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お姑さん
昔、上司のひとりがめちゃめちゃ細かかった。
重箱のすみを針でつついて仏像を彫りましたレベルに、
部下の仕事をチェックしてきた。
既婚の若年男性。
知識が豊富ゆえの所業で、その知識は学ぶべき。
全部の上司がこれだと困るが大勢のうちの一人の過ぎないので、
これはこれで大いに学ばせてもらっていた。
感謝しつつも腹の中でひそかに彼を、
お姑さん、とアダ名をつけて呼んでいた。
自分でも予想はしていたのだが。
こういうアダ名は、油断している時にうっかり口から洩れる。
その日、ついにやらかした。
よりにもよってクライアントの前で。
「クライアントさんが呼んでますよ、お姑さん!」
クライアントに爆笑されるという大恥をかかせた私は、
あやうくバケツ持って廊下に立たされるところだった。
お姑さんは元気だろうか。
何の脈絡もなく彼のことを思い出したので、書いてみた。
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皆様からの反応が、明日の元気になってます。




