第十五話の用語解説あるいは地域説明
《用語解説》
・巨大鳥居の封印
そんなものは存在しない。
《地域説明》
・ユートピア村
アークの村。
住んでいるのは全員アークの親族で、子供はアーク一人という限界集落を極限まで極めたような村である。
実はアークの次に若いアークの母親も、えっ!? それ年齢を時間の単位で言ったんじゃないの!? と言うような歳で高齢化が進み過ぎている。
村はアークの通った場所を除き、全面的に山脈に囲われている。逆に言えば山脈に囲われた土地がユートピア村である。
その為村の土地は広大で、村がどんなに順調に人口を増やしても、星の寿命程度の時間では決して土地不足にはならない広さをもつ。
これは村人が思い思いに土地を使い、不足する度に土地を拡げているからである。元々広い土地だった訳ではない。
尚、その広さでも村人は端から端まで瞬時に移動出来、端から端まで全てを見聞き出来る。
アークは嫁探しに旅立ったが、村自体は別に困っていない。単純にアーク以外の村人はアークの子の姿を見たいだけだ。
・ユートピア山脈
ユートピア村を囲む、理解出来ない高さを誇る山脈。
高さを理解出来ないだけで不可能という訳ではない。
外から見ると一つの山のように見えるが、実際は数多の山々が連なった山脈である。
高い山だと頂上から眺める景色は絶景だと思うかもしれないが、この山脈の山々は高すぎる為そんなに良い景色は見えない。
当然登る者は居らず、山脈に居るのはアークから山脈の飛龍と呼ばれる原龍種のみである。
尚、この山脈の内側には野生動物の類いは存在しない。
山脈の高さは元からではなく、村人が土地を拡げるついでに元々のバランスを変えない為に高くし続けた結果である。
この高さでの存在を可能とするために、この山脈にはあらゆる力が注がれており、最果ての龍が全てを出し切ったとしても大きく破壊することは出来ない。
決してビンタで吹き飛ばされた者の衝突で破壊されることはない……筈である。
・ユートピア高原
ユートピア村が存在する高原。
高原全体がユートピア村である為、ユートピア村とも言える。
気候は四季が存在するが、村人が年間を通して過ごしやすい環境である。
この高原も山脈が高くなると共に高くなり、既に外にこの高原の高さを越える山は存在しない。
・最果て
最果てを一つだけ決めよ、と言われたら確実に選ばれる場所。
名前の通りである。
ユートピア高原を降りた場所のことで、様々な遺跡が存在する。
常に多種多様な花が舞い続けている力溢れる土地。
最果て故に、純粋な何処へ向けていない願いや想いの最終的に辿り着く土地で、そこに存在する全てが願いの実を越える力を持つ。
辿り着けた者の大抵の望みは叶うだろう。尤も辿り着ける実力があれば必要ないだろうが。
此処で生まれた花片等が稀に外まで流れ、世界は動く。
・柱の森
アークが境界の森と呼ぶ森。
ユートピア高原には及ばないが、軽く雲を突き抜ける高さの世界樹よりも遥かに高く太い巨木で構成されている森である。
最果ての龍のブレスでもびくともしない。
動物の類いは一切存在せず、実質的には森と思わない方がよい。
因にどこが柱かというと見掛けではない。単位である。
・ダンジョン《最果て》
元コセルシアがダンジョンコアだった、ダンジョンそのものであったダンジョン。
誕生してからダンジョンとして風化するまで、最上位のダンジョンであった。力としては崩壊し大幅に力の落ちた現在も変わらず最上位であり、アークが攻略するまで誰一人として攻略者は居ない。
ユートピア村から漏れでる力を利用していた為、ここまで強力になった。
風化し自然環境と化してしまう年月の間存在していた為に、溜め込んできた情報や宝物は凄まじく、宝物は一つ手に入れただけで大抵のことは出来る。
一番外側に居る魔物でもその素材は世の中の人々が求める宝となり得る。使い方によれば世界をも造り出せるだろう。
尤も全てそれが出来ればの話しだが。
・ダンジョン《最果て》:限界
最果ての龍が居た領域。
森であるがアークが進む間は草原にされた。
其処に存在する草木も国宝並みの宝物で、ダンジョンボスの最果ての龍との戦闘では回復方法に困る事はない。色々な意味で無意味だが、これはコセルシアなりの集客策である。
領域の入口には強力な結界が張られており、入るにも出るのにも特殊な条件を満たす必要がある。
入る条件は最果ての龍を除くダンジョン内全種族の撃破、全フロアマスターの試練の突破、そして覚悟が必要だ。
一度入ったら最果ての龍を倒すまで出られない。
尚、アークが通る筈だった道を使えば戦闘も避けられ、真っ直ぐ外の領域に出られる。ただし一度でも道を外れると効果が無いため、村人達は当たり前のように倒して通る。
・ユートピアの大鳥居
ダンジョン《最果て》:限界の入口に存在する巨大鳥居。
実は逆柱。完成当初は装飾も施され色も塗られ、周囲にも神殿のような施設が多数在ったが、完成された最終極点の消滅時に今の形にされた。
共に永久に発展し続けるようにと、終わらないようにと、願いの籠った鳥居。
このような経緯で建てられた為、封印等はなにもない。どうやっても何かが解き放たれたりはしない。
・ユートピアの道
ユートピア村とユートピアの大鳥居をつなぐ一本道。
破壊されない石畳で構成されているが、あくまで石畳が破壊されないだけなので道としては所々壊れていて、上下の高さを調整すれば普通の道に戻るという不思議な見掛けをしている。
ほぼ真っ直ぐな一本道なので迷うことは無い……筈だ。
・ユートピア
理想郷、完全なる都市、発展の最果てに在る領域。
アークが視た鳥居から一番近い都市である。
遥か太古の時代、辿り着いたが為に消滅してしまった。
ユートピア村の住民はユートピア人の生き残りの子孫達である。




