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影斗編
気がつくと、目の前に自分の両親が血みどろになって倒れていた。
ーー何が起きた?
同じく血に塗れた自分の手を見つめる。
ーー俺がやったのか?
頭が麻痺したかのように何も感じない。
俺は、何をーー
ガタッ
何かが倒れる音がした。
『お、にい……さま…?』
顔面蒼白のりゅながそこにいた。
「……見るな…」
本能的にそう言った。
でももう遅かった。
『ひっ………』
りゅなの顔が恐怖に引き攣り、そのまま魂が抜けたように崩れ落ちた。
そこから後ははっきりと覚えていない。
ただ、いつ来たのか泣き叫ぶみゅあと、死人のように倒れているりゅな、何も知らない様子ですやすやと寝ている赤児のじゅりの顔はぼんやりと覚えている。
その後りゅなはショックで失明し、また、その時の記憶も失った。
みゅあはしばらく何も食べられない日々が続いた。
じゅりは…何も知らないまま、急にいなくなった親を探すようによく泣いていた。
全ては俺のせいだ。
俺が、家族の全てを壊した。
あの時から、俺は人と深く関わるのをやめた。