ep9.変態頬ペロ狂人女1
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『あれは……ねぇ***、あれって前の時代にあった異分子じゃないかしら?』
『うえ……本当だわ……バグは消したはずなのに……』
『でもアレのおかげで***勝てたんだろ? 今回はアレが原因で負けたりしてな』
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■後神暦 1324年 / 秋の月 / 獣の日 pm 09:40
――スラム入口
「オーリとヴィーは酒造所が狙えて、なるべく高い建物から援護して!
わかってると思うけど危なくなったら逃げること、いいね?」
「「うん!」」
「almA、二人を狙撃ポイントまで護衛してその後戻ってきて!」
二人と別れティスを連れて酒造所へと走る。
ザックの仲間が知らせてくれてから20分は経つ。
彼が知らせにきてくれた分の時間も考えると、状況を把握するような悠長なことをしている余裕はない!!
―――――――――
【メルミーツェ装備】
・戦槌
・ハンドガン2丁
・閃光手榴弾3個
・アストナイトブレスレット
・戦闘用サック
【部隊編成】
メルミーツェ……研究者 変更不可
オルカ……剣闘士 フィジカルバフ要員
グランド……槌盾 シールド要員
アンヘル……中衛銃士 銃知識要員
ラルウァ……決闘者 決戦スキル要員
ナハト……超常治癒士 回復要員
ティリス……拳闘士 挌闘戦要員
ロウェル……超常者 パッシブスキル要員
―――――――――
市街戦用に銃は取り回しの良いハンドガン。
両手持ちのハンマーは取り回しが良いとは言えないけれど、これが一番使い慣れているので仕方がない。
後はもしも撤退する場合も考えての閃光手榴弾。
勢い余ってバランスを崩しながら曲がり角を曲がり、やっと酒造所が見えた。
しかし目に映った光景は何パターンか想像していたどれとも違った。
ザックたちが襲撃者を制圧したものでもなく、
その逆の最悪のものでなく、
たった一人の女にその場にいる全員が圧倒されている。
女は身の丈ほどある両刃の大剣を二本交差させたような鋏をまるで玩具みたいに軽々と振り回している。それは鋏は閉じているときも超重量の大剣のようで、製作者の頭を疑ってしまう武器だ。
おかしな武器を扱うおかしな女……
それ以上におかしいのは、敵のはずの女が既に倒れている襲撃者に鋏を突き立て止めを刺している。
なにこれ?
……いや、考えるのは後だ、今は飛びこめ!!
「ザックっ!!」
――”戦闘技能 ブレイクインパクト”……!!
異様な光景に思考が止まってしまったがすぐに我に返り、駆けつけた勢いのままザックを跳びた越え、鋏女へハンマーを重量に任せて振り下ろす。
手加減はしていない、肩を粉砕するつもりで打ち下ろした。
しかし、スキルで膂力も上がり、勢いも十分だった一撃は斬り上げられた鋏に弾かれた。
乾いた甲高い音だけが耳に残響する。
「こんばんワぁ~」
ニタリと不気味に口角を上げた女を僕は知っていた。
ヴァージャ商会の仕立て屋でベタベタ触ってきた羊人族の店員だ……
「仕立て屋にいた人ですよね? ヴァージャ商会に襲撃される理由がわからないんですけど?」
「んふふ……詳しくは教えてあげられないけどヴァージャは関係ないワぁ」
ヴァージャ商会が襲撃に関係ないと仕立て屋の店員が言うのは矛盾している。
理解できない言動と間延びした話し方が、貼り付けたような笑顔を余計に不気味に感じさせる。
「……ねぇミーツェ、こいつ何者なの? あたしが知ってる種族にあんなのいないわよ……」
「……え?」
戦闘用サックから顔を出して怯えるように聞いくるティスの言ってる意味が分からない。
目の前にいるのは明らかに羊人族だ、ティスだって街にきてから何度も見てるはず……
「あらぁ? 妖精族さんがいるのね、それじゃあ隠してもしかたないワぁ」
ほんの一瞬、ほんの一瞬だけ女の姿がぼやけた。
気づけば今まで対峙していた女とはまるで別人が立っている。
緑色のくせ毛は真っ直ぐな黒髪へ、肌の所々に黒い鱗、縦長の瞳孔……なにより纏う空気が異質だ。
爬虫類に関係する種族なことは分かるが、あんな禍々しい気配の生き物は知らない。
「……なんで妖精族の得意な魔法が使えるの? アンタの種族も幻覚を魅せる魔法が得意なの?」
「んふふ、秘密~」
話すことに飽きたのか鋏女はエモノを開いて突進してきた。
――あんなモノに挟まれたら真っ二つにされて終わりだ。
かと言ってハンマー一本では受けることはできない、だったら……!!
刃より少し高く跳び、鋏の交差部を叩きつけて軌道を反らす。
開いた鋏は上下か左右の直線二方向からしか攻撃できない……
これならなんとかなるかも……
――!?
「アハハハハハ!!」
鋏女は跳び上がり見るからに超重量の鋏の重さに任せて上空から迫ってくる。
初手の意趣返しだろうか? あんなもの絶対正面から受けたくない。
大きく飛退いて避ける。
この判断は正解だった……落下してきた衝撃で微かだが地面が揺れる。
打ち返していたらハンマーは折れて串刺しにされるところだった。
それにコイツ……着地の瞬間、わざわざ鋏を開いてまだ息がある倒れた襲撃者を刺した……
このままだとザックたちにも被害がでるかもしれない……それはダメだ。
「ザック! ギルドの人たちと一緒に逃げて!」
「お嬢は大丈夫なのかよ!?」
「……たぶんね。でもできれば衛兵呼んで。それまでは押し留めてみせるから」
「わかった。わるい、すぐ戻るからな!」
――これでいい……
乱戦だとあの子たちの狙撃が難しくなるし、大勢を守りながら戦うんなて無理だ。
それなら衛兵がくるまで一対一で対峙した方が良い。
あの子たちの安全が第一だけど、早く戻ってきてalmA。
浮かぶ多面体がいない僕は不安が募った。




