後悔のない、私の人生
新たな職場はちょうどオープン前で、皆ゼロからのスタートで私にとって好都合だった。レジの機械をあてにして、どうにかなると甘い考えでいたが、実際にやってみると覚える事が多く、私には難しかった。たった3日の研修でオープンを迎え、最初は訳がわからずミスの連続だった。
レジの仕事は、お金とお客の物を取り扱うので
神経を使い、想像以上に大変だった。だが、人と関わる仕事が好きな私にとって、やりがいは十分にあった。とにかく、笑顔で接するよう心掛け、
必死で仕事に励んだ。
二ヶ月程経つと、少し心にゆとりが出てきた。
以前新聞配達をしていたこともあり、また夜中のアルバイトで少しでも稼ぐ決心をした。某レジャー施設の掃除の仕事が見つかり、週4日三時間働き始めた。バイトの日は睡眠は4時間になったが、それほど苦ではなかった。子供たちの顔を見ているだけで、元気になれてまた朝を迎える。
その繰り返しだけで、幸せを感じていた。
すると、人間不思議なもので、段々と自分の中で違う欲が沸き上がってきた。これまで、諦めかけていた女の幸せを手に入れたくなってきたのだ。
子供がいるからもう無理だろうと蓋をしていたのに…。私にも、第二の人生があるのかも知れない。そんな淡い希望を抱き、私は新たな苦難への扉を開けてしまったのである。