ビル火災
うちの地元で火災があったらしい。
お友達が「大丈夫かい!」と心配して連絡をくれた。
ありがとう。
でも新宿は広いんだな。
毎日どこかでいろんなものが燃えてるし。
火事より強盗や抗争のが多そうだし。
それでも住民は平和に生きていたりする。
少し前、本当の近所で火災があった。
くたくたで会社からの帰路についたら、
帰れない。車二台がすれちがうのがやっとの狭い道が、
封鎖されてる。
そこへつながる大通りには消防車がフタケタ連なっている。
どうやらビルで火災があったらしい。
煙もないし救急車もないから怪我人はないんだろう。
うわー、資産価値落ちたなー、区分所有者さん可哀想になー、
と思いつつ。
防護服で道路封鎖してるオッサンに、
この路地の奥のボロマンションに帰らせてくれ、と頼んだ。
なにしろボロマンションには猫様がいる。
類焼する前に猫だけ抱いて逃げなきゃならないので、
返事がノーならオッサン殴って封鎖突破しなけりゃならない。
オッサンは快く封鎖を一時解除してくれた。
それは、いいんだが。
人ひとり分の横幅の道をあけてくれた。
そこへきた別の消防員が、私の反対側から通ろうとした。
そして私に気づいて、お先にどうぞ、の仕草で道をあけた。
私も同時に、同じ方法へ彼のために道をあけた。
ふたりで同時に、右に移動し、左に移動し。
嫌がらせをし合っているような動き。
コントかよ、と苦笑いしながらすれ違った私たち。
怪我人さえいなければ、巨大ビル火災も現場は和やかである。
区分所有者さんたちは、保険はかけてるだろうしな。
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