休日明け
休み明けの出社は、つらい。
椛が悲しい目をして見上げてくる。
48時間ずっと一緒にいたのに。
ふたりでひとつの生き物みたいに過ごしていたのに。
行っちゃうの?
ほんとに?
ぼくを置いてくの?
金色のお目々でじっと見てくる。
ごめんね、ごめんね、すぐ帰るよ、残業なんかしないよ。
言い訳しながら家を出る。
つらい。
蓮はちょっとクールな顔で、いつものベッドから見下ろしてくる。
行くんだよね。わかってるよ。どうでもいいよ。
帰りはちゃんと猫缶を買いなよね。
見送りもしないで腹を出して呑気に寝ている。
家を出て。
ガスコンロをちゃんと消したか心配になり、戻る。
そっと音も立てずにリビングの扉をあける。
すると、蓮がいる。
直前まで部屋の奥のベッドにいたはずなのに。
扉のすぐ手前まで来て、青い瞳を切なそうに見開いて、
私が消えた扉を見つめている。
そして私の顔を見て。
あ、ばれたか。なんて顔をして奥のベッドへ戻っていく。
前は仕事が好きだったんだけどな。
最近時々、火をつけたくなるほど会社が嫌い。
もし少しでも面白いと思っていただけたら、ブックマーク、評価をお願いします。
読者様からの反応が、明日の糧になってます。




