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病院5
たった一口だけだが。
夜、自力でカリカリを食べた。
まだまだ道は遠いが、出口が見えた気がする。
ふしぎなことに、見た目は健康。
どうしてハンストしているのか医者も首をかしげている。
爪も研ぐ。甘えて膝から下りない。機嫌もいい。
喉にも腹にも、たとえば腫瘍とか異物誤飲とかの詰まりはない。
ぷりぷりによく肥え、艶もいい。
おなかもすいていて、美味しいものを出せと要求が激しい。
しかしカリカリや缶詰を出すと、「これじゃない」の顔。
ぷい、と横むいて、あからさまな不満顔。
どうして食べないんだろう。
何かの拍子に食べれるようになるんじゃないか、と医者は言う。
明日の奇跡を信じて、今夜は寝よう。
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