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〈田舎者の嫁探し〉あるいは〈超越者の創世〉~種族的に嫁が見つからなかったので産んでもらいます~  作者: ナザイ
第3章〈アンミール学園の新入生イベント〉あるいは〈完全縁結びダンジョンの謎〉

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第六十三話 アレの買い取りあるいは食べ物

前話後書きや活動報告にも書きましたが、改めて。

本作三周年を迎える事が出来ました! これも皆様に読んで頂いているおかげです! 改めてありがとうございます!


そして三周年記念を色々と投稿しましたがアクセス解析から一言、モブ紹介のメインはモブ紹介後半です。黄金ヶ原がオマケです……。


また三周年を迎えたのにアレですが、今回は怖ろしいアーク回です。別に残酷な描写もあります……。

そして長めです。余計なところで長くなると言う……。

苦手な方はご注意を。


三周年らしく重要な要素は最後の言葉だけです。

 

 トイレとお花摘みの関係など一連の未知を知った、理解したのでは無く取り敢えず暗記するように受け入れた僕達は引き続きカイウス先輩とティナ先輩を観察していた。


 と言っても、僕達の求めた縁結びの先のような光景は無い。

 まだ無いのでは無く絶望的だ。


 元々結ばれている二人をダンジョンで後押しした形になったと思ったのだが、進展は全くない。

 常に嘘で誤魔化そうとするカイウス先輩の自業自得な絶叫以外は、何事もなく時だけが進んでいる。


 あっ、遂に気絶した。

 もうここまでのようだ。


 嘘を重ねなければいいものを。


 嘘は必ずバレると言う。嘘を隠し通すには本当にするか、それを超える何かを持たなければならない。

 多分、普通に真実を手に入れるよりも、嘘を真実にするのは難しい。

 元より、足りないから偽りを足そうとするのだ。多くの場合、真実が嘘を超えいないだろう。


 だからバレない真実に変えると言う方法は取りづらい。

 時間がかかってしまう。


 何事もポツンと存在し無い。

 相互作用、相対的に存在する。

 全てを捉えて初めて仮染の絶対は生まれる。

 人ですら絶対の物体では無く、相対の継続である。


 つまり周りの全てが回答のようなものだ。

 全てが全てを定義し合っているのだから。


 嘘と言う異物は隠そうとしなければすぐに露見する。

 だからバレない為には隠そうとしなければいけないが、元々現実以上に設定された作り物、単なる実力で隠し通せる可能性は低い。

 嘘は嘘を重ねなければ長時間隠す事が出来ないのだ。


 そして嘘を重ねる事は借金を返す為に借金を借金をするようなもの。

 いつか破綻する。


 カイウス先輩はそれを見事に体現していたと言えるだろう。

 既に今まで貴族だと偽ってきたカイウス先輩は、誤魔化すために大きな嘘が常に必要なのだ。


 寧ろ、ここまでバレない為に身を犠牲にしている姿を視ると、感心すらしてしまう程だ。


 まあ偽りであろうと、それは自分の築いたものなのだろう。

 信用を失う以前に、偽りなのに失いたく無いと言う本末転倒な思いも働くのだと思う。


 いつかバレる前提の嘘でない限り、きっと必ずいつか破綻する。

 バレてもバレなくても。


「コアさん、嘘って恐ろしいものだね」

「まあ嘘を付く状況に陥る時点で、破滅を先送りにしたのに過ぎないのかも知れませんが、それでも付くべきではありませんね」

「僕達も嘘をつかないように気を付けようね」

「ええ、相手を信じ信じられていれば、そのように心掛けていれば必要無いものですしね。信頼関係を築けていれば、相手を心から知っていれば、嘘なんか冗談で十分です」

「僕はもうコアさんの事を信頼しているよ」

わたくしもです。マスター、信頼していますよ」


 きっと、そう言いつつも、僕達はこれからも小さな嘘を言い合うだろう。

 でも僕達はお互いを知っている。


 だから、それは僕達にとって嘘にはならない。

 それが冗談だと、見栄だと、きっと僕達は真の意味を分かり合える。

 どうしようもならない様な時には、嘘を付く前に相談できる。聞いてくれると、手を差し伸べてくれると信じられる。


 嘘を付かないとは、本質的にはそう言う事だと思う。


 まだ僕達は出逢って間もない。

 出逢ってからずっと一緒に、これからもずっと一緒に居るが全てを知り合えた訳じゃない。


 でも、そう言う関係に慣れると、いや、そんな関係であると信頼出来る。


 きっとまだ一歩を踏み出しただけだ。

 でもきっと、この一歩から始まっている。

 途切れる事の無い信頼関係が。


「うぅ、アーク、立派になって……」


 そんな風に思っていると、ゼンに泣かれた。

 成長を喜ばれているらしい。


 それを見ると、恥ずかしいが嬉しくもある、複雑な気分になる。

 僕は何事も無かった風を装い話を続けた。


「それに、嘘を付くのも以外に難しいよね?」

「確かに実在しないのに、実在するかのように辻褄を合わせなければいけませんからね」

「いや、そうじゃなくて、ほら、気を抜いて嘘を付くと、言霊で嘘が実現しちゃうから」

「……何を言っているのですか、そんな事が出来たらそもそも嘘なんか存在していませんよ。“今日は雨だ”と言えば雨が降るなどある筈が―――」


 コアさんが、何もせずに不用心に呟くと、途端湧き上がる暗雲。


 あっという間に僕達が居るダンジョン上空が夜と見間違うばかりの暗雲に包まれる。

 そして閃光、続いて轟音。

 雷を合図にバケツの底を突いたような豪雨が降り注ぐ。


 先輩達の居るダンジョン内もそれは同様で、コアさんの意識の向いている先は全て豪雨に曝されていた。


「コアさん、そう言いながら雨にしちゃってるよ? しかも制御も嘘の中身も無いから、誰から見ても雨だって判る量の雨が降っちゃってるし」

「……確かに、嘘をつくのは難しいようですね」


 因みに僕達の場所にはピンポイントで雨は降っていない。

 何故か僕は昔から雨の当たらない体質だ。

 雨で濡れたいと望まない限り、雨は景色でしか無い。


 でも他の人からしたら迷惑でしかない。


「“晴れよ”」


 僕はダンジョン上空の暗雲を消す。

 ついでに濡れてしまった洗濯物を乾かしておく。

 これで一先ず怒られる事は無いだろう。


 ダンジョン内の天気は変えない。

 急に雨が降っただけなら、空を見てない限り自然現象の範囲だ。

 今回は些か雨量が多いが、初めて入るダンジョン内の気候を知るものなどいない。

 何とか誤差の範囲で誤魔化せる。


 しかしここで雨を消してしまっては明らかに不自然だ。

 人為的だとバレてしまう。

 ただでさえ不自然な事の多いソドムの中では、この雨から他のことがバレてしまう可能性まである。

 手を出さない方が利口だ。


 そして雨は縁結びにおいて利益を生む。

 雨宿り、更には家で雨宿り、まさかのお風呂に入って行っての状況まで生み出す可能性がある。


 まあ、外にいる女子の先輩は風紀委員のメービス先輩だけなのだが。


 しかし王道がほぼ封じられていても、服が雨で透けると言った簡単かつ分かりやすい要因にはなるだろう。

 何にしろ、雨を止ませなければいけない要因は無い。

 一度降ってしまえばそのままの方が良いのだ。



 さて、ソドムの設定を変えたことによる変化はカイウス先輩とティナ先輩の二人だけの身に起きた事では無い。

 大小様々な変化が各地で起きている。


 例えばそれは、臓器売買をしている先輩達の身にも起きていた。

 色欲要素の欠片も無い場所にも、設定変更の余波があったらしい。

 しかし場に合わせた自動設定から固定設定に変えた事で、それは無理矢理色欲要素を詰め込んだ、変なものになっていた。


「今なら、性●を金貨五百枚で買い取ろう。どうだ?」


 まさかの男の人の大切なシンボルを買い取ると言う謎の方向性に変わっていた。

 臓器売買に色欲要素を無理矢理足すと、こうなってしまうらしい。

 結果として、色欲要素は皆無だと僕は思う。


 因みに心臓の買取価格はさっき三千万フォンであった。

 生命維持と関係のないそこに五千万フォンも出すのは、理論的にも崩壊していると思う。

 心臓は命そのものの価値と言っても過言では無いが、大切なトコロはその限りで無い。

 生きている人間が自分の臓器に値段を付けて売っている時点であり得ない状況だが、その中でも異質に思える。


「えっ、いや、それは……」


 ……ここでまさかの拒否。

 心臓は喜んで差し出していたのに何で!?


「五百枚だよ? ご・ひゃ・く・ま・い。こんなチャンス、もう転がって来ないよ?」


 ソルセン先輩に比べれば、至極真っ当な言葉で誘惑するゴモラ。

 絶対に大切なトコロを金貨五百枚で買い取ろうとする輩は、ソドム以外には存在しない。

 と言うか臓器の重要性以前に、ソコを何に使うと言うのだ?


 心臓なら心臓移植は勿論、儀式にも使える。

 儀式の場合でも金貨三百枚分の効力は発揮されるだろう。

 しかし、大切なトコロは移植の時点で無いと思う。


 性転換がしたいのなら魔法なり霊薬なりでどうとでもなる。

 女の人のまま生やす方法だって、欠損を治す再生魔法よりも簡単なくらいだ。

 性転換の霊薬だって、万能薬よりは簡単に見つかるし作れる。

 まあ数時間限定のものが多いが、それでも十分固定のものでも現実味がある。


 そして万能薬と違って需要も少ないし、割と安く手に入れる事が出来るだろう。

 資金的にも移植より断然安く済む。


 儀式の材料として考えても、その価値は心臓に比べ無いようなもの。

 アフロディーテの誕生を再現した神話級の儀式などならばその価値は反転するが、常人どころか超人にも不可能に近いし、使うのも神霊のモノだ。

 人のソレは、人にとって使い途が極端に少ない。


 だからソレに金貨五百枚はどう考えても破格。

 第一、ソルセン先輩の場合は再生も出来る。

 再生の難易度からしても生命維持に必要な部位よりは余程簡単に再生出来るだろう。

 少なくとも命の危機にまで至らない。


 それなのに何故、ソレの売買には難色を示すのだろうか?


「金貨五百枚あったら色々買えるよ? 家は勿論、聖剣なんてものも買えるかも知れない」


 難色を示すソルセン先輩に対し、ゴモラはソルセン先輩の急所、聖剣について触れる。

 本当に聖剣が金貨五百枚で売ってるいるのか、と言うよりもそもそも聖剣が売りに出される事があるのか疑問だが、ソルセン先輩にそんな事を考える余裕は無い。

 ソルセン先輩は壊れた聖剣を治す為に全てを投げ出す覚悟をしているからだ。


「聖剣、も……」

「そうそう一モツで五百枚、ニモツで千枚、君の望むものは何でも買えるよ?」


 何か単位に凄まじい違和感を感じるが、当のソルセン先輩はそんな事気にする余裕も無く追い詰められてゆく。


「十モツで五千枚、五億フォンもあれば聖剣も一から作れるかもね?」

「ぐっ、うっ、……す、それでお願いします……」


 結局、ソルセン先輩は消えそうなか細い声で売買を承諾した。

 泣きながら……。


 この溢れんばかりの、いや氾濫している悲壮感は一体何なんだろうか?


 ゴモラはそんな事お構い無しにメスをバットから取り出す。

 流石はゴモラ、人の悲壮感何か関係ない。


「さあ脱いで」

 容赦なく最終通告。


「はい……」


 一瞬時が止まっていると勘違いさせられる程、ゆっくりとパンツを脱いだソルセン先輩はまるでまな板の上の魚。

 ただ調理を待つばかりだ。


 メスがこれまたゆっくりと近付いて行く。

 そして若干上に当てられた。


「ひっ……」


 メスの冷たさを感じて、つい短い悲鳴を上げるソルセン先輩。

 他の臓器の時点で悲鳴は上げるべきだったと思う。


 ジョリっ。


 メスが引かれると共にソルセン先輩は泡を吐いた。


 しかしまだ切られてはいない。

 どうやら下の毛を剃ってから始めるらしく、まだその段階だ。

 詳しくは知らないが無駄に本格的。ついでにメスを剃刀として使う技術も無駄に凄い。


 剃り終わった頃には既に気絶寸前。

 外見上は気絶と断言してもいい程、悲惨な事になっている。芸術的なまでに気絶してますよと表現されている。


 ……やはりその反応も、他の臓器の時点でするべき事だと思う。


 ついにメスが入る。


「―――――――――――――――――――――っっッッ!!!!」


 ソルセン先輩は真に声になら無い叫びを上げた。

 まだ大して痛みを感じていないにも関わらず、この世の終わりに直面したかのような、世界丸ごと大切なモノを喪ったかのような悲痛な叫び。

 どうやら精神的ダメージが段違いで大きいらしい。


 人の破滅を求めるゴモラは、その反応を見てゆっくりとメスを入れてゆく。


 もうこの段階でソルセン先輩は気絶の向こう側。


 それでもゴモラはお構い無し。


 そして遂にスパンとお別れする。


「……………」


 今度は悲鳴一つ上げずに、そんな余裕も無く気絶するソルセン先輩。


 尚、そんな中も切り取った部分はニョキニョキと再生を始めている。

 やはり臓器の時よりは再生が早い気がする。

 臓器の時は無い間の生命維持も再生力が行っていたのだろう。


 再生が完了すると共にソルセン先輩は目覚めた。

 色々な意味で復活が早い。


 そして悪魔の問。


「何モツでも金貨五百枚で買い取るけど、どうする?」

「ッ…………お願い、します……」


 そして繰り返される光景。


 正直なぜ心臓よりもそちらを重視するのか分からないが、それでもソルセン先輩は立派だ。

 人々の為、世界の為に心臓よりも大切なモノを犠牲に出来る。

 素晴らしき勇者だ。


 聖剣を治すのが目的で無かったら、幾らでも魔剣聖剣神剣を授けたいぐらい勇者として在る。

 これからも是非縁結びさせて貰おう。


 サインも今すぐ貰いたい気分だ。

 あっ、ゴモラが契約書では無くサイン色紙にサインを求め始めた。

 戸惑いながらも書かれるサイン。


 それをゴモラは後ろにしまったふりして転移。


 ここにサイン色紙が来た。


 まさかのゴモラも僕達の眷属と同じく僕達の思い通りに動いてくれるらしい。

 コントロールコアがあるから?


 視ると答えはコアさんに創られたかららしい。

 眷属と言えるかは微妙だが、命令には従ってくれるようだ。

 しかし縁結びが上手く行っていないように、ゴールまでの道が複雑なものは無理らしい。やり方を知らないと出来ないようだ。当然と言えば当然だ。

 そして明確に求める命令出ないと、通常行動が優先される。通常通りに動けない方が命令者に不利益を与えるかららしい。確かにソドムが変な行動によって崩壊してしまえば元も子もない。


 まあ、何であれサインはありがたい。

 後で飾る場所を決めよう。


 しかし、この臓器売買での変化はソルセン先輩だけに起きている訳ではない。

 もう一人臓器売買を試みているセルガ先輩の身にも起きていた。


 だが、セルガ先輩の場合は未だに臓器売買出来ていない。

 メスどころか刀も魔動のこぎりもセルガ先輩を切れないからだ。

 その為、ソルセン先輩とは違う事が起きていた。


「君を切ることはできなそうだから、違うものを買い取る事にしたいのだが、精液は売ってくれるかね?」


 ゴモラは切れないモノの中身だけを買い取る事にしたようだ。


「せ、精液を?」


 臓器と違い失うものでも無いが、意味が解らずセルガ先輩は問い返す。

 しかしこれは本体と違い、割と役に立つものだ。


「ああ、主にホムンクルスの材料として有用でね」


 そう、ホムンクルスの材料である。

 これはかなり有名な話だ。

 魔法の発見されていない異世界でも、ホムンクルスの材料として知られている。


 そして本当に異世界に伝わる方法、パラケルススの発見した造り方でホムンクルスは作成出来る。

 精液を腐敗させた段階で生み出されるホムンクルス原体は物資でない事から、その後血を与え続けるには高度な錬金術が必要とされるが、歴史的に非常に古い為、錬金術の歴史と共に必ず語られる錬金術の基礎だ。

 異世界で言う原子爆弾のようなものである。方法自体は簡単でも実行は難しいが、専門性の無い人々も広く知る知識だ。


 少しでも魔法関連の道に進んだら、話半分に知る事になるだろう。

 アンミール学園に居れば授業に留まらず、友人知人が実際に作成している場面に何度でも遭遇する事になる。


 つまり精液を買い取るとは、材料だと説明されればすんなり納得出来る話である。


 なんなら既に錬金術士に要求された経験があってもそれほど不思議では無いくらいだ。

 軽く視ても献血感覚で錬金素材を求める人がごろごろ居る。心臓すら献血感覚でくれと言う人まで結構居る……。そしてはいはいと呆れながら提供する人も……。


 都会って怖い……。

 初日は逆に怪我人を実験体として、欠損部を与えようとする人達がいたし、逆も沢山。

 何よりそれをそこまで深刻に思っている人がアンミール学園に居ない事が大問題だ。つまりこれらは日常。


 僕達は都会で上手くやっていけるだろうか?



 不安を紛らわせる為にまた食事にでもしよう。


「コアさん、ソルセン先輩のソーセージ、調理すればソーセージとして食べられるかな? ハツは儀式か何かに使えそうでもったいなけど、生でもいけそうだよね?」

「……もはや突っ込む気力が失せるくらいとんでもない発言ですね。取り敢えず、都会よりもマスターの方が余程怖ろしい存在だと思いますよ?」

「ソーセージは他の使い途が無くてもったいないと思ったんだよ。それにコアさんの方が生贄とか好きな癖に」

「否定はしませんが、丸ごと生きたままで無いと。その手のものは鮮度が命です。命や思念そのものこそがメインですから」

「コアさんも相当な事を言ってると思うよ?」

「……取り敢えず二人共食うな……と言うか二人にとっては生贄どころか食事も必要ないものだろうが……」


 二人に止められたので食べるのは止めにする。

 でも考えてみれば二人の言う通りだ。


 コアさんの言うように人にとっても食材であるもの以外は、普通の味以外を感知しなければ美味しくない。

 例えば月は月と言う概念が付随していなければただの巨大な石ころだ。その概念が高まる空で輝いている状態は美味しいが、直接月の上で食べたり空に浮かべず即席で生み出して食べても美味しく無かった。


 人も味だけでは食材になり得ない。

 寧ろどちらかと言うと不味いの部類だと思う。少なくとも特段美味しいものでは無い。

 それに文化として生贄を受け入れたが、それでもやはり直接口を着けるのは躊躇する。食材として語れば、見た目が駄目だ。丸呑みとか瞬間再生しながら出ないと、口を着けない食べ方としても躊躇する。

 調理方法も無いし食用に品種改良してきた種もいないから、総合的には雑草みたいなものだ。


 そしてもったいないからと言って必要な事では無い。

 そもそも都会で生贄はただの挨拶だった。


「確かに、挨拶はした方が気持ち良いだけで必要じゃ無いね。寧ろ気分を良くすること自体が目的なのに、気分を害す事をしたら元も子もない。美味しくない状態のものは態々食べる必要無いって事だよね?」

「挨拶? 何を言っているんだ?」


 ん? 話が噛み合わない。

 もしかしてゼンは挨拶に生贄をもらわないのかな?

 ゼンは儀礼的なものを嫌いそうだし、儀礼的な挨拶文化を避け続けて知らないのかも知れない。


「パパは生贄を食べないの?」

「……生贄って、人間の事か?」

「うん」

「……俺は元人間だぞ?」

「そう言えば、人間が猿を食べるって話は聞かないね? 神も人間を食べたりしないの? 世界神なら神が猿に相当する気もするけど?」

「当然食べない」


 ゼンは断言した。


 これは性格云々よりも普通に食べないと言う意味での答え方だ。

 それも好き嫌いでは無く、毒キノコは食べないと言った当然の意味合いを感じる。

 挨拶文化は全く関係ないらしい。


 そう言えば何処までなら食料とするのだろうか? 近いと言っても猿を食べないのはただ不味いからかも知れない。

 例えば肉食動物は筋が固くて食べれない、不味いと言うような意味合いで食べれないと言う。なら雑食の動物もそれに準じて筋が固いとも考えられる。


 見かけは案外関係ないかも知れない。

 虫を食べない者も、甲殻類なら食べる。虫を嫌う人もいれば、蛸を好む人がいる。

 だからと言って、味が似ていても片方は食べて片方を食べない人達がいる。

 割と謎だ。


「食べ物の境界って以外に難しいものなんだね」

「そう言えば食料かどうかは兎も角、食べれないものは存外少ないですね?」

「……おい、生贄の話はもういいのか?」

「同じ話だよ?」

わたくしも同じ話として話していますが?」

「……既に何故食べないのか考えないと理解出来ないのだな……」

「「?」」

「……もしかしたら、二人が食料を必要としてない事が、この世にとっても最も大きな慈悲なのかも知れないな……」


 何故か悟りを開いた風のゼン。

 ニート神なのにとても様になっている。

 伊達に世界神をやってない。


 しかし悟っているだけに、悟りを開いて無い僕にはゼンが何を思っているのか難解で解らない。

 何故その言葉の後にその言葉が続くのかさっぱりだ。


「で、食べ物の境界線ってどこだと思う?」


 ゼンの考えが解らない僕は気にしない事にして話を続ける。


「そうですね、食べられるものの範囲は広いので逆から考えてみますと、食べ物とは食べれない理由の無いものではないでしょうか? 当然毒のあるようなものも食べれませんが、そうでなくとも栄養に変換し難いものは食料になり得ません。つまり総合的に収支プラスのものが食料なのではないかと」

「美味しくて栄養があっても採るまでに消耗するものも、採るのは簡単でも消化までの消耗以下の栄養にしかならないものは食料として不適って事だね?」


 当然と言えば当然だ。

 その条件を食料が満たせていなければ、今頃大半の生物は絶滅している。


「同じ風に考えると、要因の一つは確率かな? 多分その食べ物じゃないものと間違わないように、見分けるのが難しいくらい似たものがあるものは、他の要点を満たせても食べ物にはならないだろうね。食べ物に余裕のある時代じゃないと、致命的だから。松みたいに扱われても非常食にしかならないんじゃないかな」

「確かにそれでは珍味止まりと言ったところでしょうね。おそらくその中で一際有用なものだけが専門家を擁し、食料としての珍味に成り上がれるのでしょう」


 これも当然と言えば当然、危険な可能性が潜んでいたり、採るのが極端に難しいものを好き好んで採ったりはしない。

 そこには理由が必要だ。特段美味しかったり、薬となったり、もしくはどうしようもない程の飢饉の中で無ければ食料として選ばれないだろう。


 ここまでは簡単に定義できる。

 難しいのはここからだ。

 現実を交えると途端に判らなくなってくる。


「採るのが簡単で栄養価もあって美味しい食べ物を食べ物地域があったり無かったりするのはなんでだろうね? 例えば異世界の日本で考えると海藻は食べるけど虫は食べない。海藻も虫も栄養豊富でそこら中にある。まあ、海藻は海沿いじゃなきゃいけないけど、海にさえ行けば勝手に打ち上がっているくらいには溢れてる。何で食べたり食べなかったりするのか不思議だよね?」

「はい、文化と一言で片付けるにも、その文化が生まれた理由がある筈です。寧ろ異世界の人間は猿から進化したと考えられています。そして猿の場合は虫をよく食します。文化と言う流れから考えた場合、食べない理由と言うよりも食べなくなった理由を考えなくてはなりません」

「虫を食べなくなった理由、虫は変温動物だから氷河期で虫が一旦いなくなったからとか?」

「その可能性は高そうですね。他の変温動物を現在異世界でよく食しているのは温暖な地方の方々ですし、氷河期でも変温動物を食せたから現在も食す文化があると考える事ができます」

「でもそう考えると今度は何で氷河期が過ぎ去っても虫を食べることを再開しなかったのか不思議だよね? 文化と言う面から考えると、他に食べるものが豊富にあったから食べなくなっただけかな? 虫以外のタンパク源、狩るのは難しいけど鹿とかは一匹狩ったら大人数が食べれるし、小さな虫を集めるよりは効率が良さそうだよね? 獲物を狩れない猿が極限環境で獲物を狩れるようになって、もう虫は必要なくなったのかな?」

「虫食文化はそれで一先ずいいとして、海藻はどうなりますかね? 海へは古来より進出していたと考えられます。古来の交通手段の最たるものは永らく船です。大文明が大河流域に築かれたように、かのギリシアの島々に今に続く光が灯されたように、人類は水と共に、船と共に過ごして来ました。果てまで遡れば海より生まれたとさえ考えられています。それなのに何故、馴染みある筈の水草や海藻は食さない方々が多いのでしょうか?」

「そうだね、海藻は虫と別の要素として消化のし難さも関係あるんじゃないかな? ミルクを飲み慣れない民族がミルクを消化し切れずお腹を下すように、海藻でも似たような事が起きるみたいだよ? 適応してまで食べようとはしなかった、って事じゃないかな?」

「ですが、それではミルクの方が何故本来消化できない筈の民族も食べているのかが謎にはなりませんか?」

「それは色々な料理に転用できて、それが美味しいからじゃないかな? 完全に消化できなくても栄養価は高いし、寧ろミルクに糖を求めている人はかなり少ないんじゃないかな?」

「確かに味が良ければ何でも良い、生物としては馬鹿げた解答でしか無い理論ですが、強ち否定も出来ませんね。特に栄養的に問題が無くなった時代に入っては、味が全てと考える方もいるでしょう。ですが海藻も万能ですよ? 主役には成り切れない部分が有るかも知れませんが、引き立て役としては間違いなく一級品です。昆布に関してはもはや日本料理の基礎の一つです」

「美味しいだけでいいなら、殆どの物が当て嵌まっちゃいそうだね。だったらそれが主な理由じゃない。だったら海藻は消化出来るか出来ないかに関係するのかもね」


 食べ物の境界について話してみると、段々とそれを決めているらしい理由が見えてきた。

 と言う事は理由なく食べる食べないが決まる訳ではなく、海藻についても食べる食べないの理由がある筈だ。

 それも合理的と言えるようなはっきりとした理由が。


 海藻、海藻、何か英雄譚にあったような?


「あっ、そう言えば【天才医師はより多くを救う為に異世界で料理人に転職する】って言う英雄譚ライトサーガ、壊血病を治したり脚気を治したり、欠乏症を料理で治す英雄の話で、ヨード欠乏症って言う病気が出てくるんだよ。そしてその治療法が海藻を食べたり巻いたりする事なんだよね」

「ヨード、それは異世界で何かと話題のうがい薬に入っている、主成分かつもう一つの主成分の原料であるヨウ素の事ですね? そう言えばわたくしも聞いた事があります。異世界の殆どの国では食塩にヨウ素を人工的に混ぜていると。それだけ重要な栄養素らしいですね?」

「その欠乏とは逆に、日本人はヨウ素過剰らしいんだよね。昆布なんか1グラムで許容摂取量になるらしいよ? そして世界二位のヨウ素産出国だからか、海産物全般も他の土地のものよりもヨウ素濃度が高い。それに連鎖してヨウ素は元素だから分解されず、肥料とか飼料にしたら次はそれを与えたところに移る。何かと多いらしいんだよね。日本人はそれだけヨウ素を摂取しても平気な身体に進化しているみたいで、普通は甲状腺に貯めているヨウ素を曰く排出だかなんだか出来るらしいんだよね。放射線が漏れても甲状腺ガンが少なかったのは放射性ヨウ素が甲状腺に留まらなかったからって説が有るくらい特異な性質を持っているんだって。だから、海藻に関しては消化出来なくてお腹を下す程度じゃ済まないんじゃ無いかな?」

「成る程、異世界人に多い日本の方は海の魚を摂取するだけで過剰な程のヨウ素に古くから触れてきた。だからヨウ素が過剰な海藻も食べれるようになった。しかし他の地域の方々は慣らすことが出来ず、いきなり高濃度のヨウ素が含まれる海藻を食せなかった。それが食文化になったと?」

「うん、ヨウ素一つでそこまでなるとも思えないけど、大きな要因の一つではあると思うよ?」

「では、海藻に関しても一先ずは理由が判りましたね」


 ここまで考えて食べ物とは何だか解った。


「結局、食べ物は食べる理由があって、食べない理由の無いものなんだね?」

「物によりますから、最終的に総括するとそうなりますね」


 古代においては生存に最も効率的な栄養源。

 栄養満ちた後は味や外見。

 栄養偏りし後は栄養豊富な健康に繋がるもの。


 結局、最後は食べれない理由が無い限り、人の選択肢次第で食料の境は広がる。

 食料の境とはそうものなのだろう。

 おそらく、即死級の毒物でない限り食料となる可能性を秘めている。



「で、何で生贄を食べるのは忌避されるんだろうね? 僕も実際に食べるまでは忌避していたし?」

「確かに人間にとって必要な栄養素が完璧に揃っているのは同じく人間、そして最も身近なのも人間ですよね?」

「…………さっきまで真面目に話していると思ったら、その話はまだ続いていたのか? と言うかそもそも、生贄は神に食事を捧ぐ目的では無く、その身と魂を捧げる、神に仕える為に行う行為が主目的だと思うぞ? 人間に近い姿をした神は生贄を受け取ったとしてもまず食べない……」

「そうなの!?」

「そうなのですか!?」

「二人にとっては驚く事なんだな…………」


 生贄を食べない、それは伝承等から考える場合は勿論、反対側から考えても驚愕に値する。

 だって、仕える為に死なれたら困る。

 いや、困りはしないかも知れないが、利点が無い。


 確かに神々は肉体の無い事が殆どだ。

 器に囚われたら強大な力を得られないし、無理に強大な力を手に入れようとすると器が壊れ、結局肉体を喪う。


 逆に器、肉体自体が強いと今度はそちらに引っ張られ、神と言うよりも龍のような超位存在になる。

 そうなれば器が強固故に祈りのような広い不定形の力を受け入れ難くなり、神には至れない。ほぼ不可能と言って良いだろう。成れて亜神と言ったところだ。


 ただ肉体的に強ければ神に至れると言う訳ではない。

 神には確固たる芯が必要なのである。

 ただ最強の戦士よりも、神業を持つ料理人の方が神に至れる。

 そして料理人の場合、至れるのは肉体の無い神であろう。


 ゼンのように肉体のあるまま人間から神に至った例は、極端に少ない。まあ、世界の数と比較したらの話で、神の数自体は親族だけを数えても星の数ほどいるのだが……。


 つまり、常人が神に近付く、会うような意味合いで近付くには肉体を喪うのが手っ取り早い。

 しかし、だからこそそれでは意味がない。


 神々が人間に対し最も必要としているのは地上への干渉力だ。

 肉体が無い故に、神々は肉体を持つ信者がいなければ地上において神としての力を発揮出来ない。

 地上に力を降ろす先が無ければ、神々とて消耗を覚悟しなければならない。


 霊体としての眷属なら、神々が使い魔を造る方がよほど力になるだろう。

 英霊のような高位の霊ならば正しく神の眷属となるだろうが、そうした存在は地上で力を高めた信者が死後に至る存在だ。

 神々にとって、道半ばで死なれるよりも生きて英雄となり、寿命尽きるまで己を磨いてきた者こそが、真に求むる者である。


 生贄とは、精々忠誠の証としかならないのだ。


 だから、僕からしたら喰らうくらいでしか生贄を役立てられないと思っていた。

 代償魔法などの儀式としてなら生贄は有用だが、それは神々の為とはならない。それは瞬くような一時のレールを引くような行為で、信者がより多くの救済を乞う為のものである。

 尽くす方向性では意味がない。


 しかし他ならぬ神であるゼンがそう証言するからには本当なのだろう。

 生贄とは、人からしたらどうかは判らないが、神々からしたらただ儀礼的なものなのだ。


 そうなると、生贄を喰らう事は相当避けられている気がする。


「やっぱり似ていると喰らえないとかあるのかな?」

「そう言えば、肉食動物が肉食動物を食べると言う話はあまり聞きませんね」

「……そう考えているのならお前達が生贄を喰らうのも当然なのかもな……」

「「?」」


 ぼかして言っているが、何だかとてつもなく失礼な事を言われた気がする。


「でも場をこの世界、アンミール学園とかに戻すと、オークとか人型の魔物も普通に食べるよね? 中には人と同じように言葉を話す上位種もいるけど、普通に食べるよね? それも高級品として」

「今日も沢山食べましたね。オークキングなどで考えると、異世界の物語の中でも当たり前のように高級食材として語られる事が多いように思います。つまり実物を知らないとは言え、忌避感なく異世界人の方も食材として捉えていると言う事に他なりません。と言う事は、やはり姿による忌避感と言うものは少ないのでは?」


 コアさんの言う通り、オークの定義にもよるが魔物のオークを示す場合、異世界においても食材として定義されそれが主流となっている。

 主流となっていると言う事は、多くの人々が食材として認めていると言う事だ。

 そこに忌避感が含まれていると考える方が難しい。


「姿じゃないのに似ているから忌避する理由なんかあるのかな?」

「それにも関わらず結果だけ見ると似た存在を食す例は少ないように思えますよね? 他のオスの仔を喰い殺す等は聞いた事がありますが?」

「そう言えば、嘘か本当か胎児を薬にするって聞いた事がある気がする。もしかして赤子だけは例外?」


 人も動物も、最も大切にするのは子供だ。

 赤子など最も大切にしなければいけない時期でもある。

 そう考えると、生贄などよりも余程忌避しなければならない行為だろう。


 それが一部において忌避されていないと言う事は、やはり別の理由がある気がする。

 ん? 薬?


「もしかして外見じゃなくて内側、遺伝子が似ているから忌避するんじゃないかな? 例えば感染する病気の魚を食べたところで魚の病気が感染ることは滅多に無いでしょう? でも猿の病気なら人間にも感染る可能性が高い、それが同じ人間だったらかなりの確率で感染るんじゃ無いかな? そして赤子は風邪をひきにくいと言う。確か抗体が多いんだよね? それに赤子が死ぬ病でも大人が死ぬ事は少ない。もしかしてそう言う理由じゃない?」

「つまり病原菌が忌避の要因だと? 成る程、それなら納得出来ます」

「納得するな…………」

「でも辻褄は合わない?」

「そもそも合わせるな……世の中には知らない方がいいどころか、考えない方がいい事も沢山ある…………」

「スキルもその人の一部だけど、〈暴食〉スキルとかでバクバク喰らっていてその手の物語は人気もあるけど?」

「だから大罪スキルと呼ばれるんじゃないのか…………」


 肉を喰らうのもスキルを喰らうのも大して違わないと思うけど?

 それに先輩達は自らを進んで生贄としていた。


「じゃあ何で人は同族の生贄を忌避するの?」


 シンプルに聞いてみる。


「……それは人が人であるからだ」

「「…………」」


 何故か言い返せない答えが返ってきた。


 うん、この話はここまでにしておこう……。

 ゼンの言う通り、世の中には考えない方がいい事もあるようだ。





 《用語解説》

 ・ホムンクルス

 錬金術により創造された人造人間。

 基本的な製法はパラケルススの伝える通りである。

 しかしその製法は魔術も必要としていない製法に思えて、その実一流の錬金術師を持ってしても難しいものである。


 精液を腐敗させて生み出されるホムンクルス原体は実体のあるものでは無い。霊的存在、それにも満たない希薄なものである。

 それに血を与える事は錬金術を持ってしても難しいものがある。そして毎日与える毎にその存在は変化する。より実体に近づいたものに。

 そんな変化する存在に合わせ長期間血を与え続けなければならない。


 ただ異世界のホムンクルスとの違いとして、フラスコ外でも生存出来る。

 これは魔力などが異世界に比べ豊富な為。その肉体に親和する魔力の籠もった食材も豊富な為、食事を暫く取らせれば外に完全に適応させる事が出来る。

 またそれ自体が力を持つホムンクルスと親和する素材も豊富にある為に、人間大のホムンクルスも作成出来る。


 伝承としてホムンクルスはあらゆる知識を持って生まれるとされるが、これは誤り。全知ではない。

 しかしプログラムした訳でも無いのに初めから多くの知識を持つ。どんなホムンクルスでも言語ぐらいは初めから知っている。

 果てはその世界全ての魔法知識を持って生まれたホムンクルスの例も一応は存在する。

 多かれ少なかれ、生まれながらに知識を持つと言う部分は間違っていない。


 その知識を持つ原因は不明だが、最も有力な説としてホムンクルス作成は一種の概念魔法を用いており、人間と言う概念には唯一文明を持つと言う特性がある為に、人間と言う概念が込められると文明を拓く為の知識を持って生まれるとされる。

 またあらゆる知識を持つホムンクルスと言う概念が込められると言う説や、ホムンクルス原体自体が知識の源だと言う説、ホムンクルス作成は本来かつて存在した誰かの肉体を再生する為の儀式であり、結果として作成出来るのは魂無きその肉体、脳が全てを司っており脳の形が再生されるから知識も蘇っていると言う説、魂の無い肉体に心が消え知識のみとなった漂う魂が入り込みその知識を獲得すると言う説などがあるが、何れも実証されていない。


 他のホムンクルスの特性として、魂の無い事が定説となっている。

 これは上記を証明する為の実験などから判ったことで、一番有名な実験ではアンデッド化出来なかった事でそう言われるようになった。

 それでいて破壊されても修復が可能。生物に比べて遥かに腐敗し難く、生物であれば確実に死んでいる傷であっても長時間再生可能な状態のままである。

 この性質も魂が存在せず抜けないから可能になるとされる。


 実際は製造工程からして元々の存在自体が魂と物質の狭間のようなものになっている事により、魂と肉体が一体化しさらにどちらでも無いと言う中途半端な状態になっている。

 あらゆる知識を持つのはアーク曰く、「漂白されずに聞けるから」、どの性質もその構造による。

 再生可能時間が長時間なのも肉体が魂であり肉体でないからで、魔術を含めた通常攻撃で魂面まで破壊できないので、いつまでも修復可能となる。


 その代償として常に魔力を必要とする。そして自分で魔力を生成出来ない。

 自然の魔力に満ちた土地では魔力供給なしでも稼働出来るが、街中などでは魔力供給を必要とする。

 損傷時も、魔力供給を続いていなければ再生は不可能となる。

 その為戦力としての扱いは微妙なものもがある。ホムンクルスは魔力を生成出来ない分、魔力を蓄える力は大きいがそれでも激しい戦闘時等は大量の魔力供給を必要とする可能性が高い為に、魔術師の戦力が低下する可能性が高く戦闘用のホムンクルスは少ない。

 戦闘能力を持たない錬金術師が護衛として用いる場合が殆どである。

 魔力供給が完全な場合は豊富な魔力と魔術を持つ強力な魔術師件戦士となる。


 心を持ったホムンクルスは人種になる。

 その場合は稼働に魔力が必要無くなり、魔力も生成出来るようになる。

 その代わり不死性はホムンクルスよりも低くなり、人に近付く。




 ・天才医師はより多くを救う為に異世界で料理人に転職する

 英雄譚ライトサーガ

 異世界転移した天才医師が、魔法のある世界では治癒力を上げたところでどうにもならない病、栄養失調の方が深刻だと気が付き、必要な物を食べてもらえるように料理人に転職し、料理を広めてゆく物語。





 《余談》

 ・人種の食べれるもの

 大賢者の加護により人種は牛乳を始めとした乳全般も海藻も問題なく食べれる。

 毒としか言いようの無いもの以外は基本的問題なく消化吸収出来る。





 《割と重要な三周年記念余談》

 ・アークの忌避するもの

 アークも人と違わず最期に繋がる事象を忌避する。

 しかしアークにとっての最期とは、人のそれとは大きく異なる。

 そしてアークは人を信じている。それ故に人にとって質の悪い事が多々ある。


 人を喰らう事自体には何とも思っていない。

 アークには全てが視えているから。

 全ては道の一つに過ぎない。

 更には食事自体を必要としないアークにとって、喰らう事も見る聞くと同じように、対象を知る為の手段に過ぎない。


 同時に回復させるのは死なせるのを忌避していると言うよりも、人を信じているからである。

 場合によっては信じているからこそ、回復させない可能性もある。



 アーク:「僕が待ち望んでいるのは、最高の君さ」



最後までお読み頂き、ありがとうございます。

余計な話こそ長くなると言う不思議……。

アークの言葉の意味は他の超越者アーク回をご覧ください。

せめて秋が終わってしまうまでには次章に移りたい今日この頃です……。

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