1−4 きらら系ってなんだっけ...
「いいって書いてあるじゃん!!」
「だからそれは過去のものだ!現状を見ろ!」
「知らないよ!いきなりそんな事言われたって着替えなんてないから!ね!江戸鮭ちゃん!」
「着替えなんぞ保健室にも生徒指導室にも風紀委員会の部屋にも腐る程ある!着替えろゴスロリ!」
「無法だよ!むほー!そんなの知らないもん!それに見て!江戸鮭ちゃんこんなに大きいんだよ!?一九〇センチ位あるのに肩幅せませまで合う制服あるの!?」
「ある!SSからXXLまで用意があるぞ!舐めるな!少しくらい小さくとも大きくとも一日くらい着ればいいだろう!」
「江戸鮭ちゃんは制服よりこっちのが似合うからいいの!」
「そんなのお前の主観だろうが!!」
「だいたい風紀委員会さん!風紀委員さんの服装や髪色はいいの!?」
風紀委員さんの髪色、黒いポニーテールから見え隠れするのは澄んだ空色のような綺麗な水色のインナーカラー。
周辺学生が着ているのはよくある白を基調に青いラインのセーラー服ですが、なぜか彼女は黒セーラーに赤ライン赤ネクタイ。
それとお揃いの黒いスカート。
私ばかりが黒黒としているわけではなく、風紀委員さんも風紀委員さんで目立っているのです。
「ふふん。貴様、私は風紀委員だぞ。学園内での地位を確約された絶対的存在だ。髪色も服装も自由に決まっているだろう」
「なにそれズルい!誰が決めたの!?」
もる子さんは顔を歪めます。
「誰が決めた?何をいう、それは学園内での絶対的存在である生徒会、そして私たち風紀委員だ」
「わ〜!すっごいエゴじゃん!」
「ふふふ、なんとでも言うがいい。しかしこれこそが学園のルール!絶対的秩序!実力主義のきらら系にとっての完全な正義だ!」
もる子さんに阻まれた手を払い除け、風紀委員さんは私の胸元を鷲掴みにしようと再び手を伸ばします。
ですが、それを再度阻んだのはやはりもる子さん。
胸元に伸びてきた手を手刀で一刀両断するかのごとく叩き落とします。
そして、よろけた風紀委員さんの驚く顔を見る間もなくグッと体勢を低くしてからの、見逃しちゃうほどの足払い。
全身がふわっと宙に浮いた風紀委員さんは何の抵抗もできずに落ち行く地面へと目線を移しましたが、見るべき場所は下ではありませんでした。
体勢を整えたもる子さんは勢いよく彼女の腰に一撃、肘をねじ込みました。
一瞬の出来事に風紀委員さんは地に伏して「ぐえ」とカエルのような声を上げて、それからピクリとも動きませんでした。
「だめだよ風紀委員さん!私たちはきらら系だもん!好きなことを、好きなようにさせてもらうんだから!」
優しく笑顔でもる子さんが告げました。
きっとその声は風紀委員さんには届いていなかったことでしょう。
「勝ちたかったら、いつでも受けて立っちゃうよ!」
人差し指を突き立てて、もる子さんは自慢げに言いました。
その声はグラウンドを、いえ学園全体に響き渡ります。
ザワザワと集まりつつある学生の姿。
校舎からも何人も人が見ています。
私は今目の前で起きた暴行事件だけでも手一杯精一杯不安いっぱいなのに視線まで。
それに付け加えるように、もる子さんは言いました。
「私が生徒会長になって、この学園のルールをぶっ壊すから!」