0-0 開戦
「きらら系×学園能力バトル!」
サクッと読めるコメディです。
「みんな〜!おまたせ〜!」
「遅いですわもる子さん!ギリギリはやめてくださいまし!」
「そうですよっ!棄権になったらどうするんですっ!」
「もる子、ちゃんとしてもらわなきゃ困るって」
「馬鹿者が」
「ごめんごめん!おまたせ!ごめんね、江戸鮭ちゃん!」
「...は、はい」
私は緊張をそのまま声に乗せて、返事をしました。
今日こそ、もる子さんが待ちわびた日。
学園をルールで縛った生徒会との決戦の日。
私は心を落ち着けるように、今日までの日々を思い返します。
転校初日にもる子さんと出会って、その後すぐに質候さんを殴り飛ばして。
第二軽音部の皆さんに会ったのも同じ日。
ほたるびよりさんは今よりもっとお喋りで、持鍍金さんは少し穏やかだったかもしれません。
些細さんは全然変わらないですけど。
それに手伝ってくれた甚さんには、感謝してもしきれません。
それから、占い部の祈さん。
旧きらら部、現おちむしゃの危ない五人組。
配信者のあわさん。
第一軽音部の皆様。
そして風紀委員さん。
色んな方に出会って、色んな方に助けられて、今この舞台に立つことができています。
私たちのキラキラした毎日を取り戻すため。
わくわくできる自由をもう一度皆と味合うため。
誰もが笑って「やりたいこと」ができるように。
生徒会役員の方々が、どんな能力を持っているかは分かりません。
四文字で発した言葉を実現するかもしれません。
キラキラしたエフェクトを出すかもしれません。
触れたものを希釈したり、瞬間移動したり、動きを封じ込めたり、何でも燃やせたり、物をくっつけたり、離したり...。
出会った能力者の皆様よりももっと厄介で、私たちの誰かが一撃でやられることだってあり得るでしょう。
頭を巡る戦いの日々を私の頭が巡ります。
忘れようとしても忘れられませんから。
何もできなかった私がここまで成長できたのは、きっと、いえ絶対に皆様のおかげなのですから、忘れるなんてあり得ません。
私は息をひとつはいてから、壇上に立つ生徒会の面々に目をやりました。
会長は私をまじまじと見つめて、その小さなお口をニヤリと歪ませます。
「ついに今日という日が来たのう。きらら部の面々よ」
静まり返った体育館に、会長の声が凛と響きました。
ですが、私にはその声はあまりにも遠く、微かに聞こえた雨雫くらいにしか思えませんでした。
聞こえてはいるものの、耳に入らなかったのです。
生徒会の方々と相まみえて、戦いが始まるというのに私の頭の中では、また別のあることがグルグルと渦巻きはじめていたのです。
「もる子さん...。戦いが始まる前に言いたいことがあるんですけど、いいですか?」
「ん?なーに?」
準備運動をするもる子さんは、いつもの満面の笑みをこちらに向けました。
「私たちって、きらら系になるために頑張ってるんですよね?」
「もちろんだよ!今日はそのための第一歩!生徒会長をぶちのめさないとね!」
「それなんですけど...」
「うん!」
「きらら系って戦うんですかね...?」
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