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作者の末期的妄想シリーズ

椅子取りゲーム

作者: 雷光

作者が変なテンションで書いた短編です。

深く見ずに、軽い気持ちで見てくれるといいと思います。

――ねぇ、遊ぼ。



そんな声がした。

ルールは簡単だった。椅子に座るだけ。椅子取りゲームをさらに簡単にした椅子取りゲームだった。



私はとりあえず座った。目の前に無数にある座席の内、一つを。ネームプレートには私の名前。

他のみんなも座った。そしてゲームは終わった。もう一度。何が楽しいのだろうか。




――ねぇ、遊ぼ。



仕方がないのでもう一回。今度は別の席に座った。ネームプレートは違う名前。当たり前だ。

そしてみんな席についた。ゲーム終了。何が面白いだか。




――ねぇ、遊ぼ。



特にすることもなかったし、座った。それを何度も繰り返した。不思議と飽きなかった。本当に不思議だ。


いつのまにか手には本が握られていた。いったい誰の本だろう。とりあえず読んだ。

どうやら物事の知りかたらしい。本曰く、他人の話を聞いて参考にするのがいいらしい。それは確かに名案だ。じゃあ、それを試しにしてみよう。

私がしている、このゲームの物事がわかるかも知れない。




――――――ネェ



いつの日からだろう。もう声は聞こえなくなった。

それはゲームに飽きたのだからだろう。よく続けたものだと私は思う。私はとっくにリタイアしたが。


私は席に座った。ネームプレートは私の名前。今回の授業は日に当たりやすい。

次の日。再び席に座った。ネームプレートは私の名前。そういえば今回は日が当たらない。

次の日。また席に座る。言わずとも、私の席。だけど今回は頭が多い。いつ席替えをしたっけ?


次の日。私の席に座った。今回は人の頭が少ない。そのせいか教室も狭く感じる。

次の日。座った。人の頭がない。黒板近い。席替えをしすぎだ。

次の日。座る。ここが私の席。今度は人の頭が見える。黒板は見えないけど。なんでだろう。


翌日。席は一つになっていた。それのネームプレートは私の名前。

座った。一つでも。次の日も。次の日も。次の日も。場所は違ったけど席は一つだけ。だったらここが私の席。私のいる場所。


いつからだっけ。席が一つになったのは。もう忘れてしまった。何年間?何十年?それとも何百年?


私はずっと生きてきた。どれぐらい生きたんだろう。こんなハリボテの教室の中で。

それだったら外に出よう。戸に手を掛けた。開かない。何度引いても。何度押しても。何度横に動かそうにも。開かなかった。


――そういうことか。もう私にはわかってしまった。

この世界の正体が。まだ私はゲームをしていたんだ。ずっとずっと。それがこのゲーム。

そして私はいつのまにか勝者になっていたんだ。他人の席を喰らい、私の物してきた。自分一人になってからもずっと。


わかりきっていたことだ。黒板が見えなかった理由も。席が人の頭が見えなかったのも。


もう私はこのゲームを抜け出せない。

誰かが私の席を取らない限り、永遠に。




私は今、椅子取りゲームの真の恐怖を身に染みた。

誰か、助けて。誰か、見つけて。誰か、探して。


この教室という、小さな世界に閉じ込められた本当の私を。



また暇があれば短編を投稿したいと思います。

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