押入の怪
最近、壁や天井のすぐ裏で、何かの気配や物音がしていた。
変質者にしては質量がない。
幽霊にしては実体感がありすぎる。
とりあえず蓮だけは守らにゃならんので、
セコム導入を検討していたのだが。
正体がわかった。
ネズミが出たらしい。
管理組合がネズミ捕りをしかけるので、
「猫とか飼ってる人は気をつけてください」
という的外れな告知がポストに入っていた。
猫がそんなもん聞き分けるはずもなし、
そもそも猫に散歩させるのは虐待だよ、とツッコミいれつつ。
ネズミがんばれ、はよ逃げろ、と、
腹の中で思った、元・ハムスター飼いである。
そっか、ネズミか、と思いながら部屋でぼんやりしていたら。
押入からガリガリと物音がした。
壁の裏側ではなく居住エリアからの音。
ネズミ、ついに壁に穴あけて部屋の中に侵入したか!
と思ってあわてて見に行った。
押入の戸をあけた。
そこにいたのはネズミじゃなかった。
モカ色の王様が、壁で爪をお研ぎになられていた。
怪しいものの正体なんて、案外こんなものかもしれない。
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