嫌われる
野良にも選ぶ権利はあるわけで。
私は野良には好かれない。
好きすぎて頭から熱気がたちのぼるのが、
野良にとっては怖いらしい。
餌やりの友人たちに、もっとオーラ抑えなよ、と、
何度もアドバイスされてきてるが、
野良はチャチい演技はすぐ見抜く。
私を見ると、みんな一目散に逃げていく。
きのう、家のそばで黒猫を見た。
猫の顔から性別を見分ける力がないのでわからないが、
たぶん女の子。
近所で誰かが外飼いしているのかもしれない。
猫の外飼いは虐待なので止めてほしいが、
そういう話は置いといて。
私はさりげなさを演技しながら黒猫に近づく。
触らせてもらうのは無理でも、少しでも近くで顔を見たい。
一歩また一歩と距離を縮める。
たいていは五メートルも近づけば逃げられるのだが、
きのうは一メートルほどまで近づけた。
そして逃げられた。
もし野良が私を嫌わなかったら。
片端から保護して、我家はパンクしていただろう。
嫌われてるおかげで今日も破産をしなくて済んだ。
どうもありがとう、と思うことにしている。
ぐすん。
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