第七章【雪禍の渦⦅せっかのうず⦆】
こんにちは!波佐谷のファンです。
古本の記録と現実が交錯する第七章。雪禍岳の怪異の全貌が少しずつ見え始めてゆく。
緊迫した状況が貴方を引きずり込み、物語の高潮への伏線が張られる事となるでしょう。
ではどうぞ!
「雪禍岳に行く前に本見てみるか」本を棚の奥から取り出す。ホコリが沢山付いていた。ホコリを振り払い、読み始めた。
◯月◯日今日は、雪禍岳を登った。麓の方の木々の隙間に何かがいたように見えたが、雪那と鷹也に「そんなのいるわけないじゃん」と言われた。だけど絶対に何かいた。それだけはわかる。少しあの山が怖くなった。今日は、この雪禍岳の頂上でテントを敷いて寝る。何かが起こる気がするから、雪那と鷹也に注意しておこう。
◯月◯日今日は、書く時間が少なそうなので休憩中に書くことにする。昨日も言った通り忠告はしたが、どうでもいいといった感じだった。まぁ言わないよりかはいいだろう。順調に山を下れている。かなりいいペースだ。だが鷹也が何か変な事を言うようになった。同じ風景が続いているせいでおかしくなったのだろう。登山者ではよくある事だ。そのため雪那は聞く耳も持っていないようだ。
◯月◯日鷹也が崖から落ちた。骨が折れているようだ。一旦テントを敷いて休憩しようと思う。鷹也もだんだん痛みが落ち着いてきているようだ。折れた方の足に木の棒をつけてみたら、少しは歩けるようになった。このまま行けるところまで行くと言う話になった。鷹也には申し訳ないが。鷹也がいなくなった、突然の出来事だった。目を離したらいなかった。雪那もいなくなった所を見ていないと言っている。辺りを見回していると、赤くなっている雪が森の奥へと続いていた。行ってみる事にした。何かが起こる気がする。なので続きは、生きて帰って来れたら書く事にする。
「なんだこの本。まず本当に本なのか?まるで日記だ」何でこんな本が古本屋に置いてあるんだ?と疑問に思っていた。更にページをめくると続きが書いてあった。
◯月◯日生きて家に帰れた。俺は必死に逃げた。そして逃げ切った。だが雪那と鷹也は、どうなったかわからない。もしかしたら死んでいるかもしれない。あの怪物を「雪を喰らうもの」と名づける事にする。鷹也が言っていた事をちゃんと聞くんだった。後悔している。鷹也が放った言葉だけが頭に残っている。もしあの雪禍岳を登る人がいるかもしれない。だからこれを残す。これから書く事をちゃんと見るんだ。
一つ。赤い雪を見たら死ぬ。死ぬというのは殺されるという事だ。あれに。
二つ。友から目を離すな。目を離したら突然連れていかれる。鷹也のようにな……。
それは罠だから気をつけろ。
三つ。あれが近くにいる時は、全ての音がこの世から消えたように、無くなる。これはかなり重要だ。覚えておくといい。
四つ。赤い雪の跡を追うな。それは友の肉片と血液が混じって液体となったものだ。
五つ。地面が抉れている場所は危険だ。そこの近くにいると目をつけられるぞ。
六つ。この本を江頭という本屋の主人に渡してくれ。あいつは変な奴だが悪い奴ではない。だからお願いだ。
そして俺は、あれのことを研究する事にした。それと会って話を聞きたいなら、長野の王滝村に来い。もっと詳しい話をしてやる。
著書 波佐谷 薫
「長野は遠いから無理だな。しかも波佐谷薫が生きているかもわからないしな」少し行ってみたくはなったが、東京から長野は少し遠かった。「この本の事覚えておくかー」「まぁこんな事起きる訳ないけど」そう軽く思ってこの本をバンッという音と同時に閉じた。この時は、あんなことが起こるなんて思いもしていなかった。
まず雪禍の渦を読んで頂きありがとうございます。
雪禍岳の恐怖と“雪を喰らうもの”の存在が明確化し、ここでの展開が、最終章に向けての緊張感を最高潮にします。
高瀬と成瀬は、どうなってしまったのか!




