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後悔のない、私の人生

新聞配達にも慣れてきて、お金にわずかながら余裕が出てきた。毎日がその日暮らしで、貯金など

到底出来ない事に変わりなかったが、そんな中でも子供にやっと新しい服を自分で買うことが出来た。今まで、お互いの母親が買ってくれていたので、私が着せたい服を子供が着た時は本当に嬉しかった。貧乏ながらも、ささやかな幸せを感じられた。こうして、いい事があると、いつものごとく悪い波はまた襲ってきた。夫が、仕事を辞めて新たな職を探したいと言い出したのだ。もう夫も40歳を過ぎているというのに、雇ってくれる所なんてないかもしれない。私は、反対した。どうにか説得したかったが、頑固な夫は全く耳を貸さず退職してしまった。こうして、給料は途絶え、今までで一番最悪な地獄に落ちていったのである。

支払いが出来なくなると、消費者金融はすぐさま

電報を送ってきた。しかも、毎日同じ内容の電報だった。払いたくても、払えないのでどうすることも出来なかった。すると今度は、催促しに家にまで来た。たまたま、外出していて会わなかったが、とうとう最後の切り札を使われた。消費者金融は夫の両親の家に電話をしたのだ。こうして、長い間隠し続けた借金は夫の両親にばれてしまい、私達夫婦の終わりへのカウントダウンが始まったのである。

結婚前から夫が消費者金融に借金をしていたこと、これまで隠し続けていたことを詫びるしかなかった。夫の両親は優しかったので、怒ることなく、辛かっただろうと同情してくれた。私の方の両親にもこれまでの経緯を話した。全然知らなかったと、私の母親は号泣した。父親は、夫に私が実家に帰ってきてもいいかと半強制的に話した。

その後、私は夫の両親から呼び出された。夫の父親は意外な提案を持ち掛けてきた。これまでの事を許して、もう一度夫とやり直してほしいと言い出した。私は、驚いた。夫の両親の思いもわからないではない。私は、少し迷ったがこう答えた。もう、夫とやり直すつもりはないと…。

夫の両親も、確かめたかったのだろう。すぐに納得して、知り合いの弁護士に今後の手続きを頼んであげるという事で決着したかのように思われた。だが、離婚というものはそんなに甘いものではなかったのである。


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