13−1 オープンキャンパス!!!!!
「こんにちはー...」
「こんにちわ〜!」
ぞろぞろと列をなす多種多様な制服姿を眺めながら、私ともる子さんは誰というわけでもなく挨拶を繰り返していました。
もる子さんは制服のスカートにピンク色のTシャツを着ていて、なんだかいつもと違う雰囲気でちょっぴり違和感。
かくいう私も今日は珍しく学園指定のスカート姿。
上半身も鳴りを潜めて、今日ばかりはもる子さんとお揃いのピンクのTシャツです。
本日は学園のオープンキャンパス兼見学会。
私たちはそのお手伝いをすべく、真夏の学園に訪れていたのでした。
「あ...、ご見学の方ですか?でしたら、このまま昇降口を抜けていただいて、廊下を突き当たりまで。そちらで受付を行います...」
行き先がわからない方に定型文を言うだけでしたら、いくら私でも過剰な人見知りを発揮したりはしません。
最初の数人には心臓もバクバクでしたが、ひっきりなしに訪れる方々に同じ言葉を繰り返すうちにあっという間に流れ作業です。
私たちが任された作業は体験授業を受けたいという方々と、内装や部活動の見学をしたいという方々が学園内で迷わないようにというお手伝い。
要するに朝九時ちょっとから受付終了の三時頃まで突っ立っていることです。
受付スタートと同時にどっと押し寄せていた参加者の方々も午後を迎えた今では少なくなり、私達もそろそろお役御免といったところで、何もなければ後二時間ぼ〜っとしていたらお終いです。
「ねえ江戸鮭ちゃん」
「なんですか?」
「江戸鮭ちゃんはオープンキャンパスって参加した?」
「あ〜...この学園のは参加してませんね...」
「私も参加してないんだよね〜。だからさ、どんな事するのか気になるよね」
「ま〜...確かに」
「ねえ」
「しませんよ?」
「まだ何も言ってないよ!」
言わずとも分かります。
もる子さんのこの口ぶりだと、多分、いえ絶対に「私達もバレないように参加しようよ」とか「持ち場離れて見学に繰り出そう!」みたいなことを言い出すんです。
先に釘を差して置かなければ、何が起きたかわかったもんじゃありません。
「大人しくしていましょうよ...。今日はお仕事なんですよ、一応」
「ぐぬぬ...たしかに。でも気にならない?」
「気になりません」
「さっきは気になる感じだったじゃん!」
「気が変わりました」
「ひどい〜!」
「まあまあ、いいじゃないですか...。さっきも言いましたけど、あと少しなんですからここで大人しくしてましょうって...」
「む〜!」
時計は午後一時を指しています。
迷う人どころか人すらまばら。
のんびり突っ立っていればお終い、というところである学生が現れました。
「あ、あのー、スミマセン。いいっスか...?」
ふいと私がふりむくと、そこには見慣れないセーラー服が姿がありました。
中々お目にかかれない高身長、といっても私よりは小さいですが、蛍日和さんよりは大きそう。
よく日に焼けた褐色肌に、鼻には一つ絆創膏。
ショートもショート、ベリーショートのツンツン髪は少しパサついていてどことなく癖っ毛です。
絵に描いたようなアクティブな印象を露呈する子が少し恥ずかしげに頬をポリポリとかいていました。
「どうかされましたか?」
「えと、みんなで色々廻ってたんスけど...ちょっとはぐれちゃって...」
「それは大変ですね。えと、何の辺でばらばらになってしまったのでしょうか...?」
「そうっスね...たしか、部室がたくさんあるところで...」
「部室棟の方だね!じゃあ案内するよ!」
私の陰からぴょこんと飛び出したもる子さんに、迷子の方は驚きを隠せないようでした。
「お友達一緒に探そ!」
続きは明日の夕方投稿予定です




