表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

ツンデレじゃない、観察してるだけ。

しゃべる”シリーズ第3話は、ツンツンしているようでちゃんと見てくれている――そんな猫のお話です。

文句は多いけど、距離はちょっと遠いけど、それでも彼女なりの「愛情表現」があって。

人間が気づかないところで、静かに見守ってくれている存在に、今日もちょっとだけ救われているのかもしれません。


また寝坊か。


目覚ましが鳴ってから、3回は止めてる。

しかも寝ぼけて靴下投げたあと、二度寝してるし。

……ほんと、こいつ飼い主としての自覚あんの?


私はミケ。

三毛猫、2歳。人間換算だと女子大生くらいらしい。

いや、知らんけど。別に大学行く気もないし。


そんなことより、今朝のカリカリの分量、少なかったんですけど。



---


「ん〜〜〜……ごめんミケ、ちょっとだけ待ってね……」


飼い主が、むくっと起き上がる。

髪、ぼっさぼさ。

顔、寝ぐせよりひどい。もはやホラー。


「ごはん、ごはん……はい……どぞ……」


おおっと、雑。

なんだその手の動き。

“投げる”に近いレベルで皿にぶち込んだな。


「……まあ、許すわ。食えるし」



---


カリカリを一粒ずつ、あえてゆっくり食べる。

あくまで“優雅に”がポリシー。


「……ミケ、さっきから見てたけど、今日も冷たいな〜……」

と、飼い主が嘆く。


うん、見てた。起きてからずっと。


だってこの人、起きたときから寝るまで、いっつも何かしら抜けてんだもん。


昨日はスマホ冷蔵庫に入れてたし、

一昨日はコップ持ったまま風呂入ったし、

その前は私の尻尾ふんだ。2回も。


「……あ〜、なんか疲れた〜……」


ベッドにバサッと倒れ込む音。

あーあ、また洗濯物たまるやつだわ。

この人ほんと“やる気”って概念、どっかに忘れてきてる。



---


でもさ。


泣いてたんだよね。昨日の夜。

スマホの画面見ながら。

静かに、でもちゃんと、涙出てた。


「大丈夫」とか言わなかった。

泣きながら寝た。

私の方に背中向けて。


それ、見てたんだけどさ。


私、しゃべれないし、

うまくゴロゴロも言えないし、

「だいじょうぶ?」ってなでることもできない。


だから――


隣、空けといた。

布団の中、ちょっともぐって、

背中、ちょんって触れるくらいの距離で。


何もしない。

何も言わない。

ただ、そばにいるだけ。



---


ツンデレ?違うし。


私が“観察してるだけ”って言ってんじゃん。


……でもまあ、

今日も帰ってくるまで、ちゃんと見てるけどね。


あのドアが、カチャって開くまで。


ここまで読んでくださって、ありがとうございました!

今回の主役はツンツンな猫・ミケ。

猫って本当に気まぐれだけど、どこかで人間のことをよく見ている――そんな視点で描いてみました。


感想・コメント・評価なども、よければいただけるととっても励みになります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ