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五感
蓮がいると、いない時より、
五感が有能になっている気がする。
激安スーパーで最安値のコーヒー。
美味しいと思ったことは一度もない。
コーヒーに対して失礼なことだが、
金欠なので節約で買っただけである。
たまたまそれを飲んでいた時、
蓮が膝にいた。
甘い目をして、すりすりゴロゴロ。
頭をなでなでしながら、いつもの無意識で、
マグカップに口をつけた。
…あれ?
銘柄をまちがえたかなと一瞬思った。
隣の陳列棚の、もすこし値の張る銘柄を、
まちがえて買ったかな、と。
しかしそんなミスはしていない。
なのにコーヒーが、香ばしくて美味しかった。
ああやっぱり蓮は、そこにいるだけで世界を変えるんだな、
魔法の猫さんだなと、しみじみしながら二口目を飲んだ。
そして気づいた。
蓮がトイレで、大きいほうをしていた。
いろんな意味で。
ちょっとだけ泣いた。
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