後悔のない、私の人生
姉の尽力により、ようやく事態は治まりつつあった。今まで幼稚園に通っていた娘は保育園に入園し、息子は小学校に入学した。入学式には夫も出席して、最後の親子の対面となった。慣れないスーツを着て、足を運んでくれた夫に少しだけ感謝した。その後、区役所で離婚の手続きをして、晴れて独身の名字となり、清々しさを感じた。これで、正式にもう夫婦ではなくなる。あの人とやっと縁が切れる。子供たちから父親を奪う事になってしまった罪悪感はあったが、私がこの子たちを幸せにしてあげれば、後に理解してくれる。そう信じるより他なかった。娘はまだ二歳で、元夫の顔以外ほとんど記憶に残っていないが、息子は五歳で覚えている事も多い分、きっと辛かったに違いない。息子は、最初はいずれ元の家に帰れると思っていたようで、言葉の端々に帰りたい気持ちを表していたが、私が実家から出る様子がない事に気が付き、諦めたように口にしなくなった。
申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、仕方がないと自分に言い聞かせ新たな仕事を探した。幸い、保育士資格を持っていたので、職場はすぐにみつかった。生活の基盤が出来ると、不安が希望に変わり、前向きな気持ちになった。仕事は、結婚前の職場と違い、居心地が良く充実していた。
三か月程経った頃、契約の不一致から退職したが、今でもその職場には感謝している。その後、某保育施設に再就職し、そこでも職場に恵まれ、毎日楽しく仕事していた。だが、そんな職場も経営不振に陥り、とうとう職場自体が無くなってしまった。困り果てた私は、畑違いのレジうちのパートに職を変え、再スタートした。娘が小学生になり、息子が三年生となっていた。