焼き魚2
とはいえいつもなら蓮は、人の皿に顔つっこんだりはしない。
きのうはよほど食べたかったのだろう。
置きごはんはまだ残ってたので、空腹ではなかった。
あっさりした白身の焼いたのが好物だっただけかと思う。
いつもなら。
皿の横にちょこんと座って、「うふん」な目をする。
それだけで空気を読んだニンゲンが飛んできて、
専用フォークでほぐして口元に運んでくれることを、
彼は知っている。
いいご身分だな、とも思うのだけれど。
一緒に暮らしてくれと頼んでいるのは私の側。
健康管理させてくれ、寄生虫や病気や交通事故から守らせてくれ、
自由にならないでくれ、一緒の寝床で眠ってくれ、と。
頭を下げているのは私の側なので。
できるかぎりのことをするのは当然ではある。
さて。明日は何を食べようか。
蓮と食べると、どんなごはんもご馳走に変わる。
魔法使いな猫である。
『戦士の休息』
~真夏の島のバカンスで、失くした息子が教えてくれた大切なこと
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小説もヨロシクです。
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