彼が私に振り向かない理由
アナタが好きです、と言っても彼は何時も知らんふりばかりで私の事など見向きもしない。いつもいつも可愛い女の子に囲まれている人気者で、成績優秀、運動神経抜群の文句無し。学校一人気があって、後輩や同級生、更には先生にまで慕われている彼。
その反面、私はと言えば勉強は出来ないし運動音痴だし、人気も何もない至って平凡なただの生徒。彼となんて月とスッポンが如くの差がある。
―――そうだとしても!
愛に歳の差なんて関係ないのと同じ様に、愛に能力の差なんて関係ないのよ。ただ彼に対する“愛”がいかに強いか―――それだけ。 そう、たったそれだけなのに―――何故彼は私に振り向いてくれないのかしら。他の女よりは、アナタの事を愛している自信が有るのに。
誕生日だって本人には言えないけれどちゃんと祝ってる、生まれてきてくれて有難うって言ってるわ。
それに、バレンタインだって名前を書いて何時も贈ってるもの。
他にも彼の趣味や、好きなもの嫌いなもの全て知ってるのよ。彼の口癖だって覚えたわ、私以上に彼を愛してる人なんて絶対に居ないのに。
「なんで振り向いてくれないのかしらッ……!」
「……アネキうるせー」
「今良いところなのよ、邪魔しないでくれる?」
「ゲーム画面見ながら笑ったり悔しがったりするの止めろ、不審者見てーだぞ。気持ちわりぃ」
弟にそう言われても私は知らんふり。今は彼の事で頭が一杯だから。弟だってそりゃ格好良いけど、やっぱり彼が一番格好良いと思う。いや、思うじゃなくて格好良い。
「ああっ、またフラれたああああああ!」
「アネキに乙女ゲームは向いてねぇって事だな、うん。それかソイツがアネキの事嫌い」
「っ…?! ば、バカな事言わないでよ! 彼との親密度はMAXなのよ! なのにっ……」
「何かイベント起きてねーとかは?」
ダルそうにそう言い放つ弟の言葉に、私の思考は思わず一時停止をしてしまった。彼と出会った当初からの出来事を、思い出せれるだけ思い出そうと私はうんうんと唸る。
―――嗚呼。
「修学旅行デート……ッ!」
「どんまい」 彼を落とすのは、もう少し後になりそうです。
けど負けないわよ。
私が一番彼を愛してるんだからねっ!
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