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怪しい踊り
真夜中に。
作業をしていてふと顔をあげると、蓮がいる。
とんでもなく美しい。
いまだかつてこんなにも素晴らしい造詣があっただろうか。
後世に永遠に語り継ぐべき宇宙一の価値ある存在だ。
こんな素晴らしいものを見るのは生まれて初めてだ。
と。
五分前にも同じ猫を見てるのだが毎回思う。
この感動をいかに表現すればいいのか。
蓮の素晴らしさを称えるため、即興で歌って踊る。
絶対に他人には見せられない、黒魔術のミサのような光景を、
蓮は憐れむ目をして見下ろしてくれている。
翌朝。
出社しようと玄関を出る。
隣室の住民である白人の若い兄さんが現れ、
共用廊下で鉢合わせする。
日本語でオハヨゴザイマスと挨拶される。
私もオハヨゴザイマスと返し、廊下をすれちがう。
兄さんが私を見る目に、不思議な憐れみを感じるんだが、
被害妄想だろうか。
大晦日。
蕎麦も食べず掃除もせず、得体のしれない怪しい舞に興じる女の、
隣室に住むのは、私なら嫌だな。
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