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10−1 私にも何か不思議な力はあるのかな?

「到着〜!」


「なんだい君たち、藪から棒に」


今日も今日とて放課後の一幕。

きらら系に一番似合うと言っても過言ではない時間が始まったところです。

しかしながらそれはそれで、今日はどんな惨劇が潜んでいるのかと私はひやひやしていました。


さて、私ともる子さんがたどり着いたは部室棟の一室。

きらら部がある三階から離れて、一階の一番端の教室に構えられた占い部「侑來來うらら」です。

迎えてくれた、というよりも招かれざる客だと言う風に嫌な顔をしてちょこんと座っているのは二年生で部長のいのうさん。

少しばかり前にもる子さんが些細ささいさんで殴打したり、配信者さんの一件で助けてくださった緑髪の女の子です。


いのうちゃん、おひさ〜!」


「おひさ〜ってこの前あったばかりではないか。あとな、もる子くんや扉は普通に開けてくれないかな?勢い余って外れちゃってるからさ」


「今暇?」


「ん?あたしの話は無視かい?もる子くん」


「聞きたいことがあるんだけどいいかな!」


「お?聞く気がないのか君は?その耳は飾りか?」


「最近さあ、みんな能力能力ばっかでさ〜、私にもなにか無いのかなって気になっちゃってさ〜」


「ん?通じないのか?なあ?言語に齟齬があるのか?」


「ってことを江戸鮭ちゃんに相談したらさ!祈ちゃんは能力が見えたりするって言うじゃん!?だから私も見てほしくって来たんだ!」


「おん?聞こえないことにしてるのか?なんなんだ君」


「いいの?ありがとう!」


「江戸鮭君、こいつどうにかしてくれ」


私は呆れ果てたいのうさんに苦笑いを返すことしか出来ませんでした。


「祈ちゃん!私の能力ってどんなのか教えて!!」


「...もういいや、で何だい?能力?」


「うん!部活の皆も叙城ヶじょじょうがさき先生も、この前のあわちゃんだってカッコよかったからさ〜、私にもなにかあるのかな〜って思って!聞けば『おちむしゃ』のみんなもあるって言うじゃん!?私も欲しい!」


「『おちむしゃ』が何かは知らないけれど...まあ構わないよ。私の特技だし、見てあげよう。でも扉はなおせ」


「やった〜!」


祈さんはそう言うと早速立ち上がり、もる子さんの目の前にまでやってきました。

そして彼女の胸のあたりをジロジロ観察し始めます。

屈んだ上に急接近した彼女に「やたら近いな...」と思いましたが口にはしません。

きっとこれが祈さんのやり方なのですから。


「祈ちゃん。なんかやたら近くない?」


「我慢してくれ。見るためにはこうしないといかんのだよ」


「...江戸鮭ちゃんなんかこれ少しキモいね」


「いや、何いってんですかもる子さん...」


「いやだって胸ジロジロ見てるし...。祈ちゃん女の子だよね?」


「女だよ!失礼しちゃうな!」


「ならいいけど...もっとお洒落したら?帽子とか」


「好きでやってんだよ!言うなよ!いいだろ!陰の者なんだから!」


「江戸鮭ちゃん。陰の者って何?忍者?」


「...うん、まあ。そんな感じです」


「へ〜!いのうちゃんすご〜い!」


「バカにしてんのか!...少し黙っててくれないかな。集中できないから...」


「は〜い!」


喧嘩を売りに来たのか占いに来たのか分かりませんが、そんなもる子さんを占うべく、祈さんはじっと目を凝らします。


「え〜、あ〜。うん...」


「どう?私の能力!」


「あ〜、うん、そうだね...」


「なんか感じる!?」


「ん〜、ないわけじゃなさそうだけどね。まだちょっと、発芽したばかりというか...分かる状態まで育ってないって感じ...なのかな...?」


「えー...ショック」


「でも無いわけではないからね。何となくだけれど、汎用能力の『目童かなめ』っぽい何かは感じるかもね」


「かなめ?」


「そう。目童かなめ


「なにそれ?」


「おめめの色が変わる。カラコンいらずだ。それに...」


「え〜、つまんな〜い」


もる子さんは祈さんが話し終える前に駄々をこね始めました。

そして祈さんの頬を両手で抑え込むと、むにむにと揉み始めます。


「やめいやめい!あのねもる子くんや。目童といっても沢山種類があってね。虹彩の色によって色々違うものなんだな〜コレが。例えば赤い色の瞳は通称『朱涸声からんこえ』。誰かを守るぞ〜とか、何かを大切にしたい〜って人に現れるやつだ」


「でもカラコンいらいらずな能力ってだけでしょ〜?」


「むにむにやめい!...確かに瞳が赤くなる。だがそれで終わりじゃないんだよ。少しばかり肉体的に強くなる感じ。要するに物理で殴る」


「おお〜!そっちは使い勝手いいね!」


「ま、そっからも色々派生があってだね〜。基本は黒からだんだん色が変わっていって、最終的な色分けは十色に別れるわけでな。その中でさらに通常型ってのと変態型があってだな...」


いのうちゃんって得意なことだけめっちゃ喋るよね」


「えぇ...」


聞かれたから話しているに過ぎない祈さんに、実に残虐な一発が突き刺さります。

確かに説明になった途端に饒舌になる彼女ですが、あんまりです。


つづきはすぐ

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