第十二話 用語解説
《用語解説》
・神輿術
神輿の扱いに関する技能が、補助・強化されるスキル。若干だが神輿造りでも効果を発揮する。
アーク曰く、スキル所持者の担ぐ神輿の乗り心地は最高であり、都会に乗り物として神輿が無い筈がなく、スキル所持者が居ない筈が無いそうだが、実際は全く無いし居ない。
まず第一に神輿は乗り物ではない。
歴史上でこのスキルを持った者は【何処までも行って問う】と言う英雄譚に出てくる、宮大工にして数多の神殿を巡り、そこで数多の祭を制覇したと言う【伝説の男 センタス】ただ一人である。
センタスは祭で担ぐ神輿でスキルを獲得し、当然乗り物として担いだりした訳ではないので、スキル所持者の担ぐ神輿の乗り心地が良いことはアークとコセルシアが史上初めて確認した。
センタスの伝説によると文技・武技共に“わっしょい”と唱えて発動するらしい。
・風の到着天
コセルシア所蔵のスキル大百科事典。
本体は巨体な輪のような空中神殿の形をしている。
大賢者の遺したとされる一品で、この点だけでも歴史的価値で価値がつけられない。
大賢者の使用後は他の誰にも存在を知られることなく、ダンジョン《最果て》に墜落し宝物となった。
・入浴
入浴時にスキル所持者の力が増幅するスキル。
ユジーラの誕生以前にも幾人か所持者がおり、史上数人しか所持者が居ないようなスキルではない。しかし十分に超稀少スキルと言える。
別に歴代の所持者が全員、全裸でいる変態だったという訳ではなく、スキルに所持者が全裸になりやすいといった効果はない。あれはユジーラが特殊なだけだ。
入浴時の強化条件も個人差があり、決まってはいない。
・全裸強化
全裸時に所持者が強化されるスキル。
当然超稀少スキルだが、残念なことに入浴スキルよりは所持者が多い。具体的には国に、規模によっては都市に一人はいる。
このスキルも所持しているからといって露出狂になる訳ではない。
しかし何故だか能力の強化度合が強く、武器を捨て鎧を脱いでも収支がプラスになり切り札として使える為、自分の意志と反して所持している者は涙を飲んで全裸になったと言う記録も多々ある。
その時に歴史的大事件等を解決し、その全裸姿が彫刻から絵画、絵本の挿し絵にまでなたショックでどういう訳か露出狂になってしまった聖者が主人公の、【露出卿】と言う話しが有名である。
尚、この聖者は〈全裸強化〉の存在を公表しなかった為、スキルの存在はあまり知られていない。またこのせいで聖者は何故か歴史に残る場面で全裸になった変な人扱いである。
・服飾
服生産魔術。
スキルでは一応〈生活魔法〉等に入る。しかし〈裁縫〉スキルがなければ効果は薄く、服の小さな傷や解れを治す程度のことしか出来ない。
難易度は高くないが消費魔力が多く、急ぎの用でもなければ使わない魔術である。
しかし裁縫のあまり得意ではない魔術学校の学生には人気で、この魔術を使える者は多い。
・服植
植物由来の服を生産できるアークの技。
本質的には植物繊維を操る技である。
・脱衣
自分の服が簡単に脱げる魔術。
難易度は低く、使用出来る者は多い。
スキルで言うと〈生活魔法〉があれば発動出来るが、他のスキルでも使用でき、その場合は効果が若干変わる。
〈宮廷魔法〉ではこの魔術を複雑な礼服等に対して使用することが前提のため、普通の服に使うと下着まで脱げる程に威力が上がり、騎士は鎧を脱ぐのによく使用する。
〈変態魔法〉では理由は解説したくないが、さらに威力が上がり他人の服でも脱がせることが可能になる。
〈分解魔法〉では衣服のみを分解する謎魔術と化す。
このように発動時に使用するスキルで効果が大きく変わる為、普段着の時に仕事等の癖でこの魔術を使用し失敗する者は多い。と言うよりも複数のスキルで発動出来る者は、誰もが一度は失敗している。
この魔術はなるべく自分の部屋の中で使いましょう。
・完全武装
一瞬で完全武装する魔術。
難易度は高いがかなり多くのスキルで発動可能で、スキルによって効果が変わる。
例えば〈土属性魔術〉では土の鎧や武器を身に纏う魔術になり、〈氷属性魔術〉ではそれが氷になる。また〈召喚魔法〉や〈宮廷魔法〉ではあらかじめ用意していた武装を召喚し身に纏う魔術となる。
〈火属性魔術〉や〈雷属性魔術〉としても使えるが、耐性でもなければ怪我をするので注意が必要だ。
その有用性から魔法陣の書かれたスクロールが高級品として販売されており、この魔術の知名度は高い。
・裸一貫
超軽装時強化魔術。
褌、もしくはそれよりも軽装の者を強化することができる魔術。
何故か強化度合がかなり強い。成人男性に使えばどんなにひ弱でも、四階建ての宿屋を持ち上げて千メートル級の山を一時間で制覇できる程度の力は付く。
スキルでは〈裸魔法〉や〈変態魔法〉、〈気合魔法〉等で発動可能。当然超の付く稀少魔術で、超の付く難易度を誇る。
尚、【露出卿】の主人公、通称【露出卿】は当たり前のように発動でき、日頃の憂さ晴らしに全裸でないと魔術が使えないと若干の嘘をつき、周囲を全裸にして巻き込んでいたそうだ。
・ライトニング
雷属性の攻撃魔術。
難易度は高いが、これはそもそも雷属性魔術自体の難易度が高い為である。雷属性魔術を発動出来る力があれば、そこまで難易度の高い魔術ではない。
その威力は高く、十メートル程の木ならば一発で黒焦げに出来る。
この魔術を使う魔術士はそこそこ多く、一般的に広く知られた魔術である。
・変態更正
変態を更正することができる素敵魔術。
スキルでは〈聖魔法〉や〈浄化魔法〉等に入る。
難易度はかなり高く、発動出来る者はほぼ居ない。
効果はどんな変態でも更正できると言うものだが、実は成功例はほぼ無い。これは魔術が効かないのではなく、この魔術を発動出来る程の存在、それを悩ませるとんでもない変態にしか使用例が無い為である。
長くても三十分しか持たなかったと言う。
・変態堕降
ユジーラが“変態更正”を反転させたことで史上初めて使われた魔術。
詳細はまだ不明。
・隠せ
モザイクを付ける謎魔術。
・見せるな
不自然な光りを付ける謎魔術。




