7−1 せつりつせんげんだめだった!!
「どうだった。蛍日和ちゃん?」
「ダメダメですわ」
蛍日和さんはふんわりしたパーマを揺らしながら首を横に振りました。
どこもかしこも学生の声でキャイキャイとしている学園ですが、私たちは今、少しばかりもの静かな場所にいました。
それは、きっと自分一人だったら訪れることがないであろう場所、職員室です。
今はお昼休み。
いつもだったら私ともる子さんで机を合わせてご飯を食べている時間です。
授業は寝ていても、この時間だけは起きている彼女にとって至福のひととき。
早食いな上に大食いで、パンの追加購入を厭わない彼女がどうしてお昼の時間を早めに切り上げてまで蛍日和さんと一緒に職員室までやってきたかと言うと、
「通りませんでしたわ。部活の申請」
そうです。
先日結成した、いえ、無理やり結成された部活動『きらら部』を正式に部活動として認めてもらうべく訪れたのです。
「え〜。何が駄目だったの?」
「やっぱり...活動内容が不明瞭ですし...。それに使える教室がないとかじゃないですかね...?」
「え〜!きちんと書いたよ!?見てよほら!」
もる子さんは蛍日和さんから用紙を引ったくり、私に見せつけます。
『活動内容・学園に反旗を翻す』
「なんでこう、正直に書いちゃうんですかね...」
「事実だし!」
「もっとこうオブラートに包みましょうよ...」
「じゃあ『生徒会をぶっ壊す』とか?」
「オブラートって知ってます?」
「デンプン?」
「ゼラチンですわ」
「成分じゃないです...」
本気で言っているのかどうなのか分からない二人のボケを躱しながらも、私はこれはこれで良いのではないかと思いました。
私の意志とは関係無しに、学園側から設立を拒否されているとなれば、もる子さんの考える暴力革命じみたじゃじゃ馬ムーブも鳴りを潜めてくれるのではないかと。
そうなれば既にそこで伸びている質候さんのルーティンと化した襲撃も、謎の刺客の強襲もなくなりますし、目の前で行われるヒヤヒヤしたバトルも拝まなくて済むからです。
自分の好きなお洋服で通えなくなるのは少しばかり残念ですが、そんなものは微々たるものです。
「まあ、断られてしまったのなら...」
「よし、じゃあ活動内容考えよう!今から!はい!蛍日和ちゃん」
「えぇ...」
なんて都合よく、私の思い通りに行くわけもなく、もる子さんはまたしても勝手にお話を進めるのでした。
続きは本日。




