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ブラッシング
昔、蓮はブラシが嫌いだった。
人間と暮らしたことがないから無理もない。
ブラシをとって背中に持っていこうとすると、
おびえて逃げた。
ブラシの気持ちよさがわかるといいな、と、
気づかれないよう背後に回ってみたこともあるが、
よけい怖かったらしくて、やっぱり逃げた。
今。
ブラシを持ったとたんにタワーから降りてくる。
遊んでもらえるのが嬉しいらしい。
ソファでおしりを高々とあげてブラシ待ち。
ブラシをかけていると興奮してきて、
私の手にしがみついて蹴りぐるみにして、
嚙みついてくる。
この爪と牙をよけながらのブラッシングは、
スリリングで痛い。
今日も蓮ちゃんはピカピカになった。
逆に私は血だらけになった。
元親さんに高貴とお褒めいただいた毛皮には、
ちょいと痛めの舞台裏がある。
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