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〈田舎者の嫁探し〉あるいは〈超越者の創世〉~種族的に嫁が見つからなかったので産んでもらいます~  作者: ナザイ
第3章〈アンミール学園の新入生イベント〉あるいは〈完全縁結びダンジョンの謎〉

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第六十七話 地獄絵図あるいは戦闘縁結び再び?

今章ラスト前編です。

長くなっていますが、後半は用語解説と出張モブ紹介簡易版です。

モブ紹介、あまり読まれて無さそうなので簡易版を出張させました。


珍しく普通系統の残酷な模写があります。

苦手な方はご注意ください。

 


 ソドムは燃えていた。


 次々と上がる火の手。


 空を覆う黒煙。


 街の外まで響く断末魔。


 焦げた風は鉄の臭いを運ぶ。



「「「どうしてこうなった!?」」」



 何故こんな事態が引き起こされたか。


 実のところその理由は知っている。

 しかし叫ばずにはいられなかった。


 この大惨事、それはたった一枚の写真に起因する。


 アリカ先輩による鞭騒ぎ、そこにマサフミ先輩を追うメービス先輩の攻撃の振動が合わさり、シンシア先輩担当のゴモラが試しに現像していた写真がゴモラの元を離れヒラヒラとシンシア先輩の元へ舞い落ちてしまったのだ。


 そしてシンシア先輩は魔法少女の服装、精霊の鎧の秘密を知ってしまった。

 実質全裸写真を撮られていたと気が付いたシンシア先輩は大激怒。


 ゴモラに掴みかかり、感触から人間で無いことに気が付いてしまった。

 そこからは戦闘、いや戦争だ。


 実力行使に出たゴモラを一瞬で爆砕。


 余波で建物の壁を粉々にし、他の先輩達もゴモラに嵌められていた事に気が付く。


 一度ゴモラを知った先輩達はその気配を参考に、都市の住人全てがゴモラである事にまで気が付き、今までの感情を怒りを爆発させたと言う訳だ。



「……もう、戦闘縁結びと言う事にしておこうか?」

「……そうですね」

「……そうだと思いたいな」


 しかし戦闘縁結びは協力して脅威を乗り越える事により縁を育む縁結びだ。

 現状は先輩達の圧勝。


 そもそもゴモラ自体、最後まで擬態して追い込むタイプの魔物なので、バレた時の対抗手段が著しく少ないのだ。

 実力行使と言っても殴りかかる、噛み付くくらいしか出来ない。

 闘技場のゴモラは武術を使っていたが、あれは演技。騙す以外に演技をすると言う発想は無い。そう言う性質の魔物だ。


 僕達は駄目元でソドムを戦闘モードに移行させる。

 先輩達のいるソドムだけでなく、この階層全てのソドムを。


 コントロールコアによる最高指令。

 これは魔物の本能を超えて命令を遵守させる。

 こうすれば多少は性質が変わって、実力行使がただ襲いかかるから、武装して襲いかかるなどになる事だろう。


 後は数の力に期待するのみだ。


 まずは重装歩兵ゴモラの軍勢で先輩達を包囲、その外側に弓兵ゴモラを大量に配置する。


「撃てーー!」


 矢の一斉射撃。

 天気が変わったと錯覚する程の矢の密度。

 逃げ場は無い。


「“豪炎壁”」

「シールド展開」

「“鞭絶”」


 だが鏃も蒸発させてしまうメルダ先輩の炎の壁や、魔力で発動したのにどこかSFチックなテオ先輩のエネルギー障壁、超高速で通り過ぎるものを粉砕するアリカ先輩の鞭の壁に阻まれ、一本足りとも矢が届く事は無い。


 そして重装歩兵も髪装甲であったかのように、殲滅されてゆく。


「“リア充、爆発しろ”!」


 どこをどうやってゴモラをリア充認定したのか謎だが、淡々とゴモラを纏めて建物ごと、かつ複数箇所同時に爆砕するイタル先輩。

 珍しく元気が無く、女性型アシスタントゴモラに弄ばれたといった、失恋のようなよく判らない感情を抱いていた。

 兎も角、裏切られたと思っているらしい。その手の人は、ゴモラで無くとも殆ど外面だけだと思うのだが……。


 何にしろ、ゴモラが師団単位で倒されてゆく。

 豊富な魔力により次々とゴモラを召喚しているのだが、イタル先輩だけでも倒されるゴモラの数の方が多い。


 どんな装備に包まれていても、どんな頑丈な建造物に隠れていようとも、イタル先輩は一撃で打倒する。


 戦闘モードに移行した事により、ソドム自身も攻城兵器等の大規模兵器を駆使してイタル先輩を止めようとするが、これはイタル先輩が防御しなくても効果が無い。

 シティーコアにしか演算も魔力の捻出も出来ない規模の儀式魔法、それもソドムにしか発動出来ない性質の大魔法“ソドムの炎”、某天空のしろのアレを発動するも、腕の一振りで遥か遠方に弾き飛ばされた。

 イタル先輩の腕は火傷の一つもない。


 魔導バリスタから連射される鉄槍の嵐、民家も貫通するそれは突き刺さるどころかイタル先輩を動かす事すら出来ず、カタパルトから降り注ぐ爆魔石の雨も眼中になくただ進む。

 歩いて進んでいるのだが、前方はリア充と共に爆砕され更地。

 イタル先輩の行く手を阻めるものは皆無だ。


 だからと言ってイタル先輩がずば抜けてソドムの脅威かと言うと、そうでも無い。


「“キロクラッシュ”、“メガクラッシュ”、“ギガクラッシュ”」


 シンシア先輩はギアを上げながら一回と錯覚するような速度で超連続ビンタを放ち石造りの建造物共々ゴモラを粉砕。

 その衝撃波だけでも相当な破壊をもたらしている。

 ビンタを受けたゴモラ自体が兵器として相当な被害を引き起こしている。飛ばされたゴモラの血ですら石材を貫く。


「“サンダーフォール”」


 メルダ先輩は広範囲雷属性魔術。対軍魔法で殲滅する。

 滝のように雷が降り注ぎ、ゴモラは炭に、街は焼き潰されて行く。

 ゴモラも矢も槍も、メルダ先輩には届かない。

 実体の薄い魔術すらも雷に砕かれる。

 自分を起点とした魔術であるから、破壊の範囲が移動する事は無いが、その範囲内は徹底的に破壊されてゆく。


「“裂断”、“裂陣”」


 アリカ先輩は大技を放たない。

 鞭で纏めてゴモラを切り裂いたり、矢や槍ごと周囲を粉砕して攻撃を防いでいるが、何れも普通の枠に収まる武技だ。


 一体一では武技も使わない。

 重装歩兵は右手で持ったモーニングスターで打ち砕き、モーニングを起点に移動。

 左手に持った鞭で弓兵を纏めて切り裂く。


 鞭もモーニングスターもロープとして利用しており、その動きは縦横無尽。

 対軍魔法を使った訳でもないのに、それに劣らない殲滅力があった。


「“炉心開放”、“全砲一斉掃射”!」


 テオ先輩は種族特有の生体魔力炉をフル稼働させ、魔力砲を全方向に撃ち出す。

 光が撃ち出されると、次の瞬間、ソドムの各地で大爆発が巻き起こった。


 更に連射。

 魔術では無く生来の能力による魔力砲なので発動が早い。魔力さえあればそれだけで発動出来る。

 テオ先輩自身があるで砲台のようだ。

 大爆発は終わりが見えない。


「“アクセル”!」


 テリオン先輩は自身に加速魔法をかけて事ある毎に高速移動。

 攻撃は魔力弾、ファイヤーボールの魔力だけにしたような初級技を高速で発動し行う。

 魔力弾は魔力を使用する技の中で最も威力が低く、最も簡単な技だが、その分数が多い。無詠唱かつ自力発動する事により一動作で数十発の魔力弾を撃っている。


 一見、大した事が無いようだが、加速魔法と魔力弾を並行して何度も使い、魔力弾の連続使用はとてもスムーズで速い。

 技術としては巧みだ。

 一発一発も熟練しており威力が高く、弓兵ゴモラは一撃で、重装歩兵ゴモラは五発で確実に仕留めている。


 建物の影に隠れられると魔弾は防がれてしまうが、そこは加速魔法。


「“フライ”、“空跳からとび”」


 そして浮遊魔法、着空魔法で空を移動し、あらゆる死角から攻撃する。


 この戦闘スタイルから、防御力の高い相手には無力かも知れないが、戦闘の為に急造されたゴモラ兵、欲望では無く魔力で強化された一般兵程度のゴモラには無双状態だ。


 元々操縦士で、壊れた機体を治す為にこの依頼を受けた、力が無くとも達成出来るこの依頼にしたらしいが、十分強い。

 魔力量もかなり豊富で魔力弾は低魔力で発動出来る事から、消費分も回復分と大して変わらない。ほぼ無制限に攻撃出来る。

 多分、魔力で防御力を上げるタイプの敵なら、近衛騎士レベルの相手でも、上空を駆け巡りながら一方的に相手の魔力が切れるまで攻撃して倒せるだろう。


 随分謙虚な先輩だ。


「“豹衣”」


 マルスク先輩も派手な広範囲技は使っていない。

 使うのは身体強化。


 後は曲刀、いや鉈のような曲剣を両手に持って、木を切り分け道を造るが如く、豪快にバサバサ斬ってゆく。

 靭やかに豪快に、野獣の如く、しかし老師の如き動きでゴモラを減らす。


 盾を前に出されようがお構い無し。

 盾も鎧も剣も力で潰し斬り、斬ったゴモラを踏み台に次に跳躍。

 迫りくる矢も槍も建物を崩壊させる踏み込みで避け、次の標敵を斬り裂く。

 遠くの敵には曲剣でブーメラン。

 あっと言う間に街が血で染まる。

 無駄が無い。


 無駄が無いと言えば最後にハービット先輩。


 戦闘時にも何も身に着けていない。


 武器は現地調達。

 その場その場のものを利用している。


 矢が飛んでくれば攻守兼用ゴモラシールド。

 重装歩兵ゴモラはハリネズミになり、ハービット先輩は無傷。


 ゴモラの集団の中に突入しては、槍の軌道を少し変える。

 それだけで多数のゴモラが串刺しになった。


 ハービット先輩は今の所、魔力すら使用していない。

 体力までそんなに消費していない。


 貧乏性、ここに極まりだ。


 だが、そこにゴモラの魔術師団が現れる。

 誘導されていたらしく、詠唱完了の待機状態。

 いきなり魔術を放たれた。

 火球や火槍、風刃が一斉に襲いかかる。


 既に何処からか持ってきた瀕死の重装歩兵ゴモラを盾にしているが、ファイヤーボール一発でもダメージは免れない。


 しかしハービット先輩はとんでも無い技を見せた。


「“傀儡掌握”」


 魔力と生命力の籠もった五指を発勁のようにして、背中の中央にめり込ます。

 それによりゴモラからゴモラの制御を奪った。


 ゴモラに盾を構えさせる。


「“限界突破”、“五重障壁”、“城門”!」


 そしてゴモラ越しに武技を発動。

 全ての負担をゴモラに負わせ、自らの習得している武技を発動した。

 魔力も生命力も筋力も、全てゴモラ負担。 


 傀儡掌握は魔力の消費云々では無く、技巧系の技で、ハービット先輩は殆ど力を消費していない。


 ゴモラ越しに出された五重の魔力の壁に、魔術が殺到する。

 一層目は僅かな抵抗を見せたのみで砕け、二層目はヒビで一瞬持ち堪えるもやはり砕け、三層目でやっと細かいヒビが入るのみになる。

 しかし三層目も三秒で破れ、四層目で幾つかの魔術が消えた。が、やはり十秒も持たずに砕け、最後の一枚になる。


 やがて最後の一枚も破られた。


 しかし、白のオーラに包まれて盾により、全ての魔術が先に消え去った。


 結果として、ハービット先輩は無傷。

 身体の殆どが魔力で構成されていたゴモラは、魔石も残さず灰となって消えた。


 魔術師ゴモラが再び詠唱を始めた隙に接近、一体を残して消えたゴモラの剣で斬り伏せ、最後の一体はまたも傀儡掌握。


「“ファイヤーボールシャワー”」


 ゴモラに流星群の如きファイヤーボールの連続発動をさせる。

 それにより近くに迫っていた重装歩兵ゴモラの部隊は焼かれ、周囲の建物ごと大炎上した。


 何とも評価し難い戦闘方法だが、効率と強さは評価せざるを得ない。


 あっと言う間に、先輩達の周りは血で染まってゆく。

 街は炎に呑まれ、ゴモラは血に沈む。

 戦争でもそうそう出そうに無い被害がソドムを襲っていた。


 因みにゴモラの特殊能力の一つとして、死後もある程度は人に偽装出来る。

 ゴモラの死体は、触ったり内臓の形を詳しく見なければ人間そのもの。


 元々の外見も死後の外見も人間、戦っている側からすれば人間を相手にしているようなものだ。

 それなのにこの容赦の無さ、先輩達は精神力も強いようだ。


 流石は次代の英雄の器だ。


 光景は色々と凄いが、そう言う事にしておこう。

 実際、彼らが行っているのは凶悪な魔物の討伐だ。

 武器は装備しているのに、まだ服装が撮影時のままだったりもするが、気にしてはいけない。



 完全に押されている中、ソドムは新たな作戦に出た。

 ゴモラの武装がそこまで意味の無い事に気が付いたらしい。


 何と、女子供の姿をした、つまりとても戦闘員には見えないゴモラを、攻撃を戸惑ってしまうゴモラを召喚した。


 ゴモラの最も得意とする精神攻撃、それを活かした戦法だ。


 女の子型ゴモラがナイフを持ってイタル先輩に突撃する。

 その身体能力自体は重装歩兵ゴモラと同等。


 気が付くも立ち尽くすイタル先輩。

 反撃するどころか、あまりの事に防ぐ事すら出来なかった。


 それに続き何体もの女の子型ゴモラ、か弱い女性型ゴモラ、妊婦ゴモラがそれぞれ獲物を持って突撃した。

 そして全てが命中した。


 イタル先輩は、赤く染まる。


「くっ……」


 片膝が地に落ちた。


 下を向く顔から血が滴り落ちる。

 吐血したらしい。


 そして、


「よっっっしゃぁぁああーーー!! 俺にもハーレム到来だぁぁああーーーーー!!!!」


 勢いよく立ち上がった。


 全力で空を見上げ、両拳を天高く突き上げている。


 喜びの興奮に全身を赤く染め、喜びを本当の意味で噛み締め口の中を切りながら。


 …………やはり、イタル先輩は通常パターンの参考にならない。


「普通のお美人様からロリっ子、不倫妊婦、それもヤンデレ祭り、俺は、成し遂げたんだぁぁああーーーーーー!!!」


 …………殺意をヤンデレの一言で済ますとは、流石だ……何が流石かは僕にも判らないが、流石である。


 しかしそのヤンデレも、ロリっ子、不倫妊婦と並べるとまだまともに思えてしまうのが、これまた不思議だ。


 尚、イタル先輩は例の如く無傷。

 蚊に刺され程度の傷どころか、赤らんでもいない。

 赤くなってはいるが、これは興奮からだ。


 ここは無視して他の先輩を視よう。


 やはり戸惑っていた。


 気配からどのゴモラも魔物であると気が付いているようだが、上手く対処出来ていない。

 守るのみか、逃げの一手に出始めている。


 広範囲攻撃も、そんな幼子ゴモラが混じると、出来なくなってしまっていた。

 ゴモラの作戦は効果覿面であったようだ。


 これで少しピンチになれば、誰かと手を取り合って対処する事になるだろう。

 それが男女の組み合わせだったら縁結び完了だ。


 そう思っていたら、ソドムの四分の一が壊滅した。


 黒い泥の津波のようなものに呑み込まれ、ゴモラは絞りカスのように窶れ、終いには崩れ去り砂となってしまった。

 残るのは木霊する断末魔だけ。


 幼子の姿をしたゴモラも、赤子と赤子を守る母親の姿をしたゴモラも、等しく絶叫し、痩せ細り、ひび割れ、崩れ去る。


 外見だけ見れば、戦争でも、魔王による侵攻でも引き起こされる事の無いような、非常に凄惨な光景だ。

 死体は砂として崩れ去っているが、それでも酷いの一言に尽きる。


「人の心に訴え、破滅させるその行為、まさに邪教。ここが邪教徒の巣窟であったとは、一生の不覚です。我が身命を賭けて根絶せねば」


 黒泥津波の中心地には全く動じていないメービス先輩。

 足元から黒泥がコポコポと湧き出ている。


 清麗な聖女の如き雰囲気はそのままに微笑み、ゴモラとソドムの街並みを次々と黒泥に呑み込んで行く。

 黒泥は魔力や生命力を奪うようで、ソドムの街並みもただ破壊されるのでは無く、ポロポロと黒い砂に果て崩れる。


 冗談でも何でもなく、ソドムの四分の一は壊滅した。


 これに対処する為、ソドム自身も儀式魔法による攻撃、通常は対軍対都市にしか使用しない大威力の攻撃を放つ。


 儀式魔法“ゲヘナ”、数ある儀式魔法の中でも上位に位置する大魔法。

 人間が発動するならば、三百年の歴史と規模のある王国の上級魔術師をかき集め、尚かつ国宝級以上の触媒、更には王国の概念を引き出す生贄、つまり直系王族の犠牲が必要な代償儀式魔法。


 それをソドムの処理能力、ゴモラでの人員代用かつ増強、龍脈の莫大な魔力、そしてゴモラの犠牲。

 強引に早急にまとめて発動した。


 死者をも殺すとされる地獄の業火が、暗い炎が火球となってメービス先輩の元へ向う。


 大規模な上位儀式魔法にしては小さな炎、人一人呑み込むのが限界と言った程度の大きさしか無いが、その圧力は凄まじい。

 ただ莫大な魔力を感じるだけでは無い。ただ熱量が大きいのでは無い。

 とても不吉な気配、死が漏れ出ているかのような、凄まじく不穏な気配、そんなものを纏っている。


 そんな暗き炎がメービス先輩へと向う。


 速度もファイヤーボール程度で、一般的な戦闘職の人なら避けられる速さでしか無いが、何故か誰も避けられない、そんな予感を漂わせていた。


 メービス先輩が暗き炎の出現に気が付かない筈も無く、黒泥をその進路に向わせ、壁を作る。


 激突すると、ゲヘナの炎は飛び散った。

 衝突し続けたまま、雨のように暗き炎を降らせる。

 元の火球の外観は変わらない。

 ただ、四方八方に飛び散り続ける。

 下は暗き炎の池だ。


 あまりに粘着質な炎、そんな印象を受ける。


 そんな炎は、周囲の建物を燃やし尽くす。


 石材は熱で砕け、溶けても炎は消えない。

 溶けた石材がグツグツと煮立っても炎は消えず、やがて蒸発してしまった。それでも炎は健在。

 石材の下にあったものを続けて燃やす。


 これがゲヘナ。

 消えない炎。

 そして生み出され続ける炎。

 燃やし尽くしても終わることの無い、終末の炎だ。


 その火力自体も石材を蒸発させる威力を持つが、真の力はこの消えない性質。


 燃える燃えない以前に物質ですら無い黒泥にも消えぬ炎として引火している。

 更に火球は常に初めの火力、速度も減少させる事なく威力を発揮し続けていた。


 絶えず衝突による魔力の波動が吹き荒れている。

 この波動だけで慣れていない者は気絶してしまうだろう。


 そして魔力が外に発せられていると言う事は、魔力を消耗していると言う事だ。

 永遠の炎もダメージを受けているとも言い換えられる。


 ゲヘナは火種。

 物質にも魔力にも生命そのものにだって燃え移る炎。

 真に全てを燃やす事で永遠に消えることが無い。

 つまり放出系統の術では無く、どちらかと言うと吸収系統の術だ。


 本来、強大な魔術と衝突したところで、漏れ出る魔力を燃料に燃える事により、漏れ出た魔力は広がらない。

 ゲヘナが魔力に燃え移るか、吸い込むかするからだ。


 しかし、現実には魔力は収束せずに拡散してしまっている。


 これはメービス先輩の黒泥もエネルギーを吸収する技だからだ。

 奪おうとする力で、奪おうとする力を奪おうとして、このような事になってしまったのだろう。

 互いに奪おうとする力を奪われ、魔力を収束出来ていないのだ。


 衝突地点からは絶叫が聞こえ始めた。

 黒泥に吸い取られたゴモラの魂が、ゲヘナの炎で焼かれているようだ。


 そして終に、ゲヘナは黒泥に呑み込まれた。

 永遠の炎の沈黙。


 黒泥が無数のゴモラのエネルギーを奪っていた分、黒泥の力の方が上回っていたらしい。


 飛び散ったゲヘナも全て侵食し吸収する。


 そして黒泥は燃える黒泥となった。

 更にそこから黒泥の騎士達が現れる。


 黒泥は吸収したもののエネルギーをある程度は自らのものに出来るようだ。


 そんなゴモラの成れの果ては、次々と幼子ゴモラや妊婦ゴモラを駆逐してゆく。

 黒泥の槍で突き刺し吸収し、黒泥の肉体で直接呑み込んで行く。


 地獄のような光景だ。


 ソドムはさらなる攻撃を加えようと、魔力をかき集める。

 構成されてゆく特大の魔法陣。


 だが、術式が完成する事は無かった。


 ソドムの芯、領主館の砦を塔のように巨大な紫炎の槍が襲う。


 ソドムは咄嗟に結界を展開。


 それにより、元々ソドムが発動しようとしていた術式は拡散してしまった。

 全処理能力が結界へと向う。


 そんな結界に紫炎の塔槍が衝突する。


 結界は咄嗟とは言え流石ソドム、“十層絶界”と言う高位結界“絶界”を十層重ねたもので、人に発動出来るかも怪しい超高位結界だ。


 しかし一層目は紫炎を一切散らすことなく穿かれた。


 “絶界”はそもそも世界によっては結界術の最高位とも呼ばれる程の術で、盾術等とは違い広範囲を防御するものなのでそれ等の高等技術には一歩劣るが、それでも災害級の攻撃からも守り通す事が出来る結界だ。

 しかし呆気無く破れた。

 本来結界は破れると硬質なガラスが割れたような音がするのだが、破れるのが早過ぎてその割れる音すらしていない。

 見事なほど綺麗に穿たれている。


 二層目も少し一層目よりも保っただけで穿たれ、四層目までは同様に穿たれた。

 五層目は耐えるも、ピキリピキリと何筋ものヒビが刻まれて行く。

 それに伴い、紫炎も一部拡散。

 結界外の城下が波のように拡散する紫炎に呑まれる。


 塔槍は五層目を破るも、六層目で進撃は止まった。

 薄い亀裂を刻み込むだけで、塔槍は形を保てずただの紫炎になって拡散した。


 核のある領主館は無傷。

 しかし被害は甚大だ。


 散った紫炎は城下を火の海にしていた。

 木材は既に灰となり、石材も真っ赤に赤熱している。

 そこに陣を構築し守備していたゴモラは全滅。

 結界外辺にあった兵器も全滅している。


 そしてメービス先輩ヘの攻撃を中断させられた事で、黒泥兵の侵攻も進んでいた。

 モデルをしていた先輩達の侵攻も続行中。


 ソドムは標的を変え、紫炎の塔槍を放った風紀委員のアバウルス先輩に向け、儀式魔法を準備する。


 しかしその前に同じく風紀委員のシュナイゼル先輩とユーサス先輩が参戦。

 メービス先輩やアバウルス先輩と別方向から術を行使する。


「“懺悔の進軍”」

「“虚栄の篝火(ファロデルヴァニタ)”!」

「“終末の炎(スルト)”」

「“殉兵忠義アフターライフヒーロー”」


 四面楚歌、四方向からの同時攻撃。


 メービス先輩が繰り出すは黒泥兵の一斉突撃。

 矢のようなスピードで、次々に結界へ駆け出してゆく。


 剰りの勢いに黒泥兵は激突で潰れる個体も出て来る。

 そんな個体はなんと怨叫を轟かせながら爆発。

 青黒い爆炎を生じさせ、結界に亀裂を入れる。


 その威力は相当なもので絶界相手にはこの程度だが、そこらの首都にある魔術に守られた強固な城門でも一撃でこじ開けるだろう。


 こんなに威力が高いのも、黒泥兵が怨叫を轟かせるのも、これがメービス先輩の固有スキル〈冥獄〉によるものだからだ。

 冥獄とは罪人を永久に縛り付ける牢獄。黒泥はその現世での形であり、現世に現れた地獄だ。

 黒泥はエネルギーを奪うが、奪われ死した者は冥獄に囚われ使役される。


 黒泥兵はそうした者達だ。

 その決死突撃は人の特攻と変わらない。

 全てを対価に捧げ発動する代償魔法だ。

 こんな威力も簡単に出せる。


 メービス先輩は、そんな黒泥兵の突撃を何度も喰らわす。

 その度に轟く黒泥兵の断末魔。

 しかし、冥獄から開放され、心なしか喜んでいるようにも思える。


 ……メービス先輩、一応正義の為にソドムを倒そうとしている側だよね?

 幼子型ゴモラはまだ何とか無視出来ていたが、この事も合わせるとどうしても悪役側に思えてしまう。


 アバウルス先輩は再び紫炎の塔槍。

 虚栄破りの炎を槍型に収束させて放つ。

 虚栄破りの炎が本来の魔術であって、槍型だったのは魔術制御で後付したオマケだったらしい。


 ソドムとゴモラの擬態が虚飾なのかは微妙なところだが、実際のところ、かなり効力があった。

 火力も然ることながら、それ以上に威力を発揮し、再び結界を割り続けている。


 シュナイゼル先輩が使ったのは付与魔法の類い。

 スキルで言うと〈終焉魔法〉。何故か固有スキルでは無いが、物騒な名称の通り必要性を問いたくなるくらい強力な力だ。

 そんな世界の滅び、ラグナロクの黒き焔が聖剣に付与されている。

 シュナイゼル先輩自身も暗黒の天使のような姿になっており、圧力が凄い。黒き者(スルト)の力が付与されている。


 ただ聖剣を振るう度に終焉の焔が斬撃に乗って飛ぶ。


 たったそれだけで、絶界に剣筋通りの亀裂が生じた。

 更に亀裂の周りに焔が広がり無数の微細な亀裂が。


 そんな威力を持つ斬撃を幾度も繰り出す。


 面白いように結界が破れてゆく。


 ユーサス先輩はメービス先輩と似て非なる力。

 霊の軍勢を光線のように連続かつ高速で突撃させているが、黒泥と違って実体は無い。

 更にユーサス先輩のは自国縛りと言う特殊な条件がある。そしてスキルと言うよりも呪いだ。


 そしてユーサス先輩にはメービス先輩程の魔法の才能が無く、自前の力と言うよりも向けられた怨念を強引な呪い返しで呪いを反転させ、契約として縛り付けている。

 メービス先輩の力が死者に強制的に懺悔させる力なら、ユーサス先輩のは単純に呪いを自分の力にする力だ。


 似ているが違う。


 特攻した霊も、地獄のように刑期も無ければ後悔させる目的も無いので開放されず、一旦力を失ってユーサス先輩の元に引きずり戻されてゆく。


 しかし結果的にはメービス先輩の攻撃と大して変わらない。

 代償魔法と同じ原理で生じる出力で、強引に結界を破壊してゆく。


 四人による全方向攻撃で、氷がかき氷機で削られて行くかのように、面白い程急速に結界が崩壊して行く。


 ソドムもゴモラも、今は全能力をフル活用して守りに徹している。

 そのおかげで“十層絶界”から“百層絶界”に切り替えられているが、それも長く持ちそうに無い苦境だ。


 援軍に駆け付けたい結界外のゴモラ達は、モデルをしていた先輩達に打ちのめされ、駆け付けられるどころか全滅も間近だ。



「うーん、今回の戦闘縁結びは失敗っぽいね」

「乗り越える為の協力は皆無ですからね。多少の協力関係では掃除当番が同じになった程度の効力もあるかどうか、微妙なところです。ですが風紀委員の方々は兎も角、モデルをやっていた方々はどちらかと言うと良い傾向なのでは? 何名かは全て魔物のせいに出来て、残るのは奇妙な縁だけになるのでは無いかと? 忘れる事は無いでしょうし、これから数度接触させれば、意識もするのでは?」

「忘れない、印象に残させる点では確かに優秀だね。じゃあ、一応豊穣な結果って言えるのかな?」

「……まあ、取り敢えず、一応は?」


 凄く言い難そうに同意するコアさん。


 それも無理はない。

 内容的にそう考えられても、現状視える光景は地獄だ。


 幼子の悲鳴絶叫断末魔、妊婦母親の悲惨な叫びがソドム中に響き渡っている。

 地獄絵図以外の何ものでも無い。


 その幼子達がゴモラだと言うのは判っている。

 先輩達もそうだと知って討伐しているのも知っている。


 しかし地獄絵図は地獄絵図。

 本物の地獄だって責苦を受けているのは罪人達である。

 それでも地獄は地獄。

 視ていて精神にくるものがある。


「まあ、メンタルケアで当人同士の会合が開かれるかも知れませんし、そう考えれば地獄絵図も有用、かも知れません……」


 一番問題なのは、先輩達の精神にそこまで響いていない事のような気もするが、触らぬ神に祟りなしだ。

 深くは考えまい。


「なんにしろ、この調査依頼はこれで終わりだね。次の手を考えるか、保留するか決めておかないと。この様子だと、暫く保留した方が良いかな?」

「そうですね。暫くは休みましょう」


 まだソドムは討伐されていないが、一足先に休ませてもらおう。


 そう思って帰ろうとすると、ゼンに止められた。


「待て、まだ終わりじゃ無さそうだぞ? あれを視ろ」


 ゼンの指差す先には燃える牛人の銅像があった。

 牛の頭に人間の肉体を持つ巨像。三十メートルはある。

 その最たる特徴はその構造。

 内部が一つの炉になっている。

 胴体には六つの内側に棚のある穴、そして牛頭の口からは内部の焔が漏れ出している。


 それが何体も。

 子供の泣き声のような、楽器でただ大音量を上げているような雄叫びを轟かせながら、先輩達が居るソドム以外の各所のソドムからやって来る。


 その背にはゴモラの軍勢まで控えていた。


「あれはモレクだな。魔神像、人造魔神だ。ゴーレムやホムンクルス、その系統の一種の頂きとも言える。そして代償魔法、儀式魔法でも究極の一つに数えられる。魔神、そこらの魔王よりも強大な存在だ」


 モレクの軍団が、先輩達のすぐ側に迫っていた。





 《用語解説》

 ・絶界

 広範囲万能結界。軍勢守護、都市守護に用いられる大結界。

 基本、一人での発動は行われないし行えない結界であり、使用には大勢の魔術師による儀式魔法が必要。儀式魔法自体、術をそれぞれ担い、それを一つにしなければならないので高等技術が必要であり、現実的に発動には師範レベルの、所謂上級魔術師が複数必要となる。


 広範囲を覆う結界である為に、維持する魔力も規模に準じた量を必要とし、複数人集めても人が担うのは難しい。不可能でも無いが、優秀な魔術師達が結界の維持しか出来なくなってしまう。

 その為に魔力が蓄えられた触媒、魔石などを大量に必要とする。


 基本、余程の緊急時にしか展開されない。


 その強度は広範囲ながらも、有名な戦略級魔法“メテオ”すらも防ぐ程で、同難易度の儀式魔法も防ぐ。

 ただ、強度の問題よりも、上記のように魔力消費量が多いので、一発の大魔法は防げても、二時間続くファイヤーボールの攻撃等は現実的に防ぎ難い。

 長時間の籠城などには向かない。そして瞬時に張れる結界でも無いので、強力だが使い時は限られる。


 その為、主に龍脈等で魔力が豊富なシティーコアや都市神(エンリル)が用いる術である。




 ・ゲヘナ

 獄炎界魔法。神話の威力を発揮する大規模代償儀式魔法。禁術。

 全てに燃え移り全てを燃やす永遠の炎を放ち、炎獄を世界に生み出す。

 結界にも引火する為に、防ぐ事はまず不可能。


 人間が発動するには、アークの言う通り三百年以上の歴史とそれに見合う規模のある王国の上級魔術師をかき集め、尚かつ国宝級以上の触媒、更には王国の概念を引き出す生贄、つまり直系王族を最低でも一人焚べる必要がある。

 つまり王国の魔術師と歴史が獲得した宝物、王国そのものの象徴である直系王族、王国そのものを絞り出さないと発動出来ないような大魔法である。


 その代償に見合う力を発揮する魔法だが、術者にもゲヘナは消せない為、術者も犠牲以外にも相当覚悟しなければ使えない魔法である。

 下手をすれば世界はゲヘナの炎に包まれる。

 消すにはゲヘナの周囲を完全に封鎖、酸素も無ければ物体も魔力も無い、完全なる真空にする必要がある。メービスの行った吸収系統の技をぶつける方法も正攻法の一つ。

 それ以外の方法では、神々も強引に消すのは難しい。


 主に魔界など、異界で用いる大魔法である。





 《出張モブ紹介簡易版》

 ・シンシア

 彼女が主人公の物語に題名を付けるのならば、【鈍感令嬢は悪意に気付かない〜結果、何故か悪役令嬢よりも酷くなってしまいました〜】である。


 “キロクラッシュ”は〈格闘術〉による武技。

 千を超える武技を一回のビンタと誤認するスピードで繰り出す。

 発動には身体能力は勿論、素手に反動が有る為に、魔力と生命力を併用して強化する必要がある。

 最低使用推奨スキルレベルは5。が、多くは身体能力と魔力操作能力、生命力操作能力的に使用可能水準に達していない。

 師範級の武人でも使える事は稀。

 そもそも千を超えた数繰り返してもビンタなので修行する者の数からして極々少数。十の世界の百年の中に一人でも使える者が居れば多い方。

 ビンタだが強力で、直接ビンタされなくとも衝撃波で広範囲が崩壊する。


 “メガクラッシュ”は〈格闘術〉による武技。

 百万を超える武技を一回のビンタと誤認するスピードで繰り出す。

 説明不要なレベルで高難易度高威力の技。使用できる者は探すだけ無駄と思った方が良い。


 “ギガクラッシュ”は〈格闘術〉による武技。

 十億を超える武技を一回のビンタと誤認するスピードで繰り出す。

 説明不要なレベルで超高難易度超高威力の技。使用できる者を探すと言う前に理論の段階で鼻で嘲笑われる。



 ・メルダ

 彼女が主人公の物語に題名を付けるのならば、【無能と呼ばれた私は大魔術師〜うっかりやり過ぎる事が多いので、無能の肩書には大変お世話になっています〜】である。


 “豪炎壁”は〈火属性魔術〉の魔術。

 高難易度だが、高難易度な魔術の中ではポピュラーな魔術。矢の鏃ごと燃やし尽くして身を守る。

 メルダは属性魔術を使えないので魔法として強引に発動している。術の効果と方式は同じだが、強引に発動とした為に魔力過剰で高出力。槍も融かす。


 “サンダーフォール”は〈雷属性魔術〉の魔術。

 広範囲殲滅魔法で、かなりの難易度を誇る魔術。軍の切り札級の術者、所謂宮廷魔術師長のようなトップクラスの魔術師にしか使えない。そもそも雷属性自体も珍しいので術者は非常に少ない。

 また広範囲系統の魔術の中でも豊富な魔力を要する。その分威力も高く対軍では無く、防御の堅い魔物の大群に対して使われる。

 以下略。



 ・アリカ

 彼女が主人公の物語に題名を付けるのならば、【奴隷商業界の女帝〜悪人を奴隷として売り払えば金になると知ったので、孤児院の為にも調教しまくります〜】である。


 “鞭絶”は〈鞭術〉の武技。

 鞭術の防御技、“鞭円”や“鞭盾”の上位武技。鞭盾などは矢を跳ね返し、初級魔術を散らす程度の効果しか無いが、この武技は剣は勿論、鎧も盾も砕く。攻防一体の技。魔術も術式自体を砕ける。

 最低使用推奨スキルレベルは5。術者によって威力の変動が激しいタイプの武技。


 “裂断”は〈鞭術〉の武技。

 初級武技。鞭による威力特化攻撃。速さが売りの鞭術では珍しく大剣のような威力を発揮する。


 “裂陣”は〈鞭術〉の武技。

 鞭絶の攻撃要素の強い版。



 ・テオ

 彼が主人公の物語に題名をつけるならば、【平凡な程主人公】である。


 “炉心開放”はテオの種族専用の技。体内魔力炉の出力を急上昇させる。難易度等は不明だが、今の所のはテオしか使えない。

 その生成魔力量は一軍の使用魔力を賄える。


 “全砲一斉掃射”は生体砲陣を全開放させ、一斉精密射撃を行う武技。テオの種族専用の為、難易度等は不明。今の所のはテオしか使えない。

 消費魔力量はかなり激しいが、魔力砲のビーム一発でも城門を刳り消す。



 ・テリオン

 彼が主人公の物語に題名をつけるならば、【箒星に願いを】である。


 “アクセル”は加速魔法の武技。様々なスキルで使え、同名かつ同結果をもたらす武技が多数存在する。どれも初級とされる。

 テリオンの使用したのは〈風属性魔術〉によるもの。風で物理的に推進力を生む。付与タイプのもので、足裏に風が発生し踏み込む度に風が開放される。アクセルの中では少々使い難いが、速くもある。


 “フライ”は〈飛行魔法〉の武技。同名の魔法で別方式のものもある。

 概念魔法の一種で、飛行出来ると言う概念を自身に付与する。発動は難しいが発動後は使い易い。

 〈飛行魔法〉自体の取得が非常に難しい為、使用者は少ないが、スキルさえ手に入れれば使える。

 テリオンは出身世界が空中世界の為に、高い適正を持っている。


 “空跳からとび”は〈風属性魔術〉の魔術。同名の武技を武術として使える者もいる。

 空気の足場を作り出し、空中跳躍を可能とする。

 テリオンは魔術としても、武術としても使用出来る。



 ・マルスク

 彼が主人公の物語に題名をつけるならば、【ウルの行商録〜太古の王族は未だ世界を守る〜】である。


 “豹衣”は〈精霊魔法〉の付与魔術。

 森の神聖なる戦士の力をその身に宿す。正確には粒子精霊をその身に集め自身を半精霊化する。精霊の鎧で変身するのに等しい力をもたらす。

 超高等技術で精霊魔法が使えても、更に才能がいる。



 ・ハービット

 彼が主人公の物語に名前を付けるなら【裸の公子様】である。


 “傀儡掌握”は〈傀儡術〉の武技。

 対象に物理的魔力的生命力的に干渉して傀儡化する。傀儡化対象によってその難易度は大きく変わる。ただし自分を傀儡化して完全操作するのも難しい。対象を良く知る必要がある。操作範囲もそれによって変わる。極めれば対象の覚えている技術を使う事は勿論、自分の技術すら対象に強引に使わせる事が出来る。

 〈傀儡術〉は固有スキルなどでは無く、鍛錬すれば誰でも入手出来るスキルだが、その鍛錬まで到達し難いのでかなりのレアスキルである。スキルの存在自体を知らない識者が殆ど。

 ハービットはまず自分のコストパフォーマンスを最大限上昇させる為に自分を知り、他の利用できる物を常に深く観察する事によってこの力を手に入れた。非常に残念な言い方をすると貧乏性の結果。


 “限界突破”は〈限界突破〉の武技。

 リミッターを解除する。強力かつ危険だが使用出来る者は多い。


 “五重障壁”は〈結界術〉の武技。同名の武技も多数存在する。

 “障壁”、結界術の基本武技を五重に展開する。対魔術物理併用型平面結界。一方向にしか展開出来ない。


 “城門”は〈盾術〉もしくは〈鎧術〉の武技。

 割とポピュラーな武技。街の団長級の実力者なら使える者も多い。盾や鎧を超強化、及び城門のように壮大な守壁を展開する。破城槌も武技を使用されてなければ何度も防げる。そこまで強い訳でも無い。


 “ファイヤーボールシャワー”は〈火属性魔術〉の魔術。

 ファイヤーボールの多重連続発動。上級に近い中級の武技。以外と使える者は少ない。



 ・メービス

 彼女が主人公の物語に題名をつけるならば、【魔女の魔女刈り〜異端者による異端審問は大虐殺〜】である。


 “懺悔の進軍”は〈冥獄〉の武技。

 固有スキルだが、間違い無く難易度は高い。冥獄に囚われた亡者の数が多い程、威力を増す。強力な個で無ければ威力を増させるだけの結果に終わる。だからと言ってどの程度強力な個であれば防げるかも不明。今の所のは仲間入りする一方である。



 ・アバウルス

 彼が主人公の物語に題名をつけるならば、【抑止力は民間人になる〜広域魔法しか使えませんが、冒険者になろうと思います〜】である。


 “虚栄の篝火(ファロデルヴァニタ)”は〈火属性魔術〉と〈聖属性魔術〉による魔術。片方でも何とか使えるし、〈光属性魔術〉でも何とか発動出来るが、これはあまり現実的では無い。

 虚飾特攻魔法、擬態や幻術に対しても高い効力をあげる。単純な火力も高く、軍勢も一撃で薙ぎ払う広範囲殲滅魔法でもある。更には広範囲殲滅魔法の中でも一撃の突破力が高く、巨大な対象に対して強い。

 紫炎だが虚飾を払う聖なる焔であり、スキルが片方しか無ければ属性の性質を変えなければならず、かなり高等な魔術である。二つあれば他の広範囲殲滅魔法の難易度と大して変わらない。

 アバウルスは火属性と光属性に加え、〈広域魔法〉と言う固有スキルによって通常の魔術のように扱える。



 ・シュナイゼル

 彼が主人公の物語に題名をつけるならば、【人類を守る契約は、彼が動かない事で成される】である。


 “終末の炎(スルト)”は〈終焉魔法〉による魔法。魔術では無く魔法の域にある。

 終末の黒き巨人スルトの力をその身に再現する魔法。神話再現の概念魔法なので、使用には剣が無ければ数段威力が落ちる。そして剣があっても剣が焔に耐えられるものでなければ長くは持たない。制限が何かと多い魔法。

 その威力は世界も滅ぼせる。ゲヘナと違い広がりはしないが、消えない焔であると言うのは同じで、術者が倒れるまで永遠に燃え続ける。理破りの焔であり術式や魔力も燃やすので防ぐのは困難。相当堅く無ければ役には立たない。術者が燃やそうと思ったものは重力でも燃やす為に、人が滅んでいる世界の滅びでは無く、世界が成り立た無い意味での世界の滅びを与えられる。

 その発動難易度は、神々でも終焉を司らなければ使えない程。シュナイゼルは引くほど〈終焉魔法〉に適正が有る為に、そこそこの難易度で使えている。



 ・ユーサス

 彼が主人公の物語に名前を付けるならば、【愛国主義者は愛国主義で国を滅ぼす】である。


 “殉兵忠義アフターライフヒーロー”はスキルで発動しようとするならば〈呪術〉や〈死霊魔法〉により発動する。

 無理矢理国に忠義を果たさせる為の術。ユーサスは捻じ曲げた呪い返しで死霊を使役し使用している。一応スキルとしては固有スキル〈愛国鎮護〉。

 威力は死霊の生前の強さによって変わる。



最後までお読み頂き、ありがとうございます。

予定通りに進めば、次話が今章最終話となります。

その後は閑話と登場人物紹介が続く予定です。


因みに、モブ紹介の簡易版で無いものはユートピアの記憶から飛べます。

モブと言っているだけに、必要な情報と言う訳でもありませんが、お読み頂ければ幸いです。

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