4−3 全然足りない自己紹介
「それではよろしくて!ここに新たに生徒会を目指すメンバーが集まりましてよ!改めて自己紹介といきましょうですわ!」
堂々とした蛍日和さんを除いて拍手が沸き起こりました。
私が意見を言う暇もなく、唐突な自己紹介が幕を開けました。
「では、まずはワタクシたち第二軽音部の面々からですわ!まずは部員からですわ!鍍金!」
金髪のツインテールを揺らして鍍金さんが勢いよく立ち上がりました。
「はい!第二軽音部、二年の持鍍金好綿ですっ!楽器は弾けません!好きなものは蛍先輩ですっ!ツンツンしているけどデレたら可愛い部室の密かなアイドル系の後輩です!特技は、えーと、戦闘時の防御関係ですかね?あと能力はあり、汎用能力の花盛です。よろしくお願いしますっ!」
再び拍手が沸きます。
続いて持鍍金さんの向こう側で、銀髪のショートカットが揺れました。
「第二軽音部。二年。些細隣東北。楽器は弾けない。クール系無口。感情希薄系。好きなものはカキフライ。特技は...戦闘...?能力は秘密。よろしく」
些細隣さんが座り切る前、短い拍手の最中に蛍日和さんが立ち上がります。
そして胸を張って自信満々に話し始めました。
「ワタクシが第二軽音部の立役者で部長の蛍日和爽蟹ですわ!無論最高学年の三年でしてよ!楽器は弾けませんわ!好きなものは一番になることですわ!特技は...うん!そうですわね!勝負事ですわ!能力は教えませんでして!改めてよろしくですわ!」
拍手も早々にもる子さんが立ち上がります。
蛍日和さんに負けない勢いと、いつもの満面の笑みが光ります。
「私、瀧笑薬物質!一年一組!ちょっと前に転校してきたんだ!弾ける楽器はピッコロ!特技は徒手空拳!よろしくお願いしま〜す!」
「...ちょっと色々言いたいんで時間もらっていいですか?」
自己紹介を終えた四名は皆一様に「え?」みたいな顔をして私の方を見ました。
「え?」と言いたいのは私の方です。
「江戸鮭さん。どうしたんですの?」
「あのですね...」
「江戸鮭ちゃん!恥ずかしがらずに!」
「いえ、もる子さんそうでなくて...」
「鮭ちゃんさんっ!大丈夫ですよっ!」
「持さんも、ちがくて、」
「鮭。」
「聞いて下さい...!」
私は声を大きくしました。