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カスタマーハラスメント

完全に私だけが悪かった話である。

どのくらい昔だったかは忘れた。

まだ運送業界の大変さがニュースに流れてなかった頃のこと。


とある真冬の深夜、私は宅急便を待っていた。

夕方の時間指定が、夜の十時を過ぎても来ない。

ものすごく大切で、今日中に着かなければならないもの。

私はずっとイライラしながら待っていた。

営業所に問い合わせたら、到着時間は不明と言われた。

カチンときた。

日付が変わったらその瞬間にクレームしたる、と、

目を三角にして待っていた。

そしてついにインタホンが鳴った。

日付が変わる、五分前だった。


ドアをあけて仁王立ちの私。

もろに言葉に棘が出る。

「今、何時だと思ってんですか」


青い顔した若い兄さんが立っていた。

私の棘で、こらえてたものが吹き出したらしい。

「僕、他の地区から応援で来てるんです。こんな時間まで、こんな……」

大の男が勤務中、じわぁ、と目に涙が浮かんだ。


それを見てようやく私は正気に返った。

この時間に配達をしてるというのが配達員にとって、

どれだけ過酷な状況か、気がつくべきだろうに。


すまん私が悪かった、と兄さんには平謝りした。

あれ以来、宅急便には頭が上がらない。

ちょっと考えりゃわかるだろう相手の状況が、

見えなくなってた自分が怖い。


最近あちこちの店で、カスハラへの警告文が貼られるようになった。

悪質クレーマーには相応の対処をします、というもの。

従業員が毅然としていてくれるのは、

客がこれ以上の醜態さらさないようにという、

優しさでもあるような気がしている。

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