の相手だ!」

「魔導院、賢者の塔【北塔主】オルフェノークがお相手いたす」


 先輩達と帝国最高戦力との激戦を期待していると、そこに現れたのは色々な勢力の支援で飛び入り参加した反帝国、その中でもそれぞれでトップクラスの実力を持つ人達だった。


「貴様等、属国の蝿共か。まだ生きていたとはな。大人しく野垂れ死んでいればいいものを。後悔の中で死ぬが良い! “黒龍晩餐”!!」


 黒い大剣から畝る龍の様な雷にも見えるエネルギーが放たれた。


「イレブフル騎士術弐ノ型”円転槍壁“!!」

「緑星流奥義”流星雨“」

「”韋駄天の衣(スカンダクロス)“、”六連星刄(ダガースバル)“!」

「――覚醒めよ愚者――”グランドシャイン“!!」


 迫る龍雷を回転させた槍で弾き、枝分かれした細かい雷は空から降らした矢で破壊しつつ【十二禁色】も攻撃、その隙に超加速した短剣使いが六つに分裂したかの様に見える超速斬撃をすれ違いざまに放ち、大魔導師が宝玉に封じられた膨大な魔力を開放し高出力の光線を撃ち込んだ。


「”シールドバッシュ=インパクト“!!」

「”緑龍装“、”緑龍の鉤爪“!!」


 しかし相手は帝国最強の集団。


 飛ばした結界により光線や矢は押し返され、高速で駆け巡る短剣使いには同じく高速で駆け出した緑の戦士が立ち塞がる。


 誰一人倒れることなく、お互いに倒れると考えてもおらず、本格的に火蓋が切られ両者は激突した。


 …………一番の試練担当だった筈の【十二禁色】が誰もアンミール学園からのイベント参加者の相手をしていない。

 まさか、参加者が増える事でこんな弊害が起きるなんて。


 せめて未婚者の縁結びでもしたいところだが、この場にいるのは皆、相手がいる人達だった。

 世界大戦になるという環境下で、縁結び対象者だけを連れて来るという事は出来なかったらしい。


 いやいや、先輩達が城に突入したら対応せざるを得ない筈。


 と希望的観測をしてみたが、先輩達は【十二禁色】に相手される事なく城に侵入を果たした。


 戦っている反帝国勢力が油断出来ない実力者である事に加えて、知名度や年齢的にそこまでの脅威では無いと誤った判断を下してしまったようだ。

【十二禁色】は誰もがA級冒険者並の実力者であり、【黒剣】はS級冒険者並の力を持っているが、それは帝国最高峰の武具を纏っての話。

 それでも脅威としては十分だと思っていたが、まさかこんなところで問題になるとは。


 先輩達も反帝国の人達とは違い目的が打倒帝国ではないから、自分から挑みに行く必要は無いし、自分から試練を受ける事は無いだろう。


 つまり、先輩達にとっての最大の難関はライバルチーム、もしくはチーム内の誰か。

 誰も死力を尽くす程に全力を出してもいない様だし、これではアンミール学園の日常的な戦闘訓練と変わらない。

 多少、仲が悪化した事で普段より激しくぶつかってはいるが、縁が深まるどころか悪化し、戦闘能力すらも成長を促されていない。


 うん、認めよう。

 ここは縁結びとしては完全に失敗している。


 ……世界大戦規模にまでなったのに。


 あっ、帝城の上半分が崩れ落ちた。

 反動で下の方まで激しく崩れ始じめる。


 流石にこの非常時には帝国最高戦力の内、何人かが即座に向かおうとしたが、その隙を突かれて一人は致命傷を追い、残りも負傷するなり止められるなりして、結局誰一人向えていない。


 城に唯一残っていた【白杖】の称号を持つ宮廷魔術師長がおり、様々な国宝のアイテムを持ち出し迎撃しようとする。


「この方がどうなっても良いんですか?」

「ぶっ、無礼者!! 余を誰だと!! くっ!!」

「余計な事を喋ると首、飛びますよ?」

「よっ、要求はなんだ!!」


 迎撃しようとしたが、加速したリキュア先輩に皇帝を人質に取られて、動けなくなってしまった。


「まず、あの方々を排除して貰いましょうか」

「リキュア! もう逃さないぞ!」

「こ、此奴の言う通りのにしろ!!」

「はっ、“滅龍の怒り(デストロイフレイム)”!!」


 そして何と、宮廷魔術師長に他の先輩達を攻撃させた。

 国宝級マジックアイテム、その中でも地の利を活かした龍の力を吸い上げる魔導装置を用いて、都市をも一撃で焼き払う滅びの暴威を放った。

 崩壊し出来た穴から侵入してきた先輩達に向け黒紫の光が発射される。

 この世界のS級冒険者、最高峰の実力者でも放てない、個人が扱えない破滅の光だ。


 しかし相手は何れ英雄と呼ばれるかも知れないアンミール学園の学生達。

 まだこの中にはS級レベルの力を持った人はいないが、誰もがある領域では限定的にS級にも迫る力を持ち、そもそもA級レベルの力を持った人も多数いる。


「“解体真初”!」

「“エンチャント――絶空――”!!」

「“塵箱――燃――”!!」

「“グランドウォール”!」


 一人なら兎も角、そんな一団には都市を焼き払う一撃も通らない。

 魔力に分解され、空間の断崖絶壁に遮られ、耐火空間に吸われと破滅の光は消失した。

 防御魔法の方が過剰で、接触せずに残ったものが有るくらいだ。崩壊した城からちょっとした岩山の様な壁が突き抜けたままになっている。


「脅されたとは言え、アンタから仕掛けたんだ」

「悪く思うなよ」

「ぐがっ!!」


 そして報復、呆気なく【白杖】は敗れた。


「観念しろ」

「奪った金、慰謝料たっぷり付けて返して貰うぞ」


 退路もなく囲まれたリキュア先輩だが、その表情にはまだ余裕があった。


「良いんですか? 皇帝がお亡くなりになりますよ?」

「そんな赤の他人、俺達にとって人質としての価値は皆無だ」

「寧ろ、その方は恨まれているようですし、見捨てたら多くの人から感謝させるでしょう」

「龍の肉に辿り着けなくても良いんですか?」

「問題ないさ。地下から大きな力の波動を感じる。場所ならもう分かってる」

「分かっててもどうやってそこに行くんです? この城みたいに障害物を破壊して進むとでも? 破壊して進んで、瓦礫の下敷きになった龍の肉を回収するとでも? こんなにも邪魔者がいる場所でそんな時間に余裕があると思っているんですか?」

「くっ」

「思い返してください。私達は仲間、一緒に龍の肉を手に入れようじゃありませんか」

「許した訳じゃないからな」

「損害は龍の肉という形でお支払いしましょう」


 こうして一応の和解をしつつ、一行は皇帝を脅して地下へ。

 地下空間は帝城が三つ入りそうなほど広大で、中央には帝城とほぼ同サイズの龍の亡骸があった。


 縁結びとしては失敗してしまったが、目的である龍の熟成肉は食べられそうだし良しとしよう。


 しかし仲良く皆で龍の肉を獲得とはならなかった。

 全チームで来てしまったからだ。


 別にチーム戦も認めているのだし、縁結び的に仲良くなる事を奨励しているから全員で取って来たら全員の得点として認めるのだが、はっきりルール説明をしていなかった為に全員で獲得しても意味がないと判断したらしい。

 即座に争いを始めた。


「オマケはさっさと帰れ!」

「案内ご苦労。君の方こそもう去って良いよ」


 ガルシア先輩の嵐の様な剣術とレシェシャイン先輩の効果的で有りつつも整った剣術がぶつかり合い、一太刀打ち合う毎に岩も飛ぶような衝撃波が生まれ、周囲のものが余波で刻まれてゆく。


「「待てっ!!」」

「やっぱり無理か」


 その隙にこっそり龍の肉を持ち帰ろうとしたブラント先輩。

 しかし察知され二人から斬撃を飛ばされる。

 それを聖剣で防ぎ反撃、三つ巴の戦いに発展した。


 他にも多くの戦いが発生している。


 そんな中でも特殊で酷い戦いもあった。


「皇帝陛下、あの龍の所有権を譲ってください。対価は貴方の命です」


 皇帝を尚も脅すリキュア先輩。

 仮に現物を確保できなくても所有権は持っているから勝者は自分だと主張するつもりらしい。

 そしてあわよくば一人勝ちを狙っている。


「ぎゃあああっ!?」


 そして脅されている皇帝の横を通り過ぎる何本ものクナイ。


「私が陛下を守りましょう。報酬は龍のお肉で結構です」


 投げたのはバーネッサ先輩。

 口では守ると言いつつしっかり皇帝を脅している。

 目的はリキュア先輩と同じだ。


「うわぁぁああっ!?」


 しかしそれで終わる事はなく、皇帝は上へと落ちた。


「私の守護が格安ですよ。ちょっとお肉を分けてくれれば良いんですから」


 とニレーナ先輩。


 その後も脅され飛ばされ色々と皇帝はサーカスみたいになっている。


 そうしている内に龍の肉に辿り着く者が出た。

 しかしそれだけで獲得は出来なかった。


「なっ、アイテムボックスに入らないだと!?」

「お、愚か者共が! その龍は傷をつけるどころか動かす事も不可能だ! 無駄な事をしている内に、我が国の最精鋭達が到着するだろう」


 動かせないのはその重さから、そして龍脈を形成し一部大地と一体化しているからだ。

 アイテムボックスに入れられないのも当然。大きさが巨大過ぎるのもあるが、漏れ出る力が強大過ぎる。これではアイテムボックス自体に干渉し乱してしまう。

 加えて死してなお生命力に溢れる龍は、生物を入れられないアイテムボックスからしたら生物と同じで入れられない。


 シンプルに力尽く動かして運ぶのが最も現実的だろう。


 そして更なる変化として地下空間が崩れ始めた。

 激戦の余波に耐えられなかったのだ。


 崩れ剥き出しとなった外には【十二禁色】の最後の一人。

 派手派手な赤い服を着た厚化粧の女性だが、真の帝国最強、帝国の秘宝の一つ”紅龍の牙(ドラゴンサイズ)“を抜きにしてもS級冒険者並の実力を持つ戦士だ。


 加えて【紅鎌】のエリーン率いる帝国国境警備隊。エリーンが自ら鍛え上げた精鋭部隊も駆けつけていた。


「陛下の救出が最優先だ!」

「それは好都合」

「「「こいつがどうなっても良いのか!!」」」


 こういう時だけは協力する先輩達。


「何なら龍の肉を運び出すのを手伝ってもらおう」

「一時休戦だ。勝敗は持ち帰ってから決めよう」

「そうだな。ここで決着をつけなければいけない訳でもないだろう」

「此奴等の言う通りにせよ!! 余を救い出すのだ!!」


 やはり人は追い詰められると協力する生き物らしい。

 でも、想像していた光景と大分違う……。

 僕が当初想定していたのは、悪しき帝国の前に劣勢になりつつも協力して乗り切り、ついでに現地の抑圧された人達を解放する光景。

 しかし今は、利己的に協力するだけの賊にしか見えない。


「構わぬ、賊共を排除しろ!!」

「なっ、アドラヴェル! 余を、父を裏切るのか!!」

「これは陛下の招いた結果。貴方はやり過ぎた」

「余がこの帝国の版図を拡げたのだぞ!!」

「三代前よりこの国は大陸統一国家。誰でもそんな力を結集させれば版図を拡げられる。だが歴代の陛下は他の大陸に手を出さなかった。収支が合わないからです。行き来するだけで莫大な費用がかかるにも関わらず得るものは無い。その手を他大陸に伸ばせば帝国の民と支配地の民が苦しむだけ。なのに貴方はただの人気取りで戦争を続けた」

「貴様ぁ!! 下賤な血が!!」

「貴方のような父への情も欠片ほどは存在しています。これは息子からの餞別だと思ってください。最期は有終の美を飾りましょう」


 何か冷遇皇子も登場した。

 ここでは心温まる様な光景はどこを探しても無いらしい。


「エリーン、貴様もか!? あんなにも厚遇してやったというのに!!」

「厚遇? 馬鹿言うんじゃ無いよ! 女だからと辺境に追いやりやがって! どれだけ婚期が遅れていると思ってるんだい!」

「いや、隊長、婚期は別問題かと」

「お黙り!」

「グベッ! そ、そういうところ、かと……」


 ツッコんだ副隊長が吹き飛ばされた。


 三十代後半独身女性のエリーンが、帝国サイドの唯一の縁結び的に可能性がある対象だったが、これもかなり期待薄だ。


「それに比べてヴェル坊っちゃんは協力したら何でもするって言うじゃないか。私の婿になるってね!」

「い、いや、そんな事は言ってないんたが」

「殿下、諦めてくだせえ」

「そ、そんな!」


 不正を正そうと立ち上がった志しの高いアドラヴェル皇子であったが、そんな雰囲気から一転、早くも泣き顔だ。

 例え嫌だとしても、そこまであからさまな反応は失礼過ぎると思う。


 思わぬところで素晴らしい物語が始まると期待していたが、それもないらしい。


 帝国国境警備隊と先輩達が衝突する。

 生産が得意な先輩達は戦闘に参加せず、その間に龍の熟成肉を運ぶ手段を開発。具体的には城の残骸から新たな飛行艇を造り出そうとしている。


「名も知らぬ侵略者達よ! どうかエリーンを倒してくれ!」


 尚、先輩達を何故か誰よりも応援しているのはアドラヴェル皇子だった。

 自分で連れて来たのに……。


「全部聞こえてるよ! 後で覚えとくんだね!」

「ヒィッ!!」


 やはり、ここは龍の熟成肉だけに期待しよう。



「コアさん、規模をただ大きくすれば良いって訳じゃないんだね」

「ええ、これを反面教師にして縁結び会場造りに活かしましょう」


 他の会場も色々と視ているが、凄まじい戦いに発展していても僕達が望むような展開になっている場所は今のところ無い。

 そう簡単に仲が進展する訳でもないというのもあるが、どうやら大きな要因の一つとして困難な試練に対する新鮮さが無いらしい。

 その為、世界大戦程度の試練強度では意識を変える程にはならないようだ。


 特に多くのアンミール学園の生徒が関わると、生徒同士の激しい戦闘になった場合、日常として認識されてしまっている。

 単に生徒同士が競う様な構図では、大きな結果は得られなさそうだ。


 勿論それでもきっかけ程度の縁結びとしては良いのだろうが、色々な世界を巻き込んで開催したイベントの成果としては、もはや失敗と言っても良いだろう。

 少なくとも成功とは言えない。


 コストに見合わなさ過ぎる。


 これが国家プロジェクトのようなものだったら確実に批判される様な失態だ。

 千億フォンの予算を注ぎ込んで投資し、最終的に千億フォン回収出来ても誰も称賛する事はない。それなら誰でも出来てしまう。預かって何もしないでいれば良い。


 商売と同じだ。いや、何だってきっと同じだ。

 百フォンの材料で百フォンの商品を造っても、自分の人件費だけでも大幅な赤字。全ての維持費は勿論、商売として続けて行くには次の商品の開発費も捻り出せなければ、人はそれを破綻と呼ぶ。


 そして予算が大きくなる程、求められる売上は大きくなる。


 例えば千フォンの材料から千百フォンの商品を造るのと、百フォンの商品から二百フォンの商品を造るのとでは、売れた時の利益が共に百フォンでも、より評価されるのは二百フォンの商品を造った方だろう。

 場合によっては千百フォンの商品を造った方はそもそも評価されない。


 全ての商品が売れる訳では無いのだから、千フォンの材料で千百フォンの商品しか造れないのではリスクが大き過ぎる。

 同じ数だけ売れないとすると、千フォンの材料を使った場合と百フォンの材料を使った場合では損失額は十倍も違う。

 対策に売れる数だけに生産量を減らすとその分だけ利益が減ってしまう。

 より売れる商品にしない限り、数倍は売れる商品にしない限り、千フォンの材料で千百フォンの商品を造った人が百フォンで二百フォンの商品を造った人よりも讃えられる事はないだろう。


 材料ではなく技術に予算を投入する場合でも、それは変わらない。

 寧ろより高度なものほど次への投資し費用が必要であるから、求められる利益の割合が増える可能性だってある。


 より大きな予算を扱う場合ほど、求められると言うよりも必要な利益は大きくなるのだ。

 商品を作るのみならず、多くの分野でこの原則は基本変わらない。


 商売でない場合、例えば科学技術の世界的な賞を受賞された人がいるとして、同じ価値の成果を上げた人がいるなら当然予算が少ない中でそれだけの成果を上げた方が称賛される。より頭が良いと評価されるのも予算が少ない人だ。

 そもそも予算が大きいと関わっている人の数も基本的に多くなるから、その中での働きが大きくても人が多いだけ評価が分散してしまう。

 大きな機関として動いていれば、個人が評価されたと言うよりも組織が評価されたとも認識されるだろう。


 そして関わった人の数でも、より少ない人数で大きな成果を出した人が評価される。

 実際、チームに対する能力を考えなければ、多くの場合はより少ないものでより多く成した人の方が優秀だろう。

 同じ成果を上げたのならば、より少ない人数で、より少ない予算で、より短い時間で、つまりより揃っていない環境で成し遂げた方が優秀だし評価もされる。

 人数が倍なら倍の成果で、予算が倍の場合も倍の成果を出して初めてつり合う。


 多くの環境が始めから整っている場合、それだけ達成しなければいけない水準は上がるのだ。

 力には責任が伴うというが、責任を問われなくても力が有ればその力の分だけ何かを成さなければ評価されない、寧ろ逆の低い評価のレッテルを貼られてしまう。


 アンミール学園という全世界の最高学府でも同じ様な事が言える。

 最高の教育力を持つが故、ここで力を身に着けられなければ全世界上位百分の一に位置する実力にまで成長しても世界最弱との評価すら与えられてしまうだろう。

 百倍の教育力を以てして育てられれば、百倍の実力を身に着けて当然だからだ。


 まあ、百倍の実力が手に入らなくとも十倍で十分過剰だからある程度の評価は得られるだろうが、二倍の教育力がある世間一般的に優秀な学校では通用しないだろう。

 進学や就職で同じ点数を取っても決して選ばれない。同じ環境でより育つと考えられるのは一倍の教育力を持つ学校の出身者なのだから。


 アンミール学園に入学した僕も、例え十倍で十分だとしても百倍の実力を身に着ける事が求められるのだ。

 そうでなければ落ちこぼれとしか認識されない。


 つまり、非常に拙い……。


 僕が求めた訳では無いけれども、幾つもの世界が文字通り動かせ傾ける事も出来る莫大過ぎる予算を使って、僕の親族達、これも勝手にだけど世界神を始めとしたとんでもない力を投入して、参加者もアンミール学園の規格外な未来の英雄達、予算以外にも被害というコストは莫大、それで今のところ成果無し…………。


 非常に、非常に拙い…………。


「ま、まあ、名目上の目的は食材採取ですし」

「そ、そうだよね。というか参加者の実力と縁結びの難易度も関係無いしね。寧ろ、アンミール学園の参加者の縁を結ぶのは他の百倍は難しいと言っても過言じゃ無いよね」

「その通りだと思います」

「「…………」」


 そう言いつつも、僕達は色々な結果を視てしばし無言になった。


 やはり、ここは何としても縁結びを成功させる為、大きく手を加えるしか無い。

 縁結びは、まだ始まったばかり、いや始まってもいない。





 《用語解説》

 ・アジェンリッヒ帝国

 大陸一つを統一した大陸統一国家。

 大陸統一自体を成してからまだ百年も経っていないが、千年近く前から存在し順調に拡大した。歴史も実力もある国家で、他の世界の国々と比較しても超大国と呼べる規模と力がある。

 戦力としても大陸一つから掻き集める事が可能な為、常に複数のA級冒険者相当の実力者が存在しており、長い歴史の中で集めた魔剣等の国宝兵器がある為に、常に超大国に相応しい戦力を保持している。

 近年はその戦力を背景に他大陸に手を伸ばし、両手の数では数え切れない国々と戦争しており、実戦経験豊富な精鋭達を多く抱えている。

 が、アンミール学園の参加者達がやって来たことで一刻も経たない内に壊滅的な被害を受けた。

 決して元々規模だけの形骸化した大国という訳では無い。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次話も縁結び(?)が続きます。

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