行っちゃうよ?
蓮を抱っこしてイチャイチャしてたら、
風呂がわいた。
さっさと湯沸かしを止めるよう警告音が鳴った。
もっと蓮とイチャイチャしていたかったが、
警告音がうるさいので。
蓮を抱いてた腕をほどいて音を止めにいく。
ついでなので服を捨てて、湯船に浸かる。
すると、蓮が風呂場へついてくる。
蓮のほうも名残惜しい気分らしい。
もっとイチャイチャしていたかったのに、と、
不満げな目で、湯船の私をのぞきこむ。
そして。
風呂場から去るそぶり。
ちら、と私をふりかえり、目で訴える。
「ぼく行っちゃうよ? 追いかけるなら今のうちだよ?」
湯船の私は動けない。
あんまりにも蓮が可愛くて。
感動でプルプルしてたら、蓮がまた一歩遠のく。
そしてふりかえる。
「ほんとにいいの? ぼく行っちゃうよ?」
私は発狂した。
早撃ちのみけこの異名をとる事務処理オペレーションの名手として、
負けられない戦いがそこにある。
湯船を出る。
頭と体を三分で洗う。
三十秒で泡を流して、風呂場を飛び出す。
「蓮ちょわ~~~ん!」
しかし蓮は、三分半が待てなかったらしい。
タワーのてっぺんで寛いで、しらけたお顔で、
「あんた誰?」
見下ろしてくれていた。
びしょ濡れの私は冷えた心で、
体をふいた。
蓮よ。
きみはカップラーメンを食べるのには向いてないと思う。
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