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会社の門
椛とは、会社の門のところで出会った。
くたびれて倒れかけてた退社時に。
暗がりから飛び出してきて、うんと甘えて、
私を癒してくれた。
初めて椛に出会ったときの姿、今も覚えている。
暗がりを飛び出して柵をくぐりぬけた時の映像を、
何百回も脳内で再生している。
今日も、その門をあけて退社した。
毎日、その門をくぐって退社している。
からっぽの門の柵を見て、思う。
もう一度あの柵から可愛い姿が現れてくれないかな。
生きた椛と、もういちど出会えないかな。
願いながら門をくぐる。
けれど門には誰もいない。
ぼうっと街路灯に照らされて。
白くて冷たい夜道が遠くへ続いている。
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