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毛布の残り香
椛が逝って、そろそろ四十九日になる。
彼のお気に入りの毛布に遺体を寝かせていたら、
きつい死臭が毛布に残った話は先日書いた。
遺された蓮にＦＩＰなどが感染しないよう消毒はしたが、
積極的な消臭はしないでいた。
そういえば。
人間の孤独死現場では一番困るのが死臭だと、
特殊清掃業者さんが書いていた。
プロ用の機材と技術をもってしても、
九割方しか匂いが落ちないらしい。
なるほど。
案の定、椛の毛布もまだ匂っている。
滅菌はしたいが消臭はしたくない私のニーズの通りに、
今日も、顔を埋めると椛の匂いがしている。
がんばれ毛布くん。
私はまだこの匂いなしに生きていけるほどには強くない。
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