363/477
よせばいいのに3
ついでに職務経歴書も添削されたので、
直してエージェントに送り直さねばならない。
さいわい翌日の会社はヒマだった。
私は休憩時間にフロアのすみっこで、
職務経歴書の書き直しをしていた。
パソコンのモニタには、職務経歴書の書き方見本、
そのほか転職資料がてんこもり。
そんなデスクを、上役が後ろから見ていた。
自由に生きてるのはよく分かったから、
すこしは俺に気を遣ってくれ。
まさか転職しないよね?
おっさんの視線がそう物語っていて私の背中に突き刺さっていた。
もちろん私は、気にせず作業を続けた。
カンチガイしちゃいけねぇ。
私の本業は、蓮の奴隷である。
今夜締切の職務経歴書なんかは会社でさっさと片付けて、
蓮のための時間をあけなくてはいけない。
上役を無視して書類を仕上げ、私は席を立つ。
背中にいた上役と目が合う。
何か文句でも?
目で問い返す私。
何も言えなくて視線をそらす上役。
変なのが部下にいると上役も大変だよなと同情しつつ。
私は愛息のもとへ帰るのだ。
蓮ちゃん、愛してるよ。
もし少しでも楽しんでいただけましたら、
評価やブックマークなど、お願いします。




