大転職時代3
電話が鳴った。
派遣会社の営業のネーチャンだった。
なんかまた求人の話を拾ってきたんだろう。
電話に出ると営業のネーチャンは、
開口一番のたまう。
「ライフルの話じゃないんですけどね!」
んじゃ、かけてくんな。
電話を切ろうとしたらスマホのむこうから、
元気なネーチャンのすがりつく声。
「待ってぇぇ! 切らないでぇぇ!」
高値じゃ売れないだろう私レベルの婆さん相手に、
ご苦労なことである。
それにつけても、いい時代になったなと思う。
就職難の氷河期に、某リクルートに職を頼みに行ったことがある。
あなたには紹介できる仕事はありません、と、
けんもほろろに断られた。
崖っぷちで食いつめてた私を助けてくれたのは、
ベンチャーの人材紹介会社だった。
あれから幾星霜。
現在はどこの会社も、従業員を待遇アップさせる力がない。
昇進や昇給がしたい労働者は、スキルアップして転職する。
転職回数の多さが有能さの指標になることもある。
今いる職場でも、有能な若手から順に姿を消している。
この先もどんな世の中に変わるかわからないから、
勉強はしておこう、と。しみじみ思う。
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