表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
34/194

ep3.商会トップはヤバい人ばかり1

■後神暦 1324年 / 夏の月 / 空の日 am 11:00


――リム=パステル到着翌日、セルリアン商会


「どうしてこうなった……?」


 僕は今、セルリアン一族のトップ、ベリル=ヴォルフ=セルリアンと対面している……

 それに誰かは分からないけど恐らく立場があるであろう人物がもう一人。


 書状を渡そうとセルリアン一族の商会へ向かう際、almAに乗って向かったのだが、商会の建物の前で偶然ベリル代表に会いalmAを見て狂喜乱舞。質問を捲くし立てながらここに強引に連れこまれ今に至る……


 受付に書状渡すだけで良いって言われてたのに……こんな事になるなんて聞いてない。

 それにテンションがおかしくなったヤバいおじさんだと思ってた人が代表だったのはもっと聞いてない……!


「でっ! その魔導具は乗って移動する為のものなのか!? それに他にも機能はあるのか!? 作者は誰だ!? どうなんだ!?」


 怖い怖い怖い怖いっ!

 アドもそうだったけど狼人族ってみんな強面なの?

 目がイってる強面なんて恐怖以外の感想がでてこないんですけど!!



「あ、あの……こ、これは村に流れてきた職人さんが作ったもので……」


「じゃあその職人を紹介してくれ!! どこにいるんだ!?」


 ベリル代表は叩き割れるかと思うほどの勢いで両手で机に手をつき身を突き出す。



「ひっ……」


「ベリルさん、ダメですって。まだ子供の女の子を怖がらせるなんて事案ですよ?」


 助かった……で、この女性(ひと)は誰なんだろう?

 もふもふの尻尾に紅色から金のグラデーションの髪、目元は少しきつめだけど涼しげな美人、見た感じは弧人族(こじんぞく)



「いや、男なのにそんな恰好してる方が事案だろ。カーマイン一族の代表がそれでいいのかよ?」


 カーマインの代表!? ……いや待って、男!!??

 立て続けに起こる衝撃に口を半開きにしてカーマインの代表を凝視する。



「ふふ、ウカノ=フクス=カーマインですよ。よろしくね、猫のお嬢さん」


「悪かったな、嬢ちゃん。

分かってると思うがセルリアン商会代表のベリル=ヴォルフだ。

almA(それ)に興奮して連れてきちまったが本来の用事はなんだったんだ?」


「……はい、ツーク村の報告の書状をお持ちしました。

村でトラブルがあったので村長が伺えず申し訳ありませんと謝罪の言伝を預かっています」


「そうか、それで返事は嬢ちゃんに渡せばいいのか?」


「いえ、すみません、僕はしばらく滞在しようと思ってまして……それに恐縮ですが恐らく書状は支援の嘆願だと思います。なので馬車で物資を運ぶ必要があるかと……」


「さっき言ってたトラブルってやつか、どれ……」


 一通り書状に目を通したベリル代表がため息をつく。


 あからさまに機嫌が悪くなってない!?

 何かまずいことが書いてあるの!?

 まさか『てめぇこんなもんよこしやがって』とか言って殺されたりしないよね……!?


 僕は恐々としながら次の言葉を待った。



「またモーヴかよ……」


 どうも、こちらに怒っているワケではなさそうだ。



「あらら、またあのボンボン絡みです? 昨日はうちの店でやらかしてくれたみたいですよ」


「モーヴの小僧が自分の庇護下にある村を見捨てたんだとよ、それでツーク村に被害が出たんだと。それと嬢ちゃんのことも書いてあったぞ、滞在するだろうから仕事の口利きをして欲しいとさ」


 おぉ! ありがとう村長! 通行税でちょっと恨むって言ってごめんなさい。

 それにしてもベリル代表の不機嫌の原因が支援の歎願じゃなくて良かった……

 本当に生きた心地がしなかった。



「それで、どうする? 

セルリアン商会(うち)は魔導具を主に扱ってるんだが、中身を作るのは専門職だし、外装(がわ)作るのは鍛冶場みたいなとこで力仕事の男所帯。

嬢ちゃんみたいな子供を働かせるのは気が引けるしな、店舗で売り子とかするか?」


「あら、それならカーマイン商会(うち)はどうです? 

モーヴの話で思い出したんです、昨日うちの店でやらかしたボンボンを止めたのは猫人族の女の子だって聞いたんです。もしかして貴女なんじゃないです?」


「ボンボンって刀を差したぽってりした人ですか?」


「ふふ、そうそう当ってるですよ。リュミエルちゃんと同じところで働けるようにしますからどうです? 

うちは女の子が多いですから、ボンボンを追い返せるような娘はぜひ欲しいです。

ベリルさん、この子うちに貰えないです?」


「嬢ちゃんが良いなら俺は構わんよ。

ただ! その魔導具については話してもらうからな!!」


 こうして意図せず仕事に就くことができた。

 更に幸運なのはアレクシアと同じ店で働けることだ、同じ転生者で昨日の一件でも今後良好な関係が期待できる。

 仕事で人間関係の構築が大切なのは前世で痛いほど経験してるのでこの提案は本当に渡り船、僕は迷うことなくカーマイン商会で働くことを決めた。



 ~ ~ ~ ~ ~ ~



 帰ったら皆にモリスさんのお店で働くことになったこと報告しないね!

 アレクシアはどんな反応するかな? 喜んでくれると嬉しいけど。


 それにしてもベリル代表はヤバかったな……

 almAのことは正直に話せないし、作成者は亡くなったってことにしたら膝から崩れて項垂れた勢いで机を叩き割るなんて誰も思わないでしょ……マジで怖い……


 おかげで魔石の用途の話はとてもじゃないけど聞けなかったよ……



 とにかく!転生初のお賃金が発生するお仕事だ! 頑張ろうね!almA。

 僕は浮かぶ多面体に跨って帰路を急いだ。



【ベリル イメージ】

挿絵(By みてみん)


◆◇◆◇あとがき◆◇◆◇

お読み頂きありがとうございます。

前話に登場したアレクシアが主人公のお話を書き始めました。

よろしければこちらもお読み頂けたらとても嬉しいです!


【ヒマを持て余した神々のアソビ~アレクシア転生記~】

https://ncode.syosetu.com/n8057io/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ