後悔のない、私の人生
夫は借金があまりにも多額で、弁護士から自己破産を勧められた。いったい、夫はどうしたかったのであろう。マンションは砂の城と化して売却、
離婚して子供は私が二人とも引き取り、仕事もなくなり、何もかも失ったのだ。私が夫と初めて知り合ったのは23歳、夫は34歳。学年で数えると10歳年上だった。その頃の私はまだまだ考えが幼稚で、世間知らずなうえ、騙されやすい性格。私は夫の嘘を全て真に受けてしまった。マンションを購入したいが為に夫は私に近づいただけだったのに…。愛してるという夫の言葉を疑いもしなかった。夫はマンションを買う資金を調達したくて、
婚約者として私に書類の印鑑を押させた。当時の私は利用されているなどと全く気付かなかったが、ひとつだけ納得出来ない事があった。その
手続きの日は、思いがけなく妊娠してしまった私の中絶手術の日でもあった。まだ結婚前だった私達は中絶の道を選んだ。反対されるのを避ける為だけに、お腹の赤ちゃんを犠牲にしたのだ。赤ちゃんに心の中で何度も謝罪した。手術を終えたばかりの私を夫は平然と銀行やマンション会社などあらゆる所の手続きに引っ張りまわした。さすがの私もこの時ばかりは結婚に不安になった。だが、私のあまのじゃくな性格はもう後ろは振り返らなかった。先の事など適当にしか考えず、自分の城が欲しい為だけに、私と結婚したのだ。私も愚かだった。結婚という憧れを手にしたくて嫌な部分は蓋をしてしまった。お互い、自業自得の結末だった。離婚するには、夫だけでなく私も荷物の整理があり、しばらくマンションに住み続けた。ところが、突然夫の姉がしゃしゃり出てきた。離婚が決まってるのに、何故未だにマンションに居るのかと。私は、荷物の整理など色々あるからと釈明したが、おかしいの一点張りだった。正直、そこは私と夫の間で納得しているのにどうして立ち入ってくるのか腹立たしかった。私への怒りがそうさせているのだろう。聞き流すしかなかった。かわいい弟が不憫だと思うのはわかるが、私と子供たちがどれだけ辛い思いをしてきたか…。
夫の姉は離婚に対しても私が悪いとさえ言いはなった。確かに私にも非はあるが、そもそもの非は夫なのだ。実家に帰っていた私が電話で話していると、私の姉が向こうの姉と電話越しに喧嘩になってしまった。お互い、きつい口調で言いたい事をぶちまけ、これまでで最もドロドロした状況だった。
姉が頑張って言い返してくれたおかげで、それ以来、夫の姉からの電話は無くなった。私は姉の頼もしさを改めて感じ、自分の味方をしてくれた事に心から感謝した。