第二章【光に潜む闇】
こんにちは!波佐谷のファンです。
日常に戻った主人公。しかし、夢で見た不吉な光景が心に影を落とします。
登山仲間・拓海との関係も描かれ、これからの試練の土台が整う章です。
ではどうぞ!
「やっべ早くしないと遅刻する!」そんな声がアパート中に響く。社会人3年目の高瀬陸には、致命的な事だった。会社に着くのは、歩いて30分だが今は8時42分。会社には9時に着かなければいけない。散らかった登山道具を足でどかし、支度を3分で終わらせ、朝食を抜いて会社へ向かった。服が濡れるほど急いで、無事1分前に会社に着けた。同僚は全員、もう仕事をこなしている。背後から声をかけられた。「高瀬さん……遅刻しそうでしたね。」後輩の拓海だった。拓海とは最初の頃席が隣なだけで仕事の話しかしなかった。だけど会社の飲み会の時に俺は「俺の趣味は、登山なんです。」と言った。翌日拓海は、「僕も山登り好きなんですよ」と言ってきた。趣味が同じだったので、すぐに仲良くなれた。時々一緒に登りに行ったりしている。「そんな事より早く仕事しないと残業になりますよ。」と急かす様に拓海が言った。「残業は今日したくないな。」登山をしにいくのに道具の手入れの時間の確保が出来ないからだ。仕事をしながら拓海と登山の話などをしていると、ふと今日みた夢の事を思い出した。「そういえば……今朝変な夢を見たんだ。」「どんな夢を見たんですか?」興味があるみたいだったので具体的にその夢の事を話した。「雪山を歩いていると別の場所から歩く音が聞こえてきて、近寄ってみたら音が急に止まったんだ。ずるり……ぬちゃ……とか、何かを食べている音がして、見ようとした瞬間目が覚めたんだ。夢の場所が次登ろうとしている山に似ていたから不気味だった。あと妙にリアルだった……」拓海は、少し怖気付いていたみたいだった。「本当なんですか?その話は。」拓海は、俺がただおどかそうとしているだけだと思ったんだろう。「本当だって。ただの変な夢だから大丈夫だよ」俺は、自分にそう言い聞かせた。あの夢を見た時からこの世界の歯車が動き出した気がした。
光に潜む闇、読んで頂きありがとうございます。
平凡な日常と不穏な夢の対比が、物語の緊張感を高めていった第二章。
この章で芽生えた違和感が、あの山での恐怖につながっていきます




