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〈田舎者の嫁探し〉あるいは〈超越者の創世〉~種族的に嫁が見つからなかったので産んでもらいます~  作者: ナザイ
第1章 〈都会までの道程〉あるいは〈逆向きに最果て攻略〉

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第十四話 休憩あるいは料理

申し訳ありません。

更新が遅くなりました。

 

「そう言えばコアさん、このステータス本当に全部出てる?」

「ん? 何か不備でもありましたか?」

「いや、“大賢者の加護”が無いんだけど」

「……まだ気にしていたのですね。余計なものは省いたりしていますが、加護は全て表示していますよ」

 コアさんが少し呆れた風に言う。もう、他人事だと思って。


「コアさんは元々ダンジョンコアだから無くても良いかも知れないけど、僕は人なんだよ。気にするのも当然じゃないか」

 僕はコアさんの態度に抗議する。

「いえ、“大賢者の加護”が無いのならそもそも人かどうか怪しい存在ですから」

「……泣くよ。大洪水になるからね」


「まあまあ、今獲得しなければいけないものではありませんから、そのうち獲得すれば良いではないですか。マスターならいつか人になれますよ」

 何故だろう? 真っ直ぐに宥められると目から雨が……。

 でもそれが引っ込む程酷い発言を最後にされたから結局雨は降らなかった。コアさんの言い方からして、コアさんは僕を人だとは思っていないようだ。まあ、宥めてくれたからそれでチャラにしてあげよう。



「それよりも鳥居の随分近くに来ましたよ。気持ちを入替えましょう」

「本当だ。もう見上げなければ全体が見えないね」

 気が付けばもう五、六分で真下まで辿り着きそうな所まで来ていた。神輿の速度と快適さが凄い。全く気が付かなかった。


 鳥居は近くで視ると圧倒的だった。美しい、荘厳な、神秘的な、様々な感想が出てくるがやはり圧倒的、これがこの鳥居を表すのに相応しい。


 優しく落ち着いた白い石材で造られた、継ぎ目の無い巨大過ぎる鳥居はどうやって造られたか想像も出来ない。

 誰が造ったのか、何の為にあるのか、そもそも建造物としてこの大きさは存在可能なのか、疑問点をあげたらきりがない。

 しかし視ていると自然物であると、納得してしまいそうである。


 真下まで来るとこれまた不思議な光景があった。

 影が全く無いのだ。本当に鳥居は在るのかが疑問に思える程に、光量に変化が無い。

 ここまで巨大だとかなり重い筈なのに、光りのせいでそれを殆ど感じなかった。


 それでも視ると圧倒される。なのに自然物に思える。

 考えても意味をなさなそうなので、ここは素直に景色として楽しもう。



 そうこうしながら鳥居の先に着いた。ちょうど広い空間があるのでここで休憩にしようと思う。


「皆~! お疲れ様! 一端ここで休憩にしよう!」

 僕は玉座を立って眷属達に労いの言葉を懸けて、休憩にすると伝えた。

「「「「「はっ!!」」」」」

 眷属達は見事に揃った返事をして神輿を大地に降ろす。

 すると神輿からは光で出来た階段が現れた。休憩場所に到着だ。


「さて、僕は早めの朝食にしようかな。コアさんも一緒に食べよう?」

「はい、喜んでご一緒させて頂きます」

 僕達はそんなやり取りをしながら神輿を降りる。そしてその足でさっさと眷属達から離れた場所に移動する。

 同じ場所に居たら僕達も眷属達も休めそうにないからだ。特に僕達が…。


 こうして僕とコアさんは出来るだけ眷属達から離れた所、この領域の端まで来た。

 端は明暗が別れていて完全に違う領域だと区別出来る。常に昼のような明るさのこの場所と、通常の時間通りに明るさの変わる外、今の時間帯が本来暗いこともあってハッキリと別れていた。


 僕はそこにふかふかの若い草の絨毯、一見するとただ草が生えているだけに見えるそれを敷いて座った。


「じゃあコアさん、朝食にしようか」

 僕は隣に座れと草をポンポンしながら言った。

「では失礼します。朝食は何にしますか? 料理系の魔術を使いましょうか?」

 コアさんは僕の隣に座りながら聞いてくる。

 僕は料理が得意ではないから頼もう。

「お願いね。食材は僕のを使っていいよ」


「ではまず眷属を召喚してしまいましょう。“料理”、“調理”、“炊事”、“クッキング”」

 コアさんが眷属を召喚すると言って魔術を発動した。もう既に魔術イコール眷属の図式が完成してしまっているようだ。最初あれほど否定していたのに……諦めることも大切だよね。


 コアさんの魔術は瞬く間に眷属として誕生した。

 姿は各々、中華な達人、板前、割烹着姿の女将、コックに少し神官を入れたような恰好をしている。

 どの魔術も同じようなものなのに、どうしてこうも個性的なのが出てくるのだろうか? 性癖は普通であると祈りたい。


「じゃあ料理宜しくね。あ、調理器具はどうする? 木製でよければすぐに出せるけど」

「ではお願いします。ですが竃はどうしますか? 眷属が既に存在していますが?」

「そう言えば居たね。悪いけど喚ぼうか、こういう時の為にいるんだからね」

「「畏まりました。直ちに喚んで参ります」」

「「わっ!」」

 僕達がコアさんと話していると、突如後ろからサカキとナギが現れた。毎回心臓に悪いがすぐに現れる……これは有能で片付けて良いのだろうか?


「「連れて来ました」」

 二人は消えてすぐにまた現れた。

 その手には細い銀の鎖があり、鎖の先にはぐるぐる巻きにされた竃の三人が居た。連れてこられたと言うよりも連れ去られて来た三人は、現状が理解出来ずに放心状態だ。

 やはりサカキとナギの所業を魔法の言葉、有能の一言で片付けてはいけない。


「…ありがとう。そこの三人は色々とごめんね

 僕は一応竃の三人を連れてきたサカキとナギに感謝の言葉を伝えると、連れてこられた三人に謝った。

「いえ、とんでも御座いません! まだよく現状を理解出来ていませんが、主様が謝ることなどありません!」

「……気にしないでください。それよりも竃を造ってくれませんか?」

 コアさんが三人の忠誠心に少し遠い目をしながらも、用件を伝えてくれた。


「「「はい! 直ちに!」」」

 三人はさっそく竃を造っていく。二人の男の人が何処からか出した石材を組立て、女の人はそこに魔法陣等を刻んむ。

 このような作業を繰返し、十秒で一つの速さで次々と竃が完成していく。竃造りに目を奪われている間に、とっくに必要数の四つを過ぎていた。

 いくつまで造るつもりだろうか? 僕達が止めるまでじゃないよね……早く止めよう。


「もうこれだけあれば大丈夫だよ。ありがとうね」

「当然のことをしたまでです。最後の仕上げに主様の木を薪として使用してもよろしいでしょうか?」

「勿論いいよ。食べ物なら兎も角、木材は使ってこそ価値があるからね」

「ありがとうございます。さっそく仕上げ作業に移らせて頂きます」

 そう言って三人は永久の灯火を竈に焚べていく。

 食べ物はすぐに消費出来るが、木材はあまり使わないからあまり気味だ。存分に有効活用してもらおう。


「あ、これからは僕の許可が無くても、木材なら使って良いからね」

 これからもいちいち木材を使っても良いかと聞かれるのは、面倒なので伝えておく。言わなければ絶対に毎回聞いてきそうだ。

「全眷属に通達いたしますか?」

 サカキが提案してくる。こういうところは文句のつけようもなく有能だ。是非お願いしよう。

「遠慮せずに使ってと伝えといて。僕の植物は絶対に尽きることは無いからね」

「「御意」」

 二人は短く返事をすると消えて言った。



 竈では既に料理眷属が調理を始めて居た。

 調理器具は僕が出そうと思っていたが、彼等は僕が出さなくても持っていた。見ると使い終わった器具が消えているので、彼等の魔術か何にかで作り出した物なのだろう。

 料理の一部に器具を消す動作が混じっていて、なかなかに美しい調理風景だ。


 僕の作物等の収穫は、料理をしている眷属とは別の眷属が担当しており、収穫したものをさらに料理をしている眷属に渡す眷属もいる。

 休憩していても良いのに、僕達の朝食に付き合ってくれているようだ。本当はしっかり休んで欲しいが休憩しろと言うのも悪いので、ここはありがたく好意を受け取ろう。


 結構な大人数で調理に協力していたがその作業自体は非常にスムーズで、その流れはこれだけでお金を取れる程素晴らしい芸術作品と化していた。サーカスでも通用しそうだ。

 早くて無駄がないだけでなく見ていて美しい。これで味が良ければ最高だ。まあ僕の作物が不味い訳はないんだけどね。


「それにしても竃がかなりの数余っちゃったね」

 案の定竃は余ってしまった。眷属達の調理効率は非常に高く一人で幾つもの火を使っているが、竃の質がよく一つの竃で済んでしまっているのだ。

「新しい料理眷属でも出しますか?」

「そうだね。ついでに実験もしよう。魔術によってどんな眷属が出てくるのか」


「了解です。では調理をする系統の魔術は既に使用したので、まずは料理の質を変える魔術を使ってみましょう」

「面白そうだね。人の姿になるとこの魔術も料理人みたいな姿になるのかな?」

「スキルに変換して考えると〈料理〉に入ると思うので、恐らくそうなると思います。少なくとも料理は出来るでしょう。

 ではいきますね。“保温”、“鮮度維持”、“色彩強化”、“消化補助”、“栄養強化”」


 コアさんが魔術を発動させると眷属はすぐに現れた。

 その姿は僕達の予想通り料理人に近いものだ。しかし完全なそれではない。

 例えるとお母さんらしい主婦、漁港の市場にいそうなおじさん、着物を着た料理の先生等、料理人ではないが局所的に料理の上手そうな人のような姿をしていた。

 あくまでそれらしい格好であって現実的には居ないような姿だ。実用性の無い象徴的な姿で神官のようにも見える。


「大体予想が当たったね。これまでのことも考えると眷属はその魔術を擬人化させたような姿か、魔術で起きる現象に携わる人の姿になるってことかな?」

「恐らくそれで合っていると思います。ですがユジーラの件を考えると、他に姿を持つ可能性もあります。そちらにも法則はあるのか調べてみましょう」

「そうだね。あと一応見かけ通りのことが出来るのかも聞いてみようか。料理を頼んで出来ないじゃ困るからね」


「ではまず初めに質問です。貴方達に他の姿はありますか?」

 コアさんはさっそく現れた新たな眷属達に質問をした。

「「「「「はい、御座います」」」」」

「え、全員あるんだ。今すぐに変われるのなら見せて?」

「「「「「御意」」」」」


 すると彼等は一瞬輝くと姿が変えた。

 全員服装や髪型等は変わっていない。しかしその顔つきや身体つきが、皆元の姿を若返らせたものになっていた。それも全員二十は越えていない程度に。

 ユジーラと同じパターンだ。どういう理屈なのだろうか?


「どちらが本来の姿なのですか?」

「こちらの若い姿が本来の姿になります。初めの姿は仕事用の姿になります」

 これもユジーラと同じように若い姿の方が本来の姿のようだ。よく見れば服装も若い姿の時の方が似合っている。多分この姿に合わせた服装なのだろう。


「格好で何か変わることはあるの?」

「はい、気分が変わります。年を取った姿だとコセルシア様の発動なせれた魔術、我々の核となる力が出しやすくなる気がするのです」

「「…………」」

 僕達は絶句する。


 一体何処に気分の為だけに年齢を変える存在が居るというのだ。いくら簡単に出来たとしてもそんな理由で変化しないで欲しい。

 英雄譚ライトサーガによると自分の年齢を変えられない人も居るそうだ。その中には自分の持つもの全てを使って若さを手に入れようとする人が居て、それで大きな騒乱が起きることもよくあるという。

 そういう人の為にも気を使って欲しいものだ。


「……気分しか変わらないのなら、本来の姿のままで良いじゃない?」

 僕は柔らかく考え直すように言う。

「「「「「いえ、そういう訳にはいきません! 主様の為、出来る限り最上の御仕えをする為に! 気分だけでも変えられるならば変えさせて頂きます!」」」」」

 物凄い迫力だ。熱意に当てられて焼け焦げそうなくらい伝わってくる。


「「……そう(ですか)」」

 僕達にはこれしか言えなかった。



 そうこうしている間に朝食が出来てきたようなので早速頂く。


「モシャモシャ……ゴックン、なかなか美味しいね。僕の作物のことが良く解っている」

 調味料で味を変えようとせずに素材の味を引き出されていた。

 僕の作物で調理をする時僕の香辛料ならば兎も角、品質の良くない塩や水の分量が多いと料理に泥が入っているような状態になってしまうのだ。おかげで塩を生み出せるマジックアイテムを使った時は酷い目にあった事がある。

 この料理はそんな事がなく美味しい。僕達の眷属だから僕の作物のことを解っているのだろうか?


「本当に美味しいですね。流石はマスターの作物です。初めは朝食にこんな一般家庭五年分程の品数と量があるのを食べれるかと思っていましたが、この美味しさだといくらでも食べれそうですよ」

「ありがとう、そう言って貰えると嬉しいよ。でも僕が品種改良した作物は使われて無いから、これは普通の作物で作られた料理だよ」

 お世辞でも嬉しかったのでそう答えた。しかし修正も忘れずにしておく。普通の作物が僕の本気だと思われたら悔しいからね。


「え……これ、普通の作物なのですか? 本当に? こんなに美味しいのに? しかも力が湧いてくるのですが?」

 コアさんが驚きのあまり困惑したような様子で聞いてくる。

 想像していた反応と違う。へーそうなんですかで済まされるような内容を伝えただけなのに。

「うん、普通の品種だよ。何故か普通のしか調理されてこないんだよね。何でだろう?」

 どう反応していいか判らなかったので答えをそのまま伝える。


 コアさんの様子から美味しいということは確かなようなので、別にそこまで気にしなくてもいいだろう。

「……そういえばアムブロシアはこの料理と比較にならない程美味しいものでしたね」

 コアさんも納得したようだし。


「ねえ眷属の皆、何で普通の品種しか調理していないの?」

 ついでに気になったので聞いてみた。

「申し訳御座いません。力及ばず我々の調理技術では扱いきれませんでした」

「包丁を通すことすら出来ない有り様です」

「長時間触れていることも出来ませんでした」

 返ってきたのは予想外の答えだ。最初のはまだ解るが後の二つは良く解らない。生で食べれるものも沢山あるのに……。


「植物としての格が主様の作物は圧倒的に高く、植物としての格がそんなに高くない我々では主様の作物に力が及ばないのです」

 僕が困惑しているのに気が付いた料理眷属は、詳しく説明してくれた。

 因にコアさんは何故か困惑も何もしていない。


「例えるならば猫が獅子に挑むようなものです」

 まだ僕が納得していないことに気が付いた眷属は例え話で説明してくれた。

「解りやすいけど、そんなに違いがあるの?」

「いえ、実際にはさらに違いがあります」

「…………そうなんだ。料理、美味しいね……」

 食べ物に負ける眷属ってどうなのだろうか? もう食べることに集中しよう。



 食事を進めていると次第に調理のスピードが追い付かなくなってきた。

 コアさんが新しく出した眷属も見かけ通りのことが出来るらしく、調理に参加したのだが全然間に合っていない。


「モゴモゴ、ムシャムシャ……ゴックン。コアさん、料理が間に合わないみたいだから新しい眷属を出してよ」

「……もう一般家庭十年分の品数と量を食べていると思うのですが?」

 コアさんが僕に半眼を向けながらながら言う。

「でもまだそんなに時間が経っていないから、もっとゆっくり食事をしよう」

 僕も大食いだと言う自覚があるので、コアさんの言いたいことは解ったが、食事の時間にしては短か過ぎたので笑顔でスルーした。

 朝の食事はしっかりと朝食にしたい。


「……時間の問題なのですか。はぁ、最後までお付き合いしますよ。また直接料理を作る魔術ではないものを使って、どこら辺まで料理が出来る眷属になるか試してみます?」

 コアさんは溜息を吐きながらも僕に協力してくれるようだ。

「ありがとう。試してみよう。今のうちにある程度解っていた方が良いからね」

 そんなコアさんにまずお礼を言ってから答えた。


「では“味覚強化”、“嗅覚強化”、“消化強化”」

 コアさんが魔術を発動する。どれも料理をどうこうする魔術ではなく、食事をする人を強化する魔術だ。

 確かに料理関係の魔術と言えばそうだが、早くも料理の出来ない眷属のような気がする。見た目も料理人という姿でも、それに関わるような人の姿でもない。

 魔術が魔術なだけに完全にこれのようだと言う姿はないが、薬に関わる人に見える。


「料理をして欲しいんだけど出来る?」

 出来なさそうだが一応聞いてみる。

「「「はい、やってみます」」」

 やはり料理をやるような存在では無いのだろう。出来る出来ないではなく、判らないと言う答えだ。


 三人は空いている一つの竈に行き料理を始めた。協力して調理するようだ。一人で料理をする自信が無いのだろう。

 実際、包丁捌きは危なっかしく、手順もごたついてとても上手いとは言えない。

 しかし時間と共に調理技術が飛躍的に上がっていった。五分もしない内に料理人の弟子くらいの腕前だ。


「うーん、これは料理が出来ると判断して良いのかな?」

「微妙なところですね。料理と全く違う眷属を出して比較してみます?」

「そうだね。じゃあ調理器具がそんなに無いから物を作る系の魔術を使ってよ」

「了解です。“変形”、“鋳造”、“鍛造”、後は“付与”このぐらいで十分ですかね」


 コアさんが魔法陣を展開すると魔術になること無く、直接眷属の形で現れた。魔術のときとこの場合とがあるが、何か法則でもあるのだろうか?

 最終的に眷属になるのは絶対のようだが……。


 現れた眷属は前半三つが職人のような姿で、付与は魔術師の姿をしている。

「では新たな眷属の皆さん、料理を作って下さい」

 コアさんが早速命令をする。

 この眷属達は元の魔術からしても、姿からしても料理と無縁であるから、良い比較対象になる。

「「「「……了解」」」」

 返事も気が進まないと言う感じだ。料理と無縁であることは間違いがないようである。


 眷属達は竃へ向かう。

 そして調理器具作りから始めた。これは気の乗らない返事に対して、見ているだけでやる気がうかがえる。

 道具が出来ると調理を開始した。やはりもたつきながらの調理だ。完全に素人のそれだ。

 しかし時間と共に上達していく。さっきの三人とほぼ同じペースの上達具合だ。


「…………これはもしかして、あまり姿は関係無い?」

「……そうかもしれません。そう言えば最初の料理眷属の方々以外、そこまで調理技術が変わらないので、二番目の方々も同じように元々料理は専門外なのでは?」

「……料理が出来ていたのは単に眷属の覚えが良いからってことかな」

 見かけ倒しだったようだ。



「…………料理が冷めない内に食べよう」

 食事に意識を変えよう。世の中には知らなくても良いこともある。

「僭越ながら私の保温の力で全ての料理は冷めないようにしております。ごゆっくりと御召し上がり下さいませ」

 保温の人が言う。

「……ありがとう」





 《簡易用語解説》

 ・料理

 料理を作る魔術。

 正確には調理器具や食材を魔術で動かす魔術。

 主婦向け。



 ・調理

 料理を作る魔術。

 正確には調理器具を使わずに料理を作れる魔術。

 ハイスペックな主婦向け。



 ・炊事

 料理を作る魔術。

 正確には慣れている料理ならば自働で調理することが出来る魔術。

 大勢の子供の世話や炊き出しをする人向け。



 ・クッキング

 料理を作る魔術。

 正確には料理人を強化して手際よく調理をする魔術。

 料理人向け。



 ・保温

 温度を保つ魔術。

 食べ物以外にも使える。



 ・鮮度維持

 鮮度を保つ魔術。

 生きていなければ大抵の有機物にも使える。



 ・色彩強化

 色をはっきりさせる魔術。



 ・消化補助

 食べ物の消化を良くする魔術。

 食べ物自体にかける魔術である。



 ・栄養強化

 食べ物の栄養を増やす魔術。

 一応治療系統の魔術である。



 ・味覚強化

 味覚を強化させる魔術。



 ・嗅覚強化

 嗅覚を強化させる魔術。



 ・消化強化

 消化能力を強化させる魔術。

 食事を行うものの消化能力を強化させる。



 ・変形

 物質の形を変化させる魔術。

 形を変えるだけで性質等は変わらない。



 ・鋳造

 一度使用者が作ったことのある物、もしくは身近にある物の形に金属を変形させる魔術。

 元となった物に性質を近づけることが可能。



 ・鍛造

 道具を使わずに鍛造することが出来る魔術。



 ・付与

 何かしらの特性を付け加えることが出来る魔術。

 付け加える特性は別に用意しておく必要がある。



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