表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/477

お気に入り

椛にはお気に入りの毛布があった。

黒猫柄、アクリル起毛のハーフケット。1200円。

寝床にはこれを敷いていた。


しかし嘔吐が頻繁になると洗い替えが必要になる。

同じものを探す余裕はなかったのでダイソーで、

似たのを買ってきた。

無地のアクリル起毛。200円。


椛はこれが気に入らない。

ダイソーのに替えると抗議の表明で、

よれよれの足取りで、這って寝床を脱出してしまう。

私は大急ぎで洗濯と乾燥して、黒猫柄を敷き直す。

すると椛は満足そうに、お気に入りに包まれて丸くなる。

違いの分かる男、椛。

ボロボロに痩せこけててもイケメンだった。


亡くなってすぐ、使った部屋とリネン類を全清掃した。

いまさらではあるが死因のFIPが、蓮に移らないように。

アライグマになったつもりで洗って洗って乾かした。


黒猫柄のハーフケットが乾いた。

椛の匂いがした。

健康な時のではなく末期の。

甘くて強烈な、死臭のような香り。


今、毛布にすがりついて泣いている。

もし少しでも面白いと思っていただけたら、ブックマーク、評価をお願いします。

皆様からの反応が、明日の元気になってます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ